ほんとは存在しないブラック企業!?作り上げているのは一体何なのか?あるひとつの考察

電車に乗っていて、部活動で移動する学生の集団や、
修学旅行生の集団などに遭遇したとき、思わず避けてしまったり、
嫌な顔をしたことはありませんか?

一人一人だと避けることはないし、話せるのに、
集団になるとまた別の生き物のようになってしまう...。
実は存在しない「集団」が脅威に見える。...

ブラック企業にも実はこのトリックがあるのではないでしょうか?
この記事では、あるひとつの面からブラック企業を考察してみました。

ブラック企業大賞2013

去る8月11日、2013年度ブラック企業大賞が発表になりました。

- ブラック企業大賞2013

ブラック企業大賞実行委員会によると、
ブラック企業を見極める指標は以下の11項目。

    ●長時間労働
    ● セクハラ・パワハラ
    ●いじめ
    ● 長時間過密労働
    ● 低賃金
    ● コンプライアンス違反
    ●育休・産休などの制度の不備
    ●労組への敵対度
    ●派遣差別
    ●派遣依存度
    ●残業代未払い(求人票でウソ)

※ただし多くのブラック企業が上記の問題を複合的に持っているので、判断する際も総合的に判断。

上記の指標を元に、ウェブ投票と授賞式時の会場投票を合わせて決定しています。

経営者の意向は、会社そのもの
「ブラック企業」というレッテルをはられ批判された場合、
そのやり玉にあがるのは経営者、そして経営者の考え方です。

「365日24時間死ぬまで働け」

- ワタミフードサービス株式会社「理念集」より代表取締役社長

昨年ぐらいから、一気に有名になったフレーズですね。

「基本的人権、人権尊重、人権蹂躙、人権擁護。これは、1度抜けば魔剣の切れ味で相手を黙らせることができる言葉である。この魔剣を振り回す人権教の狂信者が増えている。経営やビジネスといった最も遠い領域にまで、人権というペスト菌が蔓延しはじめている」

- アイウィル株式会社 会報誌より代表取締役社長

会社は、経営者の意向がそのまま反映されるものです。
賛同する、しないに関わらず、その理念の元、動く集団・組織であることに変わりはありません。

しかし、すべてを社長ひとりが管理し、統括することは物理的に不可能です。
ワタミフードサービス株式会社の従業員数はグループ合計で6,157人(平成25年度3月31日現在)、
株式会社クロスカンパニーは2,661人(2013年1月末現在)。
中小企業であっても、社長の役割は外との交渉が仕事の9割を占めているので、
自社隅々まで目を通すことはできないことがほとんどです。
(ただし、社長をすべて擁護するわけではありません。あくまでも物理的に考えています)

では、一体ブラック企業を作り上げているものは何なのでしょうか?

世にも奇妙なブラック企業

かの有名なフジテレビ系ドラマ『世にも奇妙な物語』に、
このようなストーリーがあります。

第301話 管理人
松嶋菜々子は住み始めたマンションで、
周りの住人からあらゆる行動に
「管理人との取り決めですから」といちいち文句をつけられる。

激怒した松嶋は
「管理人はいったい誰なの」とマンションの人たちに問い詰めて、
管理人だと思われる男を追い詰めるが男は階段から転落死してしまう。
これで安心して暮らせるようになった。

その後...

松嶋の上の階にうるさい新入居者が。
松嶋は新居者に文句の電話をかける。
新居者「...そんなこと誰が決めてるんですか。」
松嶋「管理人さんに決まってるでしょ!」

キャスト: 松嶋菜々子
放送日: 1997年 春の特別編

- YONIKIMO.COM

つまり、管理人なんて最初から存在しなかった。
住人たちはみんな自分の都合のいいように
「管理人」を作り上げているだけだったというお話です。

問題のないブラック企業

この構造はいじめにも似ています。

いじめ加害者といじめ被害者の二つではなく、
一部のいじめ加害者と、いじめ被害者、
そして、その他の傍観者(流れに乗る人)でできている大多数。

この「傍観者たち」と「住人たち」はまさしく同等の存在です。

いじめを取り扱った映画『問題のない私たち』には、
その傍観者たちへの叫びが痛快な言葉ででてきます。

ストーリーをかいつまんで紹介させていただくと、

クラスのリーダー的存在で、いつもいじめの首謀者である澪(黒川芽以)。
「これはあいつに対する不快感への正当防衛だ」と悪びれることなく、
数名のクラスメイトを従えてマリア(美波)をいじめていた。
しかし、転校生の麻綺(沢尻エリカ)が現れたことで状況は一変する。
クラスを牛耳った麻綺がリーダー的存在になり、澪がいじめのターゲットになったのである。
クラスからの孤立、エスカレートするいじめ。
そんな状況の澪に唯一救いの手を差し伸べたのは、今まで澪がいじめていたマリアだった...。
その後も、次々と入れ変わるいじめのターゲット。
澪はマリアとの友情や、そんなクラスの状況を見ていじめの無意味さに気づきます。

そしてついにクラスメイトたちが仕組み見つめる中、
澪と麻綺はガチンコの喧嘩をする.........

と思われたのですが、澪はしないんですね。
逆にクラスメイトたちと麻綺に背を向けて、こう言い放つのです。

「麻綺は嫌いだよ。でも、澪だ、麻綺だと言って
尻馬に乗ってるあんたらのほうが大嫌いなんだよ」

ちなみに。この「問題のない私たち」の原作は小説で、
著者の牛田麻希さんは執筆当時、現役の中学3年生でした。

その他大勢から、個人へ

本当は存在しない管理人を作り上げた「住人たち」
リーダー的存在の人物に乗じる「クラスメイトたち」

そして、ブラック企業を作り上げた「働く私たち」

共通点は「自分の良いように作り上げた都合」を
押しつけているということです。

実は、ブラック企業を作り上げているのも、
この部分ではないでしょうか。

上記にも書きましたが、
社長の意向は企業そのものです。
しかし、実際の現場には、実際の現場の考え方があるのです。

長時間労働を押しつけるのも、
セクハラ・パワハラも、そしていじめも、
現場そのもので生まれています。
つまり、自分たちの首を自分たちで締め合っている状況なのです。

ブラック企業の見分け方や、ブラック企業相談窓口など
そんな対策が叫ばれていますが、

「住人たち」から、「私が困る」と言える住人へ
「クラスメイトたち」から、「私は嫌だ」といえるクラスメイトへ
「働く私たち」から、「私はこう思う」と言える労働者へ

私たちがならなくてはいけないのではないでしょうか。

ブラック企業をスムーズに海へ飛び込ませるために

最後に。
ある有名な『乗客をスムーズに海へ飛び込ませるために』ジョークを引用して、
締めたいと思います。

ある船に火災が発生した。
船長は、乗客をスムーズに海へ飛び込ませるために、

イギリス人には 「紳士はこういうときに飛び込むものです」
ドイツ人には 「規則では海に飛び込むことになっています」
イタリア人には 「さっき美女が飛び込みました」
アメリカ人には 「海に飛び込んだらヒーローになれますよ」
ロシア人には 「ウオッカのビンが流されてしまいました、今追えば間に合います」
フランス人には 「海に飛び込まないで下さい」

日本人には「みんなもう飛び込みましたよ」