最低賃金改定と給与計算~企業が考えなければいけないこと~

 

主導のインフレにより進む大幅な賃金改定

 
2015年10月、過去10年で最大幅での最低賃金の引き上げが行われました。今回の大幅な賃金改定は、安倍政権のインフレ政策の一環です。最低賃金をあげることで、消費者の購買意欲を高め、景気回復を促進させることを目的としています。今後もこの流れは続き、さらなる最低賃金の引き上げが見込まれます。
 
最低賃金改定のメリットは消費者の消費意欲を刺激し、インフレを引きおこし、景気回復を促進するとされています。その一方、最低賃金の上昇デメリットは、企業の人件費をも引き上げ、企業の財政を圧迫する恐れもあります。その結果、給与計算や反復作業などの単純作業を、企業はITシステムへ移行させることを検討しなければなりません。
 
 

給与計算を例にとってみる今後の労働市場

 
給与計算を例にとります。給与計算にITシステムの導入しようとすれば、初期投資が必要です。しかし、長期的な視点から考えればランニングコストを下げることができ、数年単位では初期投資分を回収することができます。反面、ITシステムは、給与計算のプログラムをしてしまえば、その反復作業は得意ですが、急な変化に対応することはできません。一方、人間で給与計算を行う場合は、システムにかかる初期投資は必要ありません。しかし、人件費などのランニングコストはかかりますので、長期的な視点でみれば、システムを導入する場合のほうが、安くなる可能性があります。
 
つまり、今後は単純作業などITやロボットに任せられる仕事に対しての『人』での需要はどんどんと減少し、その業務に従事している人はロボットに仕事を奪われていきます。その一方で、システムを設計するなど、ITやロボットができない仕事は、依然として人間が担っていくことになるでしょう。
 
 

貴方の会社は大丈夫?賃金改定で気をつけるべき2つの給与体系

 
話を最低賃金の賃金改定に戻しましょう。最低賃金が改定される際、企業はもちろん最低賃金を満たしているかどうか調べる必要があります。その際に見逃されがちな2つの給与体系についてご紹介します。
 

① 最低賃金ぎりぎりの給与計算で月給を計算している給与体系
②残業代込みの給与体系

 
例えば大阪府の最低賃金改定を例に挙げてみます。大阪府は2015年10月1日より、最低賃金が838円から858円に改定されました。
残業時間40時間までの残業代が固定給に含まれている場合の例です。残業代(40時間まで)込み賃金が20万円の場合、20日出勤の月に関しては最低賃金改定前も改定後も問題ありません。しかし月によっては祝日の兼ね合いなどで23日出勤の月が出てきた場合、改定前の838円ならぎりぎり問題ありませんでした。しかし最低賃金が858円になった今は、労働基準法を守れていない雇用形態になります。
 

最低賃金838円の場合
838円×23日×8時間=15万4192円  838円×40時間×1.25=4万1900円
15万4192円+4万1900円=19万6092円
 
最低賃金858円の場合
858円×23日×8時間=15万7872円  858円×40時間×1.25=4万2900円
15万7872円+4万2900円=20万772円

 
この場合、最低賃金改定により、20万円の残業代込み賃金では労働基準法違反となります。
上記のような給与体系なら一般社員の給与の見直しが必要です。また、一般社員の給与を上げた際には、その中堅層の給与も上げるなど、賃金規定全体の見直しが必要になってきます。その際は雇用契約の組みなおしも同時に行う必要があるでしょう。
 
企業には最低賃金の引き上げによる賃金改定には十分に留意し、対応することが今後とも求められます。給与計算や賃金改定に関するご相談はお気軽にミナジンまでお問い合わせください。