適正な労働時間の管理~定額残業代について考えよう~

様々な業務がシステム化されていく中で、働くのはやはり「人」である――。それは厳然たる事実です。
うまくカスタマイズされ、システム管理された業務でも、体調が悪かったり、気分が乗らなかったり……。それが人たる所以です。

そのため機械管理だけでは気づかない、様々な状況で起こりうる問題を、是正し、適正な状態に保つための取り組みが大切になります。今回はそのひとつ、「適正な勤怠管理、および労働時間の管理」について考えてみましょう。

過重労働を抑制するための勤怠管理

労働時間の管理方法は、会社によって様々ですが、中でも過重労働を解消するために企業に求められる「勤怠管理のポイント」について、いくつか見てみましょう。

■状況把握と仕組みづくり
雇用形態を大きく分けると、①正規雇用 ②非正規雇用 の二種に分かれますが、ここで勤怠の仕組みづくりが必要なのは、②非正規雇用のなかでも「パート・アルバイト」と、一部の「派遣社員」、そして「契約社員」と①正規雇用、いわゆる「正社員」です。

特に、状況把握が面倒に思われるパターンとして挙げられるのが、【パート・アルバイトの雇用形態、雇用区分が複数存在する】場合、そして【正社員の所定外・法定外残業や深夜勤務が多発する】場合などです。

これは、ある程度パターンをマニュアル化し、書面にすることで、万が一データを紛失したり、担当が入れ替わったりする場合でも、ある程度乗り切ることは可能です。ただこの仕組みづくりが、一番労力を伴う作業とも言えます。

■法規制を把握して、残業時間の上限を設ける
労働時間の基本的な扱いとしては、労働基準法第32条で定められている【週40時間(以内)かつ、一日8時間(以内)】を基準と考えますが、労使で36協定を締結すれば、これを上回る「時間外労働」が可能になることは、皆さんご承知のとおりです。

更に、この残業時間の上限については、原則【月45時間 かつ 年360時間】となり、特別条項がついた36協定を実施している企業の場合は、これより更に上限が加わります。
※ただし、この上限にはいくつかの条件があり、条件を無視すると罰則規定などがあります。

要は、従業員の勤怠区分に応じた『上限』をきちんと公示・周知することが重要なのです。
例えば、「月に40時間以上の残業は、基本的に認めません」等とすることで、残業時間の抑制が期待できます。

■残業の事前許可制導入
「部長、先ほどお見えになったお客様から、本日中に見積もりのメールと、サンプル手配も依頼されているので、終業に間に合いません……」

「そうか、分かった。では、1時間残業として申請してください」

……このような場面では、確実に定時内での作業が間に合わず、残業を申請する必要がある旨、上司と本人の確約があり、内容やボリュームも明確です。

また、部長の裁量で、「運送会社も既に終わっているし、サンプルは明日で大丈夫。今日は疲れているだろう、メールに注記して早く帰りなさい」など、特別に指示を行うことも可能になります。

このように、残業をするか否かの判断を、第三者、特に上司に指示を仰ぐことで、無理な残業を、自ら、しかもストレスを感じながら、行うリスクを緩和できるでしょう。

残業代の仕組みについて(例えば、固定【定額】残業代(みなし残業))

基本的に、命令や許可を受けない残業は、残業とは認められず、賃金の支払対象とはなりません。 しかし実際には、「上司から禁止されたにもかかわらず、指示無く行った作業」 という証明をどこで、誰が出来るでしょうか。

このように、不明瞭な時間外手当分を、事前に「みなし残業」として、固定給へ含めたり、手当として支給したりするのが、「定額残業代」です。

先に述べた問題に関しては、従業員からすればメリットとして捉えられますが、そもそも「定額残業代」としての法的な制度は無く、労働基準法の条文にも文言自体存在しません。

これには、「定額残業代を払っているのだから、それ以上は残業をしても時間外手当は支払いませんよ?」 といわれる可能性も付きまといます。つまり従業員側からすれば、デメリットも併せ持っているわけです。

会社側からすれば、時間外手当の複雑な計算がある程度緩和されることで、メリットとして捉えらることが多い「定額残業代」。しかし後からこの手当自体が「無効」とされ、過去に遡って残業代を支払う義務が発生した事例もあります。そのため、この制度の採用がリスクとなるケースも存在することを忘れないでください。

また、手当として「定額残業代」を支給する場合、明確な要件の定義が必要になります。

「〇時間分の割増賃金相当分として〇円支給する」

「相当分を超過した時間外手当については、〇時間までを追加支給する」

というように、誰が見ても理解できる内容を明示することが必要です。

適正な労働時間についての取り組み

数年前、巷でも話題になった一企業の「過重労働」。
「働き方改革」など政府の呼びかけから、状況把握に努める企業が増えているのは事実です。しかし未だ、日常業務からくる重圧に耐えかね、自ら命を落としてしまう会社員が後を絶ちません。

興味深いのは、「自分は、やりがいを感じて毎日の業務をこなしている…」はずが、過度のストレスから、判断力はあるのに正常な考えに至らず、実際に「命よりも仕事を優先してしまう」ケースが多いことです。自分の健康や幸せよりも、他人を優先視した選択をしてしまう可能性があるということですね。

そこで、問題視されるのは、やはり長時間労働、いわゆる「残業」です。
2018年に入って成立した、働き方改革関連の法案に基づき、労働時間の現状について、適正な把握および管理が行われるよう、長時間労働に対する規制が今後さらに厳しくなります。

個人単位では、どうしても正常な選択が出来なくなるようなことが多い、ストレスフルな現在社会。一日の大半を共に過ごす仲間、そして第三者の目を取り入れることで、事前に情報を共有し、良い意味で干渉し合うことで、風通しの良い社内環境を構築したいものです。

この取り組みについて、「うちの会社、大丈夫?」と気になった方もいらっしゃるでしょう。そういった方向けに弊社ミナジンでは、業務担当者でも分かりやすく、簡単に行える【チェックリスト】を準備しております。ご参考までにチェックしてみてはいかがでしょうか?

主なチェック項目としては、

・毎月の平均残業時間の確認
・年間の残業時間合計の確認
・所定労働時間の管理に関する確認
・残業申請の方法の確認
・有給や代休などの制度に関する運用状況に関する確認
・実際の労働時間と勤怠集計の差に関する確認
・所定休日日数を取得できていない従業員の確認
・長時間労働に関する企業風土や社内環境ではないかの確認
・生活給レベルでの残業手当が毎月発生している従業員がいるかの確認

などです。

上記、半分以上が肯定になった場合は、できる限り早い段階で専門家によるサポートを受けられることをおすすめします。

現状の勤怠管理の状態に問題があったり、長期的にみるとトラブルに発展しかねない管理状態であることもあります。早めの対応が必要でしょう。

かといって、企業全体の問題解決にどの部分から踏み込めばよいのかわからないという方も多いでしょう。勤怠管理1つをとっても、労務管理担当者の工数も膨大にかかります。少しでも効率的かつ正確に管理するためにも、弊社で運用しているサービスをご検討ください。

MINAGINE(みんなの人事部[ミナジン])では、「人事の力で『みんながいきる場所』にする」をモットーに、人事制度コンサルティング、給与計算アウトソーシング、勤怠管理システム、人事評価システム、労務顧問サービスなど、様々なサービスを提供しています。

働き方改革が注目を集め、これからますます働き方の透明性や柔軟性が重要になっていく中、きちんとした労務管理、勤怠管理をすることがとても大切です。労働時間の管理や労務管理などでお悩みの人事担当の方は、ぜひMINAGINEまでお気軽にお問い合わせください!

まとめ

人が人と働く場所だからこそ、心身共に健康であること、そして人とのつながりや、会社風土をより良い状態に保つことの必要性が問われるようになってきました。そうした中、企業における人事部門の存在感、適切な労務管理の重要性は、急激に高まっています。

会社は「生き物」です。そして会社のいちばん重要な資産は、従業員の健康だと言えるかもしれません。新たな勤怠管理システムの採用や、外注サポートの導入など、効率的かつ現代的な労務管理を実現する方法はたくさんあります。ぜひこれを機に、会社全体の働き方について見直してみてはいかがでしょうか。MINAGINEでは働き方に関するセミナーも多数開催しているので、労務管理で行き詰まったらぜひお気軽にお越しくださいね。