退職時に有給を使わせなかった会社

「有給消化はさせない」その判断が、会社の信用を壊した話

 

これは、知人のSES企業(技術者派遣)で実際に起きた出来事です。
当事者は、20代の若手エンジニア。

転職先が決まり、退職の3か月前という、早めのタイミングで上司に意思を伝えました。
引き継ぎもしっかり行うつもりで、2か月で引き継ぎをして
「最後の1か月は有給を消化したい」
と、人事に伝えました。

しかし、現場の上司は
「自分の都合で辞めるのに、派遣先に迷惑がかかる」
「引き継ぎもあるのに、有給は使わせない」
拒否

さらにその後、早めに進めるべき引き継ぎを、ほとんどさせてもらえない状態が続きました。
そして迎えた、退職前の最後の1か月。

本来なら引き継ぎが完了していなければならない時期に、
彼は体調を崩し、病欠として有給申請をすることになり
結果として有給を消化。
引き継ぎは事実上、未完了のまま。

派遣先の企業では業務が回らなくなり、
最終的に取引先からSES企業側が強く叱責を受ける事態にまで発展しました。

この一連の出来事で、
「誰が一番困ったのか」を考えると、
実は派遣先企業と、最終的にはSES企業自身だったのです。

・早期に退職を伝えていたにもかかわらず引き継ぎさせなかったこと
・有給消化という正当な権利を「嫌がらせ」のように封じたこと
・感情的な対応を優先し、業務リスクを軽視したこと
・上長自身が有給が権利と知らずにこういった行為をしていた可能性もあります。

これらが積み重なった結果、
現場が混乱し、取引先からの信頼を損なうという、最も避けるべき結末を招きました。

退職は「裏切り」ではありませんし
有給は「許可制のご褒美」でもありません。
有給消化は当然のものとして引き継ぎを「感情」ではなく、「企業リスク」として
管理すべきでした。

感情で人を縛った結果、会社の信用が傷つく
ことは決して珍しい話ではありません。

今回のケースは
管理部門で労務管理を徹底すること・現場リーダーやマネージャーの教育をすることで未然に防げるトラブルだったかもしれません。

休暇管理もミナジン!