残業申請をルール化するにはどのように対策すればいい?問題点は?

業務においては、どうしても残業が必要な場合もあります。けれども適切に管理されていないと、様々なトラブルを引き起こしかねません。残業申請をルール化する上で、どのような問題があり、どのように対策すればいいのか見ていきましょう。

残業申請をルール化させる必要性

本来、労働時間は労働基準法の第32条により、1日8時間、1週間40時間までと決まっており、それ以上働かせると違法です。ただし会社と労働組合で時間外や休日労働に関する協定を結び、労働基準監督署に届け出れば残業できるようになります。いわゆる「36協定」です。

それでも上限があり、1週間で15時間、1ヶ月で45時間、1年で360時間までと決まっています。

残業申請がルール化されておらず、やみくもに残業できる状態になっていると、この上限を超えてしまい、行政から指摘されたり労使トラブルに発展したりする恐れがあります。

労働時間の記録は3年間保存するよう義務付けられており、いつでも抜き打ちでチェックできるからです。会社としても人件費が無駄に発生するというデメリットがあります。

これらを防ぐために残業を制限すると、今度は従業員の負担が大きくなります。その結果、会社に対する不満が募り、退職してから残業代を請求して裁判沙汰になるケースも少なくありません。

こうした事態を防ぐためにも事後に残業を把握するのではなく、事前に申請するルールを徹底させるのが望ましいといえます。

なぜ正しく残業管理が行えないのか

けれども残業申請のルールを導入する上で、会社側にも従業員側にも阻害する原因があります。どうして阻害するのか、その背景を探ってみましょう。

■経営・管理側が残業管理を阻害している原因

会社の中には、従業員が業績を上げるために残業して、たくさん働いてくれるのを歓迎しているところがあります。そのようなところでは残業を多くしてくれる従業員ほど人事考課で高く評価される傾向があり、積極的に残業したがる従業員が多くなりがちです。

逆に残業代を節約したくて上限を設定している会社では、残業しづらい雰囲気が蔓延しています。どうしても残業したいときは、退社したと見せかけてこっそりサービス残業するしかありません。直属の上司も仕事のためと黙認しています。

いずれにしても残業申請のルールを導入すると、前者は業績に、後者は人件費に影響が出ます。特に会社は経営の主導権を握っていますから、阻害したくなるのです。

■従業員が残業管理を阻害している原因

従業員にとっては残業をすればそれだけ給与が多くなり、生活費にもゆとりができます。そのため残業申請のルールが導入されていないと、業務上の必要性が無くても、残業が習慣化している従業員もいるはずです。業務ではなく雑談や待ち合わせといった時間つぶしのために残業する従業員もいます。

従業員は退社したいのに残業せざるを得ない場合もあります。例えば先述のように人事考課で残業が評価されたり、上司がいる限りは退社できないという風潮があったりするなどです。

いずれにしても残業申請のルールを導入すると、都合が悪い従業員は阻害するでしょう。特に労働組合で発言力のある従業員に反対されると大変です。

適切に残業時間を管理するためのルール設定と注意

阻害する原因を抱えている会社に、残業申請のルールを導入するのは簡単ではありません。いきなり導入しても徹底されず、すぐに形骸化するでしょう。スムーズに運用するには入念な準備が必要です。

まずは労務や人事の担当者が、経営陣や管理職に残業を管理しないことのデメリットを説明します。その上で会社の残業に対する方針を明確にして、月の残業時間や残業の申請方法などのルールを決めます。

もちろん労働基準法や36協定を順守するのが一番ですが、業務内容に合っていなければ定着しません。各管理職が実態を把握したり、従業員とヒアリングしたりしながら、許可しても良い最適な残業時間を決定します。

続いてシステムづくりです。原則的に残業は会社に命令権があり、従業員が自由にできるものではありません。上司が責任を持ち、命じられた従業員は原則として断れないのが基本です。

どうしても従業員が残業したい場合は、上司に相談して判断を仰ぎます。別の日に他の従業員と手分けして行えば、残業を防ぐことだってできるわけです。残業の日時や理由を明確にするために、申請書を用意して書かせると良いでしょう。

人事考課の見直しも必要です。残業を管理するからには、安易に評価の対象にしてはいけません。

残業のルールが決定したら、労働組合との協議を経て、従業員にも周知させます。単に周知させるだけでなく、労働契約書への明記も必要です。なおかつ徹底させなければ意味がありません。申請以外の残業には賃金を支払わないというルールを設定すると良いでしょう。

それでもサービス残業をする従業員がいるなら、ヒアリングをして解決方法を探ります。もし仕事量が多いなど残業が避けられない場合は、他の従業員に振り分けたり、ルールを見直したりするなどの対策が必要です。

残業の管理で最も重要なのが勤務時間の把握です。タイムカードではいくらでも不正ができてしまうので、従業員が申告して上司が承認する方法が有効ですし、厚生労働省も推奨しています。

ただし、手書きでするにしてもメールでするにしても、情報が集約されるにつれて上司や労務・人事担当者の負担は大きくなり、適切に運用するのは面倒です。

そこで勤怠管理システムを導入すると、従業員が必要事項を入力し、上司が承認するだけで簡単に勤務時間を管理できるようになります。残業申請もパソコン上からできるようにすれば、すぐシステムに反映されて誰からも一目瞭然です。

弊社でも、「MINAGINE就業管理」という勤怠管理システムを提供しております。

パソコン上で残業の申請や承認ができるだけでなく、残業時間の集計や「労務管理チェックレポート」を活用した分析も可能です。残業を管理しやすい環境を整えて、残業申請ルールの定着をお手伝い致します。

まとめ

残業申請のルールが定まっていないと、労働時間を超えてしまったり、給料が無駄に発生したりするなど、デメリットばかりです。導入にあたって阻む原因があるなら、会社の残業に対する方針を一から見直さなければいけません。ルールが定まったら、残業を管理しやすいシステムの導入も必要です。簡単に管理できれば定着しやすいでしょう。