有給休暇中の賃金について解説!基本的な知識と計算方法など


働き方改革の推進により、企業は従業員の年次有給休暇の取得について、より積極的に取り組んでいかなくてはならなくなりました。今後は全国各地で労働者の有給取得が活発になることが予想されます。

その際に経営側の負担になる業務というのが、「有給休暇中の賃金計算」です。
この記事では、企業の人事担当者の方に向けて、有給休暇中の賃金に関する基礎知識や計算方法などを紹介していきます。

人事担当者が把握しておくべき「有給休暇の常識と賃金」

インターネットがもたらした価値観の多様化は、日本の就労意識にも大きな影響を及ぼしています。特に、企業コンプライアンスに対する監視の目は、今後もますます厳しくなっていくことでしょう。

この項では、健全な企業経営において必要不可欠とも言える「有給休暇」について、基本的な概要を解説していきます。

「年次有給休暇」の基本情報

有給休暇とは、心身の疲れを癒し、ゆとりのある暮らしを送るために労働者に認められた、「休暇を取得する権利」です。有給休暇の最大の特徴は、休暇を取得しても賃金が支払われるという点です。

しかし、有給休暇は労働者の権利ですが、誰でも好きなだけ取得できるものではありません。有給休暇を取得できる要件は、以下のとおりとなります。

(1)その事業所に雇用されてから6カ月以上が経過していること

(2)期間中の出勤日数が全労働日の8割以上になっていること

労働基準法では、上記2点の要件をクリアした労働者に対して、「最低10日以上の有給休暇を与えること」と規定してあります。

有給休暇の日数は、同じ事業所における勤続年数が長くなるにつれて、取得できる日数も多くなります。

たとえば、雇用された日から6カ月を超えると10日の有給休暇がもらえ、1年6カ月を超えると11日、2年6カ月を超えると12日と、年数を重ねるごとに総日数が追加されていきます。

また、原則的に有給休暇の申請というのは、企業側に拒否する権利がありません。労働者の有給申請があった場合、一部の時季変更などを除き、企業側は希望通りの有給休暇を承認する必要があります。

有給休暇中の賃金はどういう給与計算になる?

2019年4月から、年間あたり最低5日の有給休暇を従業員に取らせることが事業主の義務となりました。その背景には、「有給休暇を持っているにも関わらず、周囲に気兼ねして取得しない労働者が多い」という問題があります。

年5日の有給休暇取得義務付けの対象者は、10日以上の有給休暇を与えられた労働者です。これには、期間に定めのある有期雇用労働者や管理監督者も該当します。

有給休暇で付与される日数は、入社半年の従業員で10日です。その後、1年毎に得られる日数は1日ずつ増えていき、6年6カ月時点では、最大日数となる20日に到達します。

1年間でもらえる有給休暇は最大20日です。しかし、有給休暇は年間5日間の使用が義務づけられているだけであり、残りの5日~15日は翌年に持ち越すことができます。

また、有給休暇の有効期限は2年間です。そのため、7年6カ月以上勤めている人の場合、「前年から持ち越した15日+本年の20日=最大35日」を一度に取ることができます。

有給休暇中の給与計算については、次の3つの方法の中から1つを採用します。

(1)通常の賃金
労働者が「通常の就業時間だけ労働した」と仮定した場合の1日当たりの賃金。

(2)平均賃金
過去3カ月間に支払った賃金を合計し、それを日数で割って算出した賃金。

(3)健康保険の標準報酬月額
健康保険が定めた基準により算出される賃金。

いずれの計算方法を選ぶ場合でも、あらかじめ就業規則に定めておかなければなりません。

なお、派遣社員やパート・アルバイトなどでも計算方法は同じです。正社員に比べて月あたりの出勤日数が少ない契約を結んでいる場合は、(2)の平均賃金を元にした計算方法の、通常の賃金より少なくなる点に注意が必要です。

最低賃金の上昇!有給休暇中の賃金にどう影響する?

最低賃金とは、労働者の待遇を維持・改善し、安定した生活や労働の質を確保するために各都道府県で定められる賃金の最低水準です。

事業者は、最低賃金以上の給与を労働者に支払うことが義務づけられています。

ここでは、最低賃金が有給休暇の賃金計算に与える影響や、企業が注意しておきたい点について解説します。

毎年行われる最低賃金の上昇

最低賃金は毎年10月頃に改定を受けており、近年は働き方改革における取り組みのひとつとして、上昇を続けています。

先述したとおり、有給休暇中の賃金計算は、通常時の賃金や過去3カ月分の賃金を元に算出されます。そのため、基本的に最低賃金が上がると、有給休暇中の賃金も同様に上がるようになっているのです。

パートやアルバイトなど、従業員の給与が最低賃金と同じ、もしくは近い額となっている場合も、最低賃金の上昇はそのまま有給休暇の賃金上昇となります。

そのため、雇用主は毎年の最低賃金改定に合わせて、有給休暇の賃金を都度計算しなおす必要があります。

最低賃金の上昇に伴う企業側の注意点などは?

最低賃金は毎年の改定があり、働き方改革により近年は上昇の一途です。そのため、もし従業員を最低賃金ギリギリの待遇で雇用している場合は、改定によって支払う賃金が最低賃金の額を下回る度に、最低賃金以上の金額に変更していかなければなりません。

改定を知らずに、最低賃金以下の給与しか支払わなかった場合は、「最低賃金法」により企業側は50万円以下の罰金を支払わなくてはならなくなります。

また、パートやアルバイトなどの場合、最低賃金と同程度の給与額で契約を交わしているケースは少なくありません。その場合は、最低賃金の改定を受ける度に雇用契約書などを改め、従業員に周知するようにしましょう。

最低賃金の改定は年に一回と、頻度が高い上に罰則が大変厳しくなっています。手続きや賃金設定に誤りがないように、厚生労働省の資料確認や社労士など、法律の専門家への相談・確認を行うのもリスク管理の手段として有効です。専門家のアドバイスを受けながら、賃金上昇に合わせた安全な事業計画を立てていきましょう。

有給休暇中の賃金計算の業務負担を軽減したい!最新のツールを活用

ここからは、有給休暇の賃金計算の負担が少なくなる「最新の勤怠管理システム」について紹介していきます。

有給休暇中の賃金管理や計算をシステム化

有給休暇の取得や毎年の最低賃金改定など、労働者を取り巻く制度やルールは絶えず変化をしています。

このような状況で、企業は制度やルールの変更点を正確に把握し、従業員の待遇に漏れなく反映させていく義務があります。賃金計算や休暇取得など、把握すべき規約は多岐に渡ります。

しかし、企業によっては労務担当や経理担当に十分な人員を確保することができず、制度の変更に柔軟な対応をすることが難しい場合もあります。

ですが、そのような状況を効率化してくれる便利なツールがあります。それが勤怠管理システムです。勤怠管理システムとは、賃金や労働時間、各種申請など、労働者の就労状況に関する情報を一元的に管理できるシステム。

そのため、もしも雇用に関する制度の変更等が発生した場合でも、変更点をシステムに入力するだけで、簡単に制度の反映をすることができます。

勤怠管理システムを活用することで、有給休暇中の賃金管理や計算などを、スピーディーかつ効率的に行えるようになります。特に、限られた人員で仕事をこなさなければならない中小企業においては、より最適なツールだといえるでしょう。

従業員の有給休暇をすべて管理!ミナジンの高機能な勤怠管理システム

弊社ミナジンでも、人事・労務のプロフェッショナルが手掛けた、独自の勤怠管理システム「MINAGINE就業管理」という勤怠管理システムを提供しています。

MINAGINE就業管理なら、従業員の「有給休暇の残日数」や「有給申請」などの情報も一括管理できるため、有給休暇の賃金計算も行いやすくなります。

各種申請もシステムを介して行うため、伝票の写し間違いや紛失、エクセルへの入力ミスなどといったヒューマンエラーも起こりません。

日頃から「有給休暇や休暇中の賃金管理を正確に行いたい」と考えている経営者や労務担当者の方は、ぜひ「MINAGINE就業管理」の利用をご検討ください。

まとめ

年次有給休暇中の賃金を計算する場合は、就業規則に定めのある計算方法によって行います。特に、最低賃金の改定などによって従業員に支払う給与額に変更がある場合は、そのつど見直しが必要となります。

従業員が多い企業、また、人事・労務・経理の担当者が少ない企業にとって、手計算での賃金計算は大きな負担です。限られた人員で間違いのない賃金計算を行うためにも、便利なツールである勤怠管理システムを利用されてみてはいかがでしょうか。