企業に作成義務がある「年次有給休暇管理簿」について解説


労働基準法の改正により、2019年4月からすべての企業で「年次有給休暇管理簿」の作成が義務付けられました。人事担当者にとっては、できるだけ負担をかけずに管理したいところです。
どのように作成すればいいのかをご紹介します。

企業が提出しなければならない「年次有給休暇管理簿」

まずは、年次有給休暇管理簿の基本を確認しましょう。

年次有給休暇管理簿の基本的な概要

年次有給休暇は、6ヶ月以上継続して雇用され、労働日の8割以上出勤していれば付与されます。付与される日数は労働時間や継続勤務年数によって異なりますが、最大で年に20日です。

けれども、業務への支障や周囲への配慮などによって取得が進まず、多くの労働者が未取得のまま時効(付与から2年)を迎えているのが課題でした。

そこで、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者を対象に、5日分については付与から1年以内に必ず取得させるよう義務付けられました(労働基準法第39条の7)。

果たせなかった場合は、企業に対して労働者1人つき30万円以下の罰金が科せられます。

年次有給休暇の取得状況を誰でも把握できるようにするには、労働者ごとに必要事項を記載した管理簿が無ければいけません。
労働基準法施行規則第24条の7では、企業が年次有給休暇管理簿を作成し、期間中はもちろん、期間後も3年間は保存するよう義務付けています。

本来は年次有給休暇を取得した時点で作成義務が発生しますが、付与した基準日に作成するほうが管理しやすいでしょう。

年次有給休暇管理簿における3つの作成項目

年次有給休暇管理簿には、必ず盛り込まなければいけない項目が3つあります。

1つ目は「基準日」です。

労働者に年次有給休暇を付与した日となります。この日に付与された年次有給休暇(繰り越し分を含む)のうち、5日分までは1年以内に取得させなければいけません。

新入社員のように、前倒しで年次有給休暇を付与するなどして、1年の間に2つの基準日がある場合はその両方を記載します。

2つ目は「日数」です。

基準日から1年の間に、労働者が取得した年次有給休暇の総日数を記載します。
残日数ではなく取得した総日数を記載するのは、そのほうが5日分の取得を把握しやすいからです。残日数の記載は、必須ではありません。

3つ目は「時季」です。

労働者がいつ年次有給休暇を取得したのか、日付を記載します。

年次有給休暇管理簿の作り方

では、管理しやすい年次有給休暇管理簿を作るには、どうすれば良いのか見てみましょう。

管理簿に使うシートについて

年次有給休暇管理簿には決まった書式がありません。
先ほどの3つの項目を盛り込んでいれば、他は自由に作れます。

一般的には、同じく労働者ごとに作成義務がある「労働者名簿」や「賃金台帳」と一緒にしている企業が多いようです。

年次有給休暇管理簿は、いつでも見られるような状態であれば、紙以外の媒体で作成しても構いません。パソコンで作成したものでも、労働基準監督署が立ち入り調査を行うときにすぐ印刷できるなら有効です。

パソコンで作成するときは、表計算ソフトや勤怠管理システムが使われます。
特に表計算ソフトのエクセルは、パソコンに付属していることが多いため、多くの企業で使われているようです。

インターネット上には、エクセルで開くことを前提としたフォーマットが、多数公開されています。

あらかじめ計算式やマクロが組み込まれているので、すぐに年次有給休暇管理簿として使うことができます。共有フォルダで保存すれば、ネットワーク上にある複数のパソコンで閲覧・入力することも可能です。

年次有給休暇管理簿をスムーズに作るためのポイント

先述のとおり年次有給休暇管理簿は、基準日以降に年次有給休暇を取得した時点で作成義務が発生します。
けれども、その都度作成するのは面倒なので、基準日に作成するのが簡単であり一般的です。

ただし、中途採用を頻繁に行っている企業では、入社日によって基準日が異なるため、年次有給休暇管理簿を作成するタイミングがバラバラになってしまいます。

こうした手間を省くために、厚生労働省では基準日の設け方について、2つの方法を勧めています。

1つ目が全従業員の基準日を年度始めなど特定の日に統一する方法です。入社日にかかわらず、基準日になると全従業員が年次有給休暇を付与されます。

例えば4月1日に入社した人は10月1日が本来の基準日になりますが、企業が4月1日を全従業員の基準日にしていると、翌年からは4月1日が基準日になります。

仮に、1年目(10月1日~9月30日)で10日、2年目(4月1日~3月31日)で11日の年次有給休暇を付与された場合、それぞれ5日分を必ず取得させるのが原則です。

管理を簡単にするなら、2つの期間を合算して比例按分した日数で取得させるのも認められています。

例えば1年目と2年目を合算すると1ヶ月半(18ヶ月)となるため、必ず取得させなければいけない日数は5×1.5=7.5日です。

2つ目は、月のどこかで統一する方法です。

例えば、月初めの1日に統一した場合、何日に入社しても6ヶ月後の1日が基準日になります。翌年以降の基準日も同じです。

2つの期間が重複しないので分かりやすい反面、毎月基準日を迎える従業員がいるため、管理の手間はかかります。どちらかといえば従業員の数が少ない企業向けでしょう。

年次有給休暇管理簿を効率よく作成・管理するには

人事担当者にとって、他の業務と並行して年次有給休暇管理簿を作成・管理するのは大きな負担になります。効率よくするには、どうすればいいのでしょうか。

年次有給休暇管理簿をサポート!「勤怠システム」

エクセルなど表計算ソフトで年次有給休暇管理簿を作成するのは、簡単で費用もそれほどかかりませんが、従業員の数が多くなるほど、管理が難しくなります。

年次有給休暇の申請を管理簿に転記する手間が発生しますし、従業員が希望するときはいつでも見られるようにしなければいけません。パソコンの画面上で閲覧できるようにすると、人事担当者以外が勝手に書き換えてしまう恐れもあります。

既存のフォーマットを使ったとしても、仕組みが分かっていなければ、エラーが発生したときに対応できません。

法改正があったとき柔軟に盛り込めないリスクもあります。
もっと簡単に従業員の年次有給休暇を管理したいのであれば、勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。

多くの勤怠管理システムでは、出退勤や残業だけでなく年次有給休暇についても管理することができます。

人事担当者の強い味方!「MINAGINE就業管理」

勤怠管理システムの中でも、ミナジンの「MINAGINE就業管理」は、人事労務の専門家が開発に携わっています。
法改正に対応しており、企業コンプライアンスに強いのが特徴です。

MINAGINE就業管理では、パソコンの画面上から従業員が年次有給休暇の申請をしたり、上司が承認したりすることができます。これらは即座に管理簿へ反映されるため、表計算ソフトのように転記する手間はかかりません。

あらかじめ設定しておけば、基準日になると自動的に年次有給休暇が付与されます。
従業員はいつでも閲覧が可能で、書き換えられる心配もありません。

規定の5日分を取得できているか確認することも簡単です。
取得していない従業員をピックアップして、画面を開いたときにアラートを表示させる機能もあります。

データはクラウドで管理されているため、大がかりなネットワークを組まなくても、インターネットに接続されているパソコンであれば、全国どこからでもアクセスすることができます。

もちろん、労働基準監督署が推奨するフォーマットで印刷できるため、本社で年次有給休暇を一括管理するのも可能です。

まとめ

年次有給休暇管理簿は、従業員に年5日分の有給休暇を確実に取得させるためにも必要です。

表計算ソフトで管理する方法もありますが、勤怠管理システムを導入するほうが簡単で、使い勝手も良いでしょう。

人事担当者の負担も軽減することができます。