有給休暇管理簿とは?休暇取得の基本や無料で使えるテンプレート3選

2018年に可決された働き方改革関が進むなか、現在、企業は従業員に対し年5日の有給休暇を取得させることが義務となっていることをご存知でしょうか。
会社の規模に関係なく、従業員を1名でも雇用している企業は、この対象となります。

これは2019年4月1日に労働基準法が改正されたことによるものですが、この改正には有給休暇に関することだけでなく、様々な新ルールが盛り込まれているため、他のルールと混同して、「年5日の有給休暇をさせることが義務化されたこと」を認識していない方も多いのではないでしょうか。

法律で義務化された以上、ルールに違反した場合「知らなかった」では済まされません。

本記事では、改正後の年次有給休暇に関するルールについて解説していきます。

また、それらの管理に不可欠な「有給休暇管理簿」を作成するにあたり、無料でダウンロードできる便利なテンプレートもご紹介します。

ぜひ最後までお読みください。

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そもそも有給休暇とは何か?をお知りになりたい方は、別記事「有給休暇が義務化された!法改正によって会社側はどう動くべきか」を合わせてご参照ください。

年5日の年次有給休暇とは?概要や罰則を解説

総合旅行サイト、エクスペディアの調査によると、日本の有給取得率は、諸外国に比べ非常に低く、3年連続で最下位であることがわかっています。


出典:エクスペディア|有給休暇国際比較調査

こうした年次有給休暇の取得促進は大きな課題となっており、2019年4月から全ての企業において、対象となる労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、企業が時季を指定して取得させることが義務付けられました。

これまで義務化されていなかった分、有給休暇の管理を曖昧にしていた、といった企業も少なくありませんが、このルールに違反した場合には、企業側に罰則が課せられる場合もあるのです。

まずは「年5日の年次有給休暇の確実な取得」のルールや、年次有給休暇の管理方法、罰則について学ぶことで、従業員へ有給休暇を消化してもらう準備を進めていきましょう。

ルールについては厚生労働省の年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説[PDF]を参考に解説していきます。

年5日の年次有給休暇の条件

そもそも企業は、労働者が雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければなりません。


出典:厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説[PDF]

このうち、企業は年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対して、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。

※パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者に対してはこのルールの対象外です。


出典:厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説[PDF]

企業は、時季を指定するにあたり労働者の意見を聴取し、可能な限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重することが求められます。

※既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、企業が時季指定をする必要はありません。

また、企業はこうした説明を、就業規則に記載することも求められます。

”休暇に関する事項は就業規則の絶対的必要記載事項(労働基準法第89条)であるため、使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。

出典:厚生労働省|年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説[PDF]

違反した場合の罰則

これまで、従業員が有給休暇を取得していなくても、企業側が罰せられることはありませんでした。

しかし、2019年4月のルール導入により、これに違反した企業には罰則が課せられる場合もあります。

対象となる違反内容や罰則については、以下の通りです。

違反条項 違反内容 罰則規定 罰則内容
労働基準法第39条第7項 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合(※) 労働基準法第120条 30万円以下の罰金
労働基準法第89条 使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合 労働基準法第120条 30万円以下の罰金
労働基準法第39条(第7項を除く) 労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合(※) 労働基準法第119条 6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

(※)罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われますが、労働基準監督署の監督指導においては、原則としてその是正に向けて丁寧に指導し、改善を図るものとします。

従業員へ有給休暇を取得させることや、就業規則への規則が義務となった以上、「知らなかった」では済まされない状況を招いてしまう恐れがあります。

有給休暇を取得することは、従業員のモチベーション維持やリフレッシュのためにも必要不可欠です。
企業側は従業員が年次有給休暇を取得できるよう、環境整備に努めましょう。

年次有給休暇管理簿

企業は労働者ごとに、時季、日数及び基準日を労働者ごとに明らかにした書類(年次有給休暇管理簿)を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。

また、この年次有給休暇管理簿は、必要なときにいつでも出力できなければなりません。

そのためには、労働者名簿または賃金台帳に基準日や日数などの必要事項を盛り込んだ表を追加したり、クラウド型の管理システムを利用する方法があります。

年次有給休暇管理簿を作成したり、記録をつけていく上で注意すべき点については、次の章で詳しくみていきましょう。

有給休暇の管理で気を付けるポイント

企業が従業員の有給休暇を管理する上で、気をつけるべきポイントをみていきましょう。

年次有給休暇管理簿には3項目の記載が必須

前の章で解説した通り、企業は従業員一人ひとりの年次有給休暇管理簿を作成し、管理しなければなりません。

この年次有給休暇管理簿の作成にあたっては、

・基準日
・日数
・時季

の3つの項目の記載が必須です。

基準日

労働者に年次有給休暇を付与した日(基準日)を記載します。
この基準日に付与された年次有給休暇(繰り越し分を含む)のうち5日分を、基準日から1年以内に取得させなければいけません。

※前倒しで年次有給休暇を付与した場合など、1年間に2つの基準日がある場合はその両方を記載します。

日数

基準日から1年の間に、労働者が取得した年次有給休暇の総日数を記載します。
※残日数ではなく取得した総日数を記載

時季

労働者がいつ年次有給休暇を取得したのか、日付を記載します。

時間休は取得させるべき5日の有給休暇に含まない

企業により年次有給休暇の取得を「全休」「半休」だけでなく、「時間単位」で認めている場合があり、その旨を就業規則に定める必要があります。

ここで注意したいのは、時間単位で取得した休暇については「取得させるべき5日」の年次有給休暇に含めることができないという点です。

例えば、全休を1回取得した場合はもちろん「取得させるべき5日」のうち1日消化となり、半休を2回取得した場合にも「取得させるべき5日」のうち1日消化した、とカウントすることができます。

しかし、時間単位での年次有給休暇取得を認めている場合、「3時間が2回と2時間が1回で1日分消化」という計算はできないのです。

自社の就業規則を今一度確認し、混同しないよう注意しましょう。

無料で使える年次有給休暇管理簿のエクセルテンプレート3選

ここまで読まれた方は、「ただでさえ大変な労務管理に、さらに年次有給休暇管理簿を新しく作らなければならないなんて」と、ため息をついている方もいるかもしれません。

しかし、インターネット上を探してみると、すでにフォーマットが整ったテンプレートが多数存在します。

本章では、無料でダウンロードできる3つのテンプレートをご紹介します。

あくまでテンプレートであるため、自社の運用に合わせるべく、また新ルールに対応した形式にするべく編集が必要ですが、一から表を作ったり、数式をいれたりする手間が省けるため、ぜひ活用しましょう。

Microsoft Office

Microsoft Officeが提供している「有給休暇管理表」というテンプレートです。
休暇取得日をカレンダーに入力しておけば、いつ誰が有給休暇を取るのか、わかりやすく管理することができます。

【注意点】
「基準日(付与日)」の入力箇所がない
半休、時間休には対応していない
付与日ごとにシート作成の必要あり

▼ダウンロードはこちら
Microsoft Office テンプレート

UCONNECT

各種業務効率化のためのテンプレートが利用できる、UCONNECTの年次有給休暇管理エクセルテンプレートです。
半日の休暇取得にも対応しているほか、年休の利用可能日を超えるとアラートが出る、などといった便利機能もついています。

【注意点】
付与日ごとにシート作成の必要あり

▼ダウンロードはこちら
UCONNECT 悪魔のエクセルテンプレート

ゆはら社会保険労務士・行政書士事務所

労務士事務所が提供する年次有給休暇管理簿のテンプレートです。
新ルールに対応しており、入社日や有給休暇の使用日を入れると、法定の付与日や付与日数、使用期限(時効)、残日数が簡単に確認できるようになっています。

【注意点】
半休、時間休には対応していない

▼ダウンロードはこちら
ゆはら社会保険労務士・行政書士事務所 年次有給休暇について

エクセルを使った年次有給休暇管理簿の注意点

従業員の数が少い企業では、すでに労務管理をエクセルで行なっている場合も多いと思います。
労働者名簿や賃金台帳のエクセルデータがあれば、年次有給休暇管理簿もそれらに紐付けて、エクセルで管理すると便利です。
コストがかからないため今すぐにでも導入できるほか、誰でも扱いやすいというメリットがあります。

一方で、手動管理のため入力ミスや、別のファイルや宛先と間違えて外部に流出してしまうようなヒューマンエラーを起こしやすい、というデメリットもあります。

すでにエクセルでの労務管理に限界を感じている企業や、今後人員増幅を考えている企業は、労務管理システムを利用すると良いでしょう。

MINAGINE就業管理」は、年次有給休暇の管理ができるクラウド型勤怠管理システムです。

出典:MINAGINE就業管理システム

出退勤の管理はもちろん、残業申請や休暇申請といったフローも完備しており、労基署推奨のフォーマットで出勤簿を出すことも可能です。

出典:MINAGINE就業管理システム(有給休暇の申請

従業員は有給休暇や特別休暇などをシステム上で申請することで、それぞれが自身の消化日数を自己確認でき、管理部側への問合せも最小化されます。

こうしたシステムを利用することで、労務管理に関わる全ての手間を削減できるので、従業員が10名を超えたらシステムの導入を検討しましょう。

関連資料

勤怠管理システム「MINAGINE就業管理」の特長・導入事例をサクッと目を通せる形にまとめた資料「1分でわかる!MINAGINE就業管理」を、無料でダウンロードできます。勤怠システムのご利用検討時に、他社サービスとの比較検討を素早くしたい場合にご活用ください。

まとめ|年次有給休暇はしっかり管理し保管しよう

今回は、2019年4月に適用された新ルール「年5日の年次有給休暇の確実な取得」の概要や、年次有給休暇の管理について、解説いたしました。

新ルールでは、企業は対象となる労働者に対して、基準日から1年以内に5日、年次有給休暇を取得させなければなりません。これに違反した企業には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる場合があります。

また、企業は労働者ごとに、年次有給休暇管理簿を作成し、当該年休を与えた期間中及び当該期間の満了後3年間保存しなければなりません。

年次有給休暇管理簿の作成が義務化し、労務管理が複雑になったこの機会に、ぜひ労務管理システムの導入を検討してみてください。

従業員が有給休暇を取得することは、ビジネスアイデアを思いついたり、モチベーションが維持できるなど、企業にとってもメリットが大きいものです。
従業員が年次有給休暇を取得できるよう努め、企業と従業員双方にとって満足度の高い職場環境を整えていきましょう。

コンプライアンスを万全にして労務リスクをなくしたい!とお思いの人事担当者様へ

労務管理をちゃんとやりたい。 コンプライアンスを遵守して、未払賃金をなくしたい。 フレックス制や裁量労働制など、新しい働き方を導入したい。 残業の上限規制や有給休暇の取得義務化をしっかり守りたい。

労務管理の運用の基本は勤怠管理です。勤怠がしっかりできていないと、会社のリスクは増し社員の不満も高まります。しかし、労務管理はしっかりやろうとすればするほど、業務は複雑になり、そこに確かな知識が必要になります。MINAGINE就業管理システムは、給与計算事務の効率化だけでなく、「労務リスクをなくす」ツールとして活用できます。

・クラウド型勤怠管理システムとして10年の実績 ・ユーザー企業の約35%がコンプライアンスに厳しい上場企業/グループ企業と外資系企業 ・社労士や給与計算経験者によるサポート

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