INTERVIEW

語る

お客様が課題を意識する前に対応策を準備しておく

まずは、今までのキャリアについて教えてください。

事業会社で人事労務を6年半担当した後、社労士事務所に転職、その後、今のみらいコンサルティング株式会社に転職し、今はコンサルティング業務をメインにしています。

最初の会社ではどんな業務をされていたのですか?

前職の社労士事務所での業務は、給与計算や社会保険の手続き関係がメインでした。今は前職とは違って、何かあった時に備える、リスク回避の対策のための支援を行っています。どちらかというと攻めではなくディフェンスの業務ですね。労働基準監督署の調査が来て困る前に、調査があっても対応ができるようにルールやシステムを構築していきます。

現在は、どういったクライアントが多いのでしょう。

上場を目指している企業様が多いです。この業界はとてもコンプライアンスに厳しいので、年々ハードルが上がるのを感じます。この審査に耐えうる提案ができるコンサルティング企業として、当社は業界内での評価を得ていると思います。歴史も長いので、証券会社からのご紹介や、今までお付き合いのある企業様からのご相談が多いですね。

他に多い相談はありますか?

労働基準監督署から是正勧告が出たのでそれに対応しないといけないとか、労働時間を把握しておらず、割増賃金や残業代の未払い請求をされたとか、さまざまです。退職者、現役者からの請求もあれば、監督署も随時調査に回っているので、指摘が入ったという相談もあります。労働時間、管理監督者の取り扱い、36協定の遵守あたりが、やはり多いですね。課題のレベル感は違いますが、どこの会社もこれらの課題がだいたい出て来ます。

相談を受けてから提案までの流れを教えてください。

流れとしては、まず労務コンプライアンス調査を行います。労働基準法、労働関連法令に照らし合わせて、不備がないか網羅的に調査をしてから、平均で20~25個位のコンプライアンスや運用に不備がある課題の項目を挙げ、それを改善していくという流れになります。

会社によって改善レベルは違いますよね?

たとえば出勤簿で印鑑だけを押している会社なら、ルールを一から全部作っていくことになるし、ある程度管理しているけれど一部不備があるというのであれば、既存のシステムを少し修正するだけで済む場合もあります。適正な労働時間管理をするにあたり、どのようなルールが必要かを検討し、構築して提案する。その後、基本的には企業側にシステム導入を勧めます。

結果的にシステム導入という選択肢になる

やはり、システムの導入は、これからの時代に必須なのでしょうか?

エクセルでもできないことはないです。でも、人がやると必ず抜けや漏れが発生するので、一次チェック二次チェックが必要になる。時間や人件費を考えると結果的にシステムを入れざるをえなくなるんです。50名以内の会社なら何とかなるかもしれませんが、100名を超えると毎月の勤怠管理だけで選任が1人必要となる。また、多店舗展開をしている会社だとデータが別れてくるので、拠点で管理するよりはシステムに任せるほうがいい。こういった企業様には「MINAGINE就業管理」を提案します。

「MINAGINE就業管理」のどんな機能が便利だと思われますか?

ミナジンの場合、実際の打刻と申請打刻が分かれているので客観的な記録を残せたり、決めた時間にアラートを鳴らして未取得の休日が残らないように設定ができたりする。36協定の限度時間を超える時間外労働が発生しないように多様な設定にできるのが、一番のメリットだと思います。

システム提案後のコンサルティング業務はいかがですか?

他の勤怠システムも紹介していますが、「MINAGINE就業管理」はサポートがしっかりしているので、紹介後、私の方に問い合わせが来ることがないんです。また、ミナジンの場合、社内に専門家がいて労働基準法やコンプライアンスに詳しいので、企業様に疑問が発生してもミナジン・サポートセンターとの間で完結しているのだと思います。

他社システムを提案されることもありますか?

他社の場合、変形時間労働制度を運用するにあたって、シフトの設定が上手くできないとか、休日、代休などの振り替えが別れていないとか、アラートが一個しか設定できないので36協定の遵守にあたって不足があるといった問題が生じるケースがあります。そういう場合は、私どもがお客様と一緒にサポートセンターに電話して、状況を説明し質問することになります。

どんな企業に「MINAGINE就業管理」が向いていると思われますか?

IPOを目指す会社、法令遵守の意識が高い会社、比較的人数の多い会社ですね。人数が多くなるとコストパフォーマンスがとても良くなります。人事労務や管理部門は人材が少ない会社も多い。だから、負担も多いし抜けも出てくる。やはり、企業はなるべく普遍的な運用管理を目指すべきです。システムを導入し効率化を図り、少ない人材でも対応でき、人材が変わっても運用ができることが大切。ミナジンさんはコンプライアンスや法令の変更に強い会社。この業界では法改正がすごく多いので、随時対応されているのが素晴らしいと思います。

テレワーク、ワークシェアにどう対応するか

コロナショック以降、企業から増えた相談はありますか?

在宅テレワークを導入した企業から、かなりご相談をいただいていいます。緊急対応としてとりあえず導入したけれど、仕事ができる人とできない人の格差が顕著に現れている。評価、コミュニケーション、手当をどうするのか。セキュリティを含めた在宅のルールをどう作ればいいのか。こういったご相談はとても増えましたね。

働き方が必然的に多様化しているのですね。

あとは、売り上げが落ちていて、週5日で人を雇えない、その必要がなくなった等の理由から、週3日、4日勤務の正社員や限定正社員を検討する会社も増えています。これからはワークシェアが広がっていくので、週のうち数日勤務し、プラス副業をする人が増えてくる。これらに対し、在宅勤務規定や運用ルールの構築を提案したりしています。

今後の目標を聞かせてください。

ワークシェアが活発になると、法的リスクが高まるので、労働時間や割増賃金の判定、労働時間管理が難しくなる。雇用と業務委託をどう住みわけるかという相談が増えるはずなので、そこの支援がしたい。お客様が先に課題として持つまえに、早めにアクションを起こしていきたいと考えています。

みらいコンサルティング株式会社
佐保田 藍 先生(みらいコンサルティング株式会社)

事業会社での人事を経験し、現在はIPOを目指す企業に対し労務リスク対応のコンサルティング支援を行う。さまざまな業種業態の企業に関与することで労務に対する多様な課題解決を提案する。

TOP