Special Interview

〜フロント・ランナーに迫る!〜

体質の古い社労士業界を変える!その想いでここまで来た。
2020年10月30日

Guest:
合同会社のぞみプランニング 代表取締役会長(兼)経営戦略事業部 事業部長/青木 史郎 氏(写真中央)
合同会社のぞみプランニング 代表取締役社長 CS推進事業部 事業部長/工藤 英二 氏(写真右)

Interviewer:
株式会社ミナジン 代表取締役社長/佐藤 栄哲

 

変化の激しい社会状況下、これからの社労士はどうあるべきか? 株式会社ミナジン・代表佐藤栄哲が、業界をけん引するフロント・ランナーたちの軌跡と知見に迫ります!

 

業界の感覚は20~30年遅れている

佐藤「社会保険労務士の精鋭集団、合同会社のぞみプランニングを立ち上げて18年。青木史郎会長は、日本初の合同会社を設立された、業界でも有名な敏腕経営者。2年前から会長職に就かれ、現在は若手社労士のさらなる育成と業界発展のため精力的に活動されています。そのパワーの源に迫りたいと思い、今日は工藤英二社長とともにお越しいただきました。まずは、そのルーツからお聞きしたいです」

青木「私は外資系製薬会社で25年間勤めましたが、当時は企業合併が多く2度のワールドワイドな合併を経験した。会社や自分の成長のためにと頑張ったのですが、いくらお客様や会社のためにと様々な提案をしても、結局は合併の主導権を握っている会社の意見が通る。また、当時は24時間365日戦えますかの、まさにリゲインの世界。このまま仕事をしていたら45歳で死ぬなと。(笑)だから、自分に出来る好きなことをやろうと思ったんです」

佐藤「外資系の製薬会社から、なぜ社労士に?」

青木「会社を辞めようと決めたものの、自分には何ができるかわからない。そこで、独立起業している先輩を訪ねたら、製薬業界なので薬剤師になっている人ばかり。でも、私には薬剤師の資格がない。ただ、1人だけ社労士で独立した先輩がいて、ビジネス経験が長いなら社労士がいいよと勧められた。そうか、ビジネスに関わる法律が専門なら飯が食える!と確信した。でも、資格がいることを知らなかったんです。(笑)最初の1年は会社から帰ってから勉強をしていたのですが、試験に通らなかった。そこで、2年目は退路を断って会社を辞め、1日12時間から15時間、飯、風呂、トイレ以外はすべて勉強にあてて46歳で資格を取りました」

佐藤「45歳にして退路を断つ。その決断力とバイタリティがすごい。実際に社労士になってみていかがでしたか?」

青木「びっくりしました。とんでもない世界に入ったなと。資格を取ったばかりの新人なのに先生と呼ばれ、違和感があった。また、営業をかけたいと思っても、既に先輩社労士が関与している企業にはチラシもまいてはいけない。それを聞いて、この業界はあかん、自由競争じゃない。外資系にいたせいかもしれないけれど、私から言わせれば20年から30年は遅れている。そこから社労士業界を変えてやろうという目標を決めました」

佐藤「普通は先生という立場にあぐらをかくところですが、そうならないところが青木会長らしい。その後、すぐに起業されたのですか?」

青木「まずは、のぞみ労務経営事務所という個人事務所を作り、すぐに20軒ほどクライアントは持てたのですが、地域密着型で仕事は労務相談・手続き・給与計算ばかり。面白くなくて3年で飽きました。そこで社労士としてビッグビジネスにするには、日本全国でビジネス展開をしたい。桃太郎の気分で、これから社労士界を変えるぞ! 一緒にやる人この指とまれと、いろいろな知り合いの新米社労士に声掛けを始めた」

 

 

社労士の知名度を上げる

佐藤「当時、個人事業主を集め合同会社にするという発想が凄いなと思いました」

青木「法人にする際、社労士はまだまだ知名度が低かった。でも、それぞれが独立起業した一国一城の主であることを活かしたかった。ちょうど平成18年5月に新会社法が施行され合同会社という形態が認められたので、これだ!と思った。法律の施行日の5月1日に合同会社第1号を作りたいという思いで、役所(法務局)の人を動かし、人も金も集めて日本第1号として申請をした。当初は、5名くらいで梅田の一等地に4畳半のSOHOオフィスを借りて始めた。家賃5万7千円を払うのも大変でした。でも一緒にやりたいという社労士が全国から来てくれて、あっという間に10名、20名と増え、そこで東名阪、愛媛にも支社を作ったんです」

佐藤「工藤社長とは、どういうきっかけで出会われたのですか?」

工藤「実は、私も青木さんと同時期の平成15年に開業したんです。当時青木さんは、人事制度やISO9001に関するいろんな研修の企画を実施していた。そこに参加して出会ったのがきっかけですね」

佐藤「社労士の知識向上以外には、青木会長はどんな活動をされていたのですか?」

青木「士業の人が一番弱いのは営業力。でも、私には圧倒的な全国ネットワークと営業力があった。そこでどんどん仕事を取って同期の仲間に振っていったんです」

佐藤「自身で抱え込まないのが素晴らしいですね。工藤社長はどうして青木会長の下でやっていこうと思われたのでしょう」

工藤「実は、社労士の資格を取ればなんとかなるという甘い気持ちで始めたんです。でも25年ビジネスにもまれてきた青木さんに出会い刺激を受けた。社労士は、ドアをノックする営業だけではなく、セミナーをするとか、新たなニーズや情報収集に注力するとか、やるべきこと、できることがたくさんあると知った。青木さんの視点や企画が新しく勉強になりました。そこから一緒にやっていく面白さを実感したんです」

佐藤「青木会長は、設立当初から既存のやり方に執着せず、幅広く活動されていますね。今の、社労士に足りないものは何だと思われますか?」

青木「営業力やマーケティング力もそうですが、まず「自分は将来こうなりたい!」という思い・志・人生観が必要。仕事はそのための手段です。世の中仕事が目的化している人がほとんど。一日のほとんどの時間を費やすのだから、仕事が面白くなかったら人生が面白くないのと一緒。なぜそれをするのかを明確にしないとブレていく」

工藤「私は、青木会長と仕事をする中で、これからは労働法が大事で、世の中が社労士を求めている時代だとわかった。どんなにテクノロジーが進んでも企業経営の資源の要は最終的には人。そこに関われるというのは最高の仕事なんですね。のぞみプランニングに入ることで社労士への姿勢が固まりましたね」

青木「ある程度クライアントがいて、食べていけたらいいわという発想では寂しすぎるし、目指す山が違う。私は関西出身ですが、六甲山じゃなくてやはり富士山やエベレストを社労士業界全体で、目指したい」

佐藤「いろいろな社労士に会いましたが、青木会長のようなパワフルな方はいないから、出会った時はすごいインパクトでした」

青木「私は社労士業界全体の地位を向上させたいし、ミナジンさんは勤怠管理システムで社労士業界に貢献したい。方向性が同じで波長が合い、佐藤社長が気に入った。そこが一番大事です。佐藤さんとはよく全国のいろんな会社をまわったし、戦友でもある」

佐藤「ミナジンがシステム販売をスタートさせて間もない頃にお付き合いが始まり、結構ご迷惑もかけたのに、一緒に対応しながら育てていただいた」

青木「社労士としての専門知識だけでクライアントとつながっていると失敗したら終わりです。あなただから頼む。そういう関係性、信頼の構築がビジネスにおいて重要なんです」

 

 

コロナショック以降の時代を生き抜くには

佐藤「コロナショックで厳しい社会環境ですが、のぞみプランニングさんでは、どんな対応をされていますか?」

工藤「世の中がドラスティックに変わっていく中、当社では国内外の動きを判断しながら、社内対策と対クライアント対策を早急に進めています。社内的には、テレワーク、時差出勤を導入して、ペーパーレス化と一気にデジタル化を進めています。まだまだITリテラシーが弱い人が多いので、そこを徹底的に教育していますね」

佐藤「今後、社労士が生き残っていくにはどうしたらいいでしょう」

青木「これからの時代、コンサルティングへの移行が大事です。そのためには、専門知識だけではだめ。人事制度には正解がなく、社長と社員の間で折り合いをつけ、社長を納得させるような社労士でないと人事制度なんてできない。要は人間力とプレゼンテーション力ですね」

工藤「今、業界にとてもいい風が吹いていると思います。ただし、このビジネスチャンスに気付いているのは社労士の2割くらい。ボーっとしているのはもったいないと思いますね」

佐藤「特に、どこにビジネスチャンスがあると思われますか?」

青木「国をあげて働き方改革を推進している。社員の就業管理、健全な事業運営、組織の活性化、全部社労士の範疇です。また、コロナショックに関連する助成金の申請も社労士の仕事。メディアに取り上げられ知名度は一気に上がっている。これを活かさない手はない。社労士は今の世の中を変えられるくらい、士業で一番トレンディな仕事だと思います。そこに気付いてほしい」 

佐藤「時代への対応が柔軟ですね。また、事業継承が上手くいかず潰れる会社が多い中、のぞみプランニングさんはここ3年で上手く移行されましたね」

青木「コロナショックを機に直接対面型のKKD(経験・勘・度胸)営業スタイルはもう終わった。私の時代ではない。トップランナーでやってきたけれど、組織もできて人も増えた。これからは工藤さんに合ったスタイルでやるのがいいんです」

佐藤「潔くそう思えるトップは少ない。青木会長の人間力あればこそですね」

青木「私も今は、いかに仕事をしないかです。本当は小さなチリ1つ見えるけれど……口出ししない、しんぼうです。(笑)任せるしかないし、100年企業を目指せると信じています」

佐藤「これからは、MINAGINE Labの会員のみなさんにも、営業、マーケティング、コンサルティングなど、培った知見をぜひご教授いただきたい」

青木「キーワードは変革と成長、そして臨機応変(柔軟性)です。混とんとして読めない時代に、社労士の仕事はここまでと区切るような固い頭ではいけない。何をすべきかを敏感にかぎ取って生き延びてほしいですね。私も若い方のお手伝いをしたいと思っています」

 

 

 

 

取材協力

合同会社のぞみプランニング 代表取締役会長(兼)経営戦略事業部 事業部長
青木史郎 氏

昭和53年大学卒業後、外資系製薬会社に25年間勤務。MR(Medical Representative)経験後、本社営業統括部に異動。本社にて全社の医薬品営業・マーケティングを推進。チバガイギーとサンド薬品の合併タスクフォースとして流通部門の統合作業(ノバルティス)に邁進。その後、アストラジャパンに転進。アストラジャパンの自販体制、アストラジャパンとゼネカ薬品の合併統合作業(アストラゼネカ)を推進。医療用医薬品の営業現場(病院・開業医・調剤薬局)、本社営業推進、企業合併等の豊富な経験により「企業の創造」及び「人の融合」等、新しい環境変化に即した体制作りを得意とする。営業畑一筋25年。平成15年4月47歳にてのぞみ労務経営事務所(のぞみプランニングの前身)設立、平成18年5月 合同会社のぞみプランニング設立。外資系製薬会社で培ったマインド、ノウハウ、スキルを活かし、これからの「あるべき社労士像」を目指し、「誠実・迅速・熱意」をモットーに、日々、アグレッシブに活動。趣味はゴルフ、釣り、読書、小動物飼育。座右の銘は「意志あるところ道あり」「継続は力なり」「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」。資格:特定社会保険労務士、医業経営コンサルタント。 

 

合同会社のぞみプランニング 代表取締役社長
CS推進事業部 事業部長
工藤 英二 氏

関西大学社会学部卒業。大手書店勤務を経て、社会保険労務士として独立。
平成18年合同会社のぞみプランニングに業務執行社員として入社。
「誠実・迅速・熱意」をモットーに、中堅企業様~1部上場企業様の労務相談・就業規則等のコンサルティングを行う。最近では働き方改革が推し進める施策の下、法律に対応できて「当たり前のことを当たり前にできる会社」づくり、そして「ありがとうと言われる社員」づくりという観点から、「この会社で働けてよかった」と思えるような職場環境づくりの支援・組織活性化に力を入れている。