勤怠管理はAIで代替可能なのか?

昨今、AIブームにより「その職業はAIで無くなる」「そんな業務AIに任せればすぐできる」と言った会話をよく耳にする機会が増えました。勤怠管理の分野でも同様です。
しかし、実際の業務をやっていると人じゃないと解決できない部分も多いのではないでしょうか?
今回は勤怠管理において、AIやシステムで代替できる業務と出来ない業務について考えていきたいと思います。
自社ではAIでこういうことやってみたよという事例などもあればご意見ください。

AIでできること:数字とパターンの世界は圧倒的に強い

AIが得意とするのは、大量のデータを淡々と処理し、矛盾や異常を見つけ出すことです。勤怠管理の分野でもこれは大きな力を発揮します。
たとえば…

  • 打刻漏れ・二重打刻・の不整合の自動検出
  • 勤怠エラーの理由を自然言語で説明するレポート生成
  • 月次勤怠レポートや残業傾向の自動分析

こういった領域は、実はすでにほぼAIで代替できます。
むしろ人間が目視でやるよりもはるかに正確で、スピードも圧倒的です。
ただし勤怠システムを使ったりマクロを作ればそれでも対応可能な内容ではあります。

勤怠システムでできること:仕組み化すれば人の手は劇的に減る

勤怠管理の多くは、AI以前に「システム化すれば手作業が消える」領域がまだまだ残っています。

  • 労働時間の自動計算
  • 固定残業や深夜残業の自動判定
  • 休暇・申請ワークフローの一元管理
  • 集計結果の給与計算ソフトへの連携
  • 36協定のアラート

「人がやっている作業を正確に勤怠システムへ置き換える」だけでも、
運用負荷は半分どころか、企業によっては70〜80%削減も起こります。
ただしシステムにも限界がありルール化されていないことには対応しづらい宿命があります。

人でなければ難しいこと:勤怠管理の“本当に面倒な部分”は実はここ

勤怠管理が完全に自動化できない理由は、どの会社にも存在する「例外」と「曖昧さ」です。

 

就業規則に書いていない「現場ローカルルール」という存在

就業規則は会社の公式ルールですが、実際の現場ではそれだけでは回らないケースが多々あります。

たとえば、規則上は休憩60分と定められていても、
「忙しい日は実質30分しか取れていない」という現場の暗黙ルールが存在していることがあります。
あるいは、遅刻について「15分未満なら問題にしない」という運用が、
部署ごと・上司ごとに異なっているケースも珍しくありません。


勤怠管理担当者は「規則通りに処理すべきか」「これまでの慣習を尊重すべきか」という判断を迫られます。
どちらを選んでも、誰かにとっては「おかしい」と感じられる可能性を含んでいます。

 

アラートが出ても解決しない、打刻・申請漏れ

勤怠システムには打刻漏れや申請漏れを通知する機能があります。
しかし、アラートが出たからといって、必ずしも問題が解消されるわけではありません。

毎月のように同じ社員が打刻を忘れ、申請も出さない。
通知は届いているはずなのに、本人は対応しない。
結果として、勤怠担当者が個別に連絡し、場合によっては上司を巻き込み、
締め処理の期限とにらみ合いながら対応することになります。


「今回は仮処理にしてよいのか」
こうした判断は、システムではなく人に委ねられています。

 

出勤予定の変更なのか、ただの打刻漏れなのか

シフト勤務や予定管理をしている職場では、
打刻データだけを見ても状況が分からないケースが頻発します。

本来は9時出勤のはずが、12時半にしか打刻がない。
申請も連絡もない。
これは予定変更なのか、午前休なのか、単なる打刻漏れなのか。

勤怠管理担当者は、
「どこまで確認すべきか」「誰に確認すべきか」「締め処理を待つべきか」
といった判断を、毎回その場で行っています。

 

突然の深夜出退勤が意味するもの

普段は日勤の社員が、ある日突然、深夜帯に出退勤している。
このデータを見たとき、勤怠管理担当者は単純に「正しいかどうか」を確認しているわけではありません。

それが会社指示の急な深夜勤務なのか。
本人が勝手に働いているのか、打刻ミスなのか。

 

勤怠システムの「設定ミス」か「運用の歪み」か

エラーが出ているからといって、必ずしもシステムが間違っているとは限りません。
一方で、設定が実態と合っていないために、毎月エラーが量産されているケースもあります。

フレックスなのに1日8時間超えたら残業扱いになる。
所定休日の勤務なのに平日扱いされる。

それを「設定で直すべきなのか」「実はシフトが変わっているのか」という判断も、
現場の勤怠担当者に委ねられています。

勤怠管理の難しいところはまさにここで、
法令と人間事情の間にあるグレーの解釈を扱う部分が人に残るのです。

 

意外とAIに任せることではないのかもしれない

勤怠管理は単純に「AIで置き換わる/置き換わらない」という議論では収まりません。 重要なのは、どう業務を整理するかです。
自社の勤怠管理のためにAIの開発に踏み切る会社はほとんどないのではないでしょうか?
この線引きが上手い企業ほど、担当者が月末月初にバタバタする負担は軽くなり、コンプライアンスリスクも下がり、
結果的に働き方改革や離職防止につながっていきます。

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