建設業向けの勤怠管理システムおすすめ4選!導入ポイントや機能も解説

建設業においては、勤怠管理を手書きのタイムシートや日報で行なっている企業も多く、

  • 「日報がなかなか集まらない」
  • 「手書きのため入力漏れや記憶違いの誤った報告が多い」
  • 「現場からの報告に信憑性が欠ける」

などといった悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。

これらに加え、現場への直行・直帰がルーティンである従業員が多いことや、現場ごとに勤務時間が異なる、といった点も、建設業における勤怠管理を煩雑化させてしまっている要因といえるでしょう。

建設業界特有の悩みや、法改正による課題を一気に解決するためには、最低限の管理をオンライン上で行える「勤怠管理システム」の導入が不可欠と言えます。

本記事では、勤怠管理システムを利用することで建設業の悩みをどのように解決できるのか、また、建設業におすすめの勤怠管理システムはどのようなものかについて解説いたします。

ぜひ最後までご覧ください。

そもそもなぜ正確な勤怠管理が求められるのか

「働き方改革」の一環として2019年4月に行われた労働安全衛生法改正によって、「企業が従業員の労働時間を客観的に把握しておくこと」が義務化されました。

このことにより正確な労働時間管理をすることが必要になりましたが、その労働時間を管理する上で重要な要素の一つが勤怠管理です。

勤怠管理を行う際に様々なメリットがある「勤怠管理システム」は、労働時間管理においても大切な以下のポイント3つを備えています。

  • 法定三帳簿の原則3年間保存
  • 労働時間以外の勤務日数・休日出勤・残業時間・深夜勤務時間の管理
  • 自己申告の勤怠管理

そのため建設業のみにかかわらず求められる正確な労働時間管理を適切に、かつストレスフリーに行うことが可能となるのです。

▼労働時間管理で従業員の勤怠を正確に管理するための方法が知りたい方は別記事「労働時間管理とは?従業員の勤怠を正確に把握するための3つのポイント」も合わせてご覧ください。

勤怠管理システム導入で解決できることとは?建設業ですべき3つの理由

冒頭でも触れた通り、建設業では特有の勤務スタイルや文化から、勤怠管理におけるさまざまな悩みや課題が山積しています。

さらに働き方改革による法改正もあり、勤怠管理における対策が追いついていない企業も少なくないでしょう。

本章ではこうした課題を、勤怠管理システムを導入することでどのように解決できるのか、

  1. 労働時間を記録できる
  2. 集計を正確に・早く行える
  3. 有給休暇の5日利用の推進が可能

の3つの観点から、解説いたします。

1. 労働時間を記録できる

働き方改革により労働安全衛生法が改正され、2019年4月から労働時間を「客観的な方法で適正に把握すること」が義務付けられました。

企業は、従業員の就業時間を把握し、そのデータを3年間保管しておく必要があります。

手書きのタイムシートでは、何らかの事情により、実際の就業時刻と異なった時刻が記載されていても、使用者はそれに気がつくことができない場合があります。

このため、自己申告記入制の出勤簿は「客観的管理の観点から外れる」と判断される場合があります。

出典:MINAGINE勤怠管理

勤怠管理システムの中には、勤怠の打刻を指紋認証で行えるものや、上記の図のようにGPSで打刻した場所を管理できる(GPS打刻機能)ものがあります。

労働時間を勤怠システムで管理すれば、恣意的に労働時間を変更して記録することができなくなるため、不正や記入ミスといったケースもなくなり、システムによる客観的な管理が可能になります。

現場からの報告に信憑性がない、といった悩みも、同時に解決できます。

▼残業時間の管理や申請方法について知りたい方は、別記事「残業申請のルールと運用で失敗しない!適切な残業時間管理の鍵」も合わせてご覧ください。

2. 集計を正確に・早く行える

東京都産業労働局の「労働時間管理に関する実態調査(平成29年)[PDF]」によると、建設業に限らず、現状では労働時間の管理をタイムカードや自己申告によって行っている企業が80%以上であることがわかっています。

出典:労働時間管理に関する実態調査[PDF]

しかしタイムカードや自己申告の手書きの報告書での管理だと、提出漏れや記入漏れに気がつくのに時間がかかったり、集計に手間がかる、効率も悪く正確な管理が困難です。

勤怠管理システムで管理することにより、膨大な勤怠データをシステムが集計してくれ、給与計算まで自動で行なってくれるため、人の手による集計の必要がなく、かつ正確に管理することが可能です。

また、システムのアカウントと社員番号を紐づけることで日報と記入時間もシステムで一元管理が可能です。これにより、今まで勤怠管理に従事していた人事などの担当者の業務工数を削減できます。

手書きのタイムシートのほか、タイムカード・出勤簿などのアナログ手法で勤怠を管理している場合は、勤怠管理システムの導入を検討した方が良いでしょう。

3. 有給休暇の5日利用の推進が可能

2019年4月に改正された労働基準法では、全ての企業は、従業員に年5日の有給休暇を取得させることが義務化されました。(年次有給休暇が10日以上付与される労働者が対象)

しかし建設業は、慢性的な人不足や工期を重視する文化から、有給休暇の取得率が低い業種となっています。

出典:厚生労働省|平成30年就労条件総合調査の概況[PDF]を元に作成

上図は厚生労働省の調査を元に、産業別に労働者の有給休暇取得率の平均をグラフ化したものです。

建設業の有給休暇の取得率は38.5%で、他業界と比較すると、著しく取得率が低いことがわかります。

同業界は、慢性的な人不足や工期を重視する文化から、有給休暇を取得しにくいと言われていますが、この事実に加え、既に述べたような「勤怠管理のし辛さ」や「休暇把握の難しさ」も、有給休暇の取りづらさに拍車をかけているといっても過言ではないでしょう。

加えて、2019年4月より順次施行されている働き方改革関連法では、事業者が従業員に有給休暇を取らせることや、客観的に労働時間を把握することが義務付けられています。

先述の法改正では、違反する企業には罰則が課される場合もあり、建設業界にとっては深刻な問題と言えるでしょう。

しかし勤怠管理システムを利用すれば従業員の休暇を可視化して管理できるため、効率よく従業員に休暇をとってもらうことが可能になり、こうした問題を解決するための一助となるでしょう。

出典:MINAGINE勤怠管理(時間外労働時間数がハイライトされる)

▼関連情報

安易に勤怠管理システムを導入してはいけない

勤怠管理システムは建設業における多くの課題を解決してくれますが、企業によっては必ずしも積極的に導入するべきとは限りません。確かに手書きのタイムシートや日報での勤怠管理は入力漏れや記憶違いの可能性が出てきますし、信憑性に欠けてしまうのも事実です。

しかし、企業規模や従業員数によっては手書きのタイムシートや日報で事足ります。安易に勤怠管理システムを採用してしまうと、むしろ自社に合わず、かえって工数や費用が発生してしまうケースがあります。

勤怠管理システムは一度導入を進めたら、再び別のシステムへ移行することは容易ではありませんから、トライアルで試せる勤怠管理システムならば、まずは試してみましょう。こちらの記事では、22種の勤怠管理システムの特徴や強みをまとめています。自社に合ったシステムはどれだろう…?とお悩みの担当者さまは、ぜひご覧ください。

ここからは、「導入した勤怠管理システムが自社と合わない」といった不測の事態を防ぐためにも、システム導入時に注意しなければならない点をいくつかご紹介します。

システム導入時の注意点

・従業員に便利な打刻方法が望ましい

勤怠管理システムにおける打刻方法は、ICカードで管理するのか、各自に貸与するPCやスマートフォンなどで管理するのかだけでも大きく異なってきます。

例えば、出張や直帰が日常的な社員の割合が多い企業では、必ず実地で打刻しなければならないICカードによる管理は不向きでしょう。その点、WEBブラウザでの打刻は、ネット環境さえあれば、スマートフォンやPCで打刻できます。

PCやスマートフォンでの勤怠管理を行う場合、従業員のために新たにデバイスを用意しなければならないケースが出てきます。従業員にとって一番便利な打刻方法を採用するのが望ましいですが、システム導入時にはコストが発生する点も注意しましょう。

・打刻漏れが起こる可能性を視野に入れる

勤怠管理において、従業員が新しい打刻方法に慣れるまでは、うっかり打刻そのものを忘れてしまうケースが出てきます。その際のカバー方法についても、検討しなくてはなりません。

打刻漏れに限らず、トラブル発生時のサポート体制は各社によって異なります。各社を比較検討のうえ、システムの導入を進めていきましょう。

・コストが発生する

システム導入時には、それなりのコストが発生するケースが多いです。それは、新システム移行における従業員への教育コスト、新デバイス導入による物品コストなど様々です。

自社にはどこまでの機能が必要なのか、どこまでの予算を捻出できるのか等を考慮し、コストパフォーマンスの良い勤怠管理システムを選びましょう。

▼勤怠管理システムの選定基準について知りたい方は、別記事「失敗しない勤怠システムの選び方は?も合わせてご覧ください。

建設業におすすめの勤怠管理システムの選び方

勤怠管理システムと一口に言っても、その機能や使い勝手はシステムにより大きく異なります。

建設業においては

  • 直行・直帰の従業員が多い
  • 従業員が複数の現場を掛け持ちしている
  • 現場ごとに勤務時間が異なる

といった傾向から、勤務時間の把握だけでなく、工事労務費の集計や人員調整が煩雑になりがちです。

また同業界は慢性的な人不足や工期重視といった理由から、有給休暇の取得率が低く、週休2日制を取り入れている企業も少ないなど、従業員が十分な休暇を取りづらいことも課題となっています。

こうした建設業界特有の悩みを解決するためには、

  1. クラウド型
  2. GPS打刻
  3. 工数管理機能(日報入力機能)
  4. 休暇管理機能

の4つの機能が備わった勤怠管理システムを選ぶと良いでしょう。

それぞれの機能について、詳しくみていきましょう。

1. クラウド型

「クラウド」とは「インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用する」という考え方を指します。

従来の勤怠管理システムは特定のパソコンからしかアクセスできない(オンプレミス型)といった理由から、人事担当者が集めた従業員分のタイムシートや日報をまとめて本社のパソコンに打ち込んだり、遠隔地の現場での工数確認を取るのに時間を要するなど、現場との連携が必要な建設業には不便な点がありました。

クラウド型の勤怠管理システムであれば、インターネット上の情報システムで勤怠情報を管理・運用できるため、時間も場所も選ばずにデータへのアクセスやリアルタイム反映が可能になります。

また、サーバーのバージョンアップを行いたいときは、サーバー管理ベンダーに問い合わせることで対応できます。急に従業員が増えたときや、機能を追加したいときなどに、自社で専門家を抱えておらずとも小まめに対処できるのが魅力でしょう。

▼勤怠管理比較表

参考:株式会社ミナジン代表取締役社長 佐藤栄哲のブログ

インターネットと端末さえあれば導入が可能なため、コストを最小限に抑えられることも魅力です。

2. GPS打刻

GPS打刻とは、スマートフォンやタブレットのGPS機能を利用し、専用のアプリケーションから打刻してもらう勤怠管理方法です。

使用デバイスのGPS機能をONにしておけば、従来のタイムカードと違い、従業員が外出した出先のどこで、いつ出退勤したかという情報を把握できます。そのため、別々の現場を担当している複数の従業員それぞれの出勤場所を把握し、より正確な勤務記録を残すことが可能です。

出典:MINAGINE(打刻画面)

出典:MINAGINE(打刻場所の表示)

GPS打刻アプリでは、位置情報を利用して、打刻が有効となる場所の範囲をあらかじめ設定できるものがほとんどです。つまり、設定したエリアに出勤していなければ、打刻通知を送ることができないのです。
不正な打刻を防ぐこともでき、直行・直帰の多い建設業では必須の機能と言えるでしょう。

3. 工数管理機能(日報入力機能)

日報入力の機能があれば、労働時間のデータと合わせて、工事労務費の集計も自動で行うことができます。
工事や現場作業員別の労務費集計データから労務費の把握が可能になり、全体の原価管理や業務効率化につながります。

手書きで提出された日報から勤務時間をチェックして出面表を作成していて、リアルタイムでデータを把握できないために、スケジュールに誤差が出てしまった、という人的ミスを防ぐことができます。

4. 休暇管理機能

勤怠管理システム、長時間労働を防止するためのアラートや、有給休暇が使える時期になるとアラートが出るなど、各種アラート機能が充実しているものもあります。

また、誰がいつ休暇をとるのか可視化でき、現場の人数調整をスムーズ行うことが可能になり、従業員が休みを取りづらいといった課題の解決にもつながります。

建設業におすすめの勤怠管理システム4選

この章では、前の章の解説を踏まえ、

  • クラウド型
  • GPS打刻
  • 日報入力、工数管理機能
  • 休暇管理機能

の4つを網羅した勤怠管理システムを4つご紹介します。

MINAGINE

出典:MINAGINE

「MINAGINE勤怠管理」は、人事労務に長けたメンバーが作成した、コンプライアンスに強いクラウド型の勤怠管理システムです。

打刻管理をはじめ、労働基準監督署が推奨するフォーマットでの出勤簿の出力が可能なため、企業担当者のチェック工数を削減してくれます。

またストレスチェック機能では、個人の日々の業務時間を細かく管理できます。建設現場と自宅の行き来で、なかなか個人への管理を行き届かせるのが難しい勤務形態にあっても、メンタルヘルスの維持ができるようサポートできます。
もし労働時間が超過している場合には、従業員と管理者の双方にアラートが送られるようになっています。

ただ従業員の就労データを集めるだけでなく、管理側の業務効率化や理解促進まで考え抜かれた面倒見の良いサービスです。

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2. 使えるくらうど勤怠管理 for 建設業

出典:使えるくらうど勤怠管理for建設業

使えるくらうど勤怠管理は、「使えるくらうど」シリーズの、建設業のに特化した勤怠管理システムです。

すでに利用している給与ソフトや原価管理システムと連携し、データをコンバートできたり、スケジュール機能や設備予約、掲示板機能も備わっており、社内イントラネットのような使い方ができることも魅力です。

同システムを提供するアサクラソフトは、勤怠管理システムの他にも建設業向けのサービスを提供しており、パソコンの操作に慣れない現場作業員でも使いやすいインターフェースになっています。

▼サービスを見る
使えるくらうど勤怠管理for建設業

3.シフトマックス

出典:シフトマックス

「ShiftMAX(シフトマックス)」は、操作画面にExcelを使用して、Excelに打ち込まれたデータを直接クラウドに接続する仕組みの勤怠管理システムです。

現場で働くスタッフから、現場の責任者、本部の管理者、さらには経営層のメンバーまで、全ての人が心から使いやすいと思えるシステムを目指して作られており、使いやすさに定評があります。

また、スマートフォンやタブレットだけでなく、指紋認証やICカード、通話による打刻も可能なので、スマホを持たない従業員のいる現場でも導入が可能です。

▼サービスを見る
シフトマックス

4.IEYASU

出典:IEYASU勤怠管理

IEYASU勤怠管理の魅力は何と言っても、完全無料で利用できる点です。
無料ながら、1000社以上のサポート経験により培った人事・労務の専門ノウハウが詰まったシンプルで使いやすい勤怠管理システムです。

建設業に特化したシステムではありませんが、GPS打刻、日報入力、工数管理機能、休暇管理機能は網羅しているため、まずはコストをかけずに勤怠管理を見直したい、という企業にはおすすめです。

▼サービスを見る
IEYASU勤怠管理

▼他の勤怠管理システムを知りたい方は、別記事「絶対に失敗しない!勤怠管理システムのポイントとおすすめ22種を比較」も合わせてご覧ください。

勤怠管理システムのアプリ活用もおすすめ

1人1台のPCを持ったデスク作業ではなく、直行直帰が多い建設業向けにおすすめの機能としても挙げられていたGPS打刻ですが、勤怠管理システムをスマートフォンなどの携帯端末で利用するなら「アプリ」の活用が便利です。

「操作が簡単、どこでも操作できる、誰でも持っている」という特徴を備えるため、建設業の勤務スタイルにもぴったりです。

ただし、勤怠管理システムの機能の中でも主にアプリで活用できるのは打刻や勤怠状況の確認などです。あくまでPCと併用して利用することが前提になっていることは忘れないようにしましょう。

アプリではWebブラウザのでの打刻に比べ操作が簡単で、携帯端末で操作されることを前提として作られているため画面がみやすくなっています。また、GPS打刻機能も使えるので不正打刻の防止にもつながります。

勤怠管理システムを選ぶ際にはアプリでの利用が可能であるか、という点も考慮に入れてみるのも良いかもしれません。

▼アプリで利用可能な機能や勤怠管理システムの詳細を知りたい方は別記事「アプリで利用できる勤怠管理システム!メリットとおすすめ4選を紹介」も合わせてご覧ください。

まとめ|クラウド型勤怠管理システムで建設業の悩みを一気に解決しよう

本記事では、建設業で勤怠管理システムを導入するべき理由や、勤怠管理システムの選び方、建設業におすすめの勤怠管理システムをご紹介しました。

クラウド型勤怠管理システムでは、リアルタイムで従業員の勤怠や現場の進捗を記録することができ、手間をかけず正確に集計や管理を行うことができます。

また、こうしたシステムを導入することは、労働環境が整備されていなかった建設業の問題の解決に貢献するでしょう。

もし勤怠管理に悩みを抱えていたり、現場作業員のワーク・ライフ・バランスを向上さえたいと考えている場合は、クラウド型勤怠管理システムの導入を検討しましょう。