評価基準の作り方|目的や種類・作る際の注意点・サンプルも解説

人生100年時代と言われる昨今、働き方やライフスタイルは多様化。適材・適所・適時での人材活用が急務になり、評価基準をつくる必要性に迫られ頭を悩ませる人事担当者も多いのではないでしょうか。この記事では評価基準とは何かから、評価基準の種類や決め方、作る際の注意点などを紹介していきます。評価基準のサンプルも記載していますので、順を追って見てみましょう。

評価基準とは

人事評価を行う際における評価基準とは、社員や部署、チームがどの程度目標を達成できたかなどの成果を評価する基準を指します。社員一人一人が企業の目標に対して自主性を持ち、前向きに捉えて企業の成長に貢献するためには、人事評価が重要です。評価基準が曖昧だと社員の人事評価にも不平・不満が出てしまい、そのまま仕事に対するやる気やモチベーションの低下を招きかねません。では具体的になぜ評価基準を作る必要があるのか。次章でもう少し深堀りしてみましょう。

評価基準を作る目的

評価基準がどのようなものかは前述しましたが、実際に評価基準が定まっていないとどのような問題が起こりうるのでしょうか。評価基準が定まっていないと、まず社員に適切なフィードバックができなくなります。その結果、人事評価にブレが生じて社員のやる気が下がったり、モチベーションが低下してしまったりといったことが起きてしまいます。また評価に納得できない社員が増えれば職場の雰囲気も低下。個人の不満から職場全体の不満につながり、引いては企業の状況・状態の悪化につながっていくケースも少なくありません。このような状態が続くと企業の理念や方向性といった核となる部分が社員と共有できなくなり、バラバラな組織になりがちです。

具体的に数値化されているデータもありますので、併せて紹介します。「人事評価制度」に関する意識調査によると、実に社員の約6割もの人が人事評価制度に対して不満をもっているというデータがあります。不満の理由に関してはさまざまですが、特に多かったのが評価基準や評価のばらつきに対するもの。先程も触れましたが、評価基準は社員のモチベーションや行動にそのまま直結する性質があるといえます。評価基準が曖昧だと問題が起きると述べましたが、これは評価基準が適切で人事評価がしっかりしていると、働いているときの充実度や満足度などを上げられることも示唆しています。

評価基準の種類

次に評価基準の種類について解説していきます。よく使われる4つの評価ポイントを見てみましょう。

・年功評価
・能力評価
・職務評価
・役割評価

年功評価

年功評価とは、長く日本企業の多くで採用されてきた評価方法でもある年功序列を指します。年齢や勤続年数を主な判断基準とし、終身雇用制度を取ってきた日本では働く社員・企業ともに安心できるシステムとして機能してきました。年功評価の場合、企業としては管理や職員数の確保がしやすく、社員としては将来設計が立てやすく安定した収入が得られるといったメリットがあります。しかし働き方を含めたライフスタイルが多様化した現代では、その安心・安定のシステムに疑問符が投げかけられており、年功序列を採用しない企業やその比重を下げる企業が増えてきているのが現状。業種にもよりますがスキルやキャリアといった、より個人がクリエイティビティを発揮できる部分の評価基準に重点を置き始めています。

能力評価

業務に就いているうえで重要になるケースが多いスキルや知識、ノウハウといった能力を評価するのが能力評価です。必要な資格やスキルアップにつながる資格を保有していると評価される仕組みが一般的ですが、協調性や理解力、企画・提案力、交渉力といった一見可視化しにくい能力を評価するケースもあります。社員のスキルや能力を数値化する指標になるため、社員の評価のみならず人事異動を含めた人材活用、社員と現場でのミスマッチを防ぐといった効果も。フレキシブルに職場環境を変える必要があるケースや、グループで企画立案し業務を遂行するケースが多い職場にも適した評価方法となり得ます。

職務評価

職務評価とは、より現場に適した評価を行いたいケースに採用されることの多い手法。製造業や営業など成果が数値化しやすい職場などに適した評価方法で、部署ごとで区別して評価する際にも採用しやすい・マニュアル化しやすいといったメリットがあります。反面、数値化・マニュアル化しにくいものは評価しにくいところがデメリットになります。

役割評価

職務や業務上、役職以外にも必要に応じて担当する役割が出てくることも多く、それを評価するための手法が役割評価です。役割評価の軸は役職の評価とは別軸で評価する手法として採用されており、職場の管理者として評価されるケースもありますが、仕事の特性や難易度、責任の度合いなどを評価する際に用いられる傾向にあります。これらを総合的に評価、算出する手法が役割評価になります。

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評価基準の作り方

次に具体的な評価基準の作り方について解説します。評価基準を作る際のポイントとしては下記の4つを考えて、ブラッシュアップするのが一般的。項目ごとに多様な意見が聞けるように段取りすればスムーズに作成できると思いますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

1.職務の洗い出し
2.グレードを決める
3.グレードごとに求める職務レベルを設定する
4.評価内容を数値化する

それでは順番に見てみましょう。

1.職務の洗い出し

まずは職務の洗い出しです。ここで重要なのは一度細分化し、職務として洗い出すこと。その中から評価項目として作成するものを厳選・選定していくのがポイントとなります。またその際に企業の方針や理念、業績に反映するような項目が選択できていないと、評価制度を上手に活用できなくなってしまう可能性があります。さらに日常的な行為が評価される項目が多くなる傾向にあるため、この選定が適切に行われていないと社員の評価が曖昧になってしまうといったケースも少なくありません。社員の評価軸は社員のやる気や働きがいに直結します。部署や職種ごとに職務を洗い出すことは、適切な評価基準を設けるためにも大事な項目になります。

2.グレードを決める

次にグレードを決めていきます。よく用いられるグレードは大まかに3種類に分別する方法です。企業によりさまざまですが、平社員と呼ばれる一般職などのグレードをはじめ、主任や係長といった中間管理職が該当するリーダーグレード、それらを統括する立場にある課長や部長などの管理職層が該当するマネジメントグレードに分けられるのが一般的。さらに経営者層を分ける企業もありますが、それぞれを規定し評価項目を設定。さらに評価基準を設定していきます。またグレードは上下する可能性があるため、そこへの配慮も必要。具体的に何段階かステップをつくり定義化しておくと、判断に迷いがなくなります。公平・平等な判断をするためにも留意しておくことをおすすめします。

3.グレードごとに求める職務レベルを設定する

グレードが決まったらグレードごとにどのような仕事を期待するかを、言語・マニュアル化していきます。その際にグレードごとに目標や課題をつくりマニュアル化しておくと、周知・徹底も行いやすくなるといったメリットも。企業への貢献度や達成目標も尺度として図りやすくなります。また各職種はもちろんですが、異なる部分が多いため部署別でそれぞれ明確にする方がわかりやすく、評価基準として設定する際にも役立つのでおすすめです。

4.評価内容を数値化する

評価基準の作成ができたら、評価内容をわかりやすく数値化します。またグレードごとに求める職務レベルを数値化し、採点できるようにすれば公平な判断が可能。さらにここで業績評価・能力評価・情意評価の各項目の評価配分を決めておく必要もあります。3つの評価軸は一概に配分を決めるのではなく、部署ごとや職務ごとで分けるといった方法も取れます。フレキシブルに決めた方が良いケース、固定で指標を決めた方が良いケースなどさまざまですので、多角的に意見を取り入れながら選定することをおすすめします。

評価基準は前述のとおり目標の設定から進捗の状況の確認、さらにそれを評価・レスポンスするといった利用特性上、数値化が必須かつとても重要なポイントです。企業はもちろん社員のワークライフを支える判断基準となりますので、数値化はより正確な対応が求められるポイントになります。数値化する際は5段階から7段階程度に設定し、加点方式で利用するのが一般的。次に評価基準の例を見てみましょう。

評価基準のサンプル

評価基準の数値化には前述のとおり5段階から7段階程度の数値を設定し、判定していく方法がよく取られています。数値化する際の注意点は客観的な視点から判断し、公平で偏りのない評価をするといった点など。下記のサンプルを参考に人事考察シートとして保管しておくと良いでしょう。またこれらの資料や評価基準を事前に社員に配布・公表しておくと、スキルやモチベーションのアップにつながりやすく効果的。適宜見直しをかけ職場全体で事実確認などを行いつつ、ブラッシュアップしていけるとより成果を期待できます。

【サンプル】

参照:高知県

上記のサンプルを見てそのまま利用できる部分もあると思います。しかしそれだけでは評価基準として企業・社員共に満足な指標は作成できません。重要になるのは、企業の理念や方針といった企業カラーを反映させること。上記を参考に、企業や社員に必要とされる評価基準を厳選して作成する心がけが大切になります。

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評価基準を作る際の注意点

これまでにも何度か触れていますが評価基準は曖昧に作ってしまうと上手く機能せず、効果を発揮できないのはもちろん、場合によっては社員や職場の不満につながってしまう恐れがあります。ここで改めて注意点をまとめていきます。順に見てみましょう。

・客観的に評価できるように配慮する
・具体的に数値化する
・成果のみでなく過程にも配慮する
・一律の評価基準も設ける
・フィードバックや評価をしやすいよう仕組み化する

他にも注意する点はありますが、上記のようなポイントを押さえながら評価基準を作成していけば企業や社員が前向きに捉えられる評価基準を作成できます。またあまりにも人事評価が現実から離れたものになってしまうと、人事評価だけが独り歩きしているような状況にもなりかねません。適切な評価制度を導入し、企業や職場、社員に役立つ評価基準を作成しましょう。

まとめ

評価基準は、明確にすることで企業はもちろん社員や職場環境の改善につながる大切な指標になります。また企業文化の根底にも関わる点も含めて、そのまま企業のイメージや組織に与える影響が大きくなるのも特徴といえます。評価基準はこれまで大手企業が先駆けて利用してきた経緯もあり、まだ中小企業では導入していないというところも少なくありません。新しく評価基準を設定するケースも、改善する際に評価基準に携わるケースも、企業の発展や職場環境の改善といった評価基準に求められる内容に変わりはないものです。職員の能力、スキルを活かすためだけのものに留まらないというポイントを押さえつつ、企業の課題解決・職場改善に役立てられる評価基準を作成しましょう。

人事評価にはさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、簡単に正解が導き出せないといった性質があることを理解できたと思います。その際に利用していただきたいサービスが、株式会社ミナジンが提供する人事評価制度構築コンサルティングサービスの「みんなの人事評価」。ポイントは下記の3つです。

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不明瞭になりがちな評価基準を明確にして、誰もが心地よく働ける環境作りを目指しましょう。

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