フィードバックとは?意味や目的・効果・やり方をわかりやすく解説
ビジネスシーンで「フィードバック」という言葉を見聞きしたことがある人は多いでしょう。意味や用法もなんとなくわかるという人も少なくないかもしれません。しかしフィードバックの本質的な意味や重要性を本当に理解できているでしょうか。今回はフィードバックという言葉について説明するとともに、ビジネスシーンでの使い方や重要性について解説します。
目次
フィードバックとは
フィードバックとは英語で「feedback」と表記します。日本語では「帰還、反応」などといった意味。元々はシステム工学の用語で、「結果を原因(出力)側に戻すことで、原因側の調整をする仕組み」を指します。また、社会学、心理学、教育学、電子工学、生物学などでもフィードバックという用語が存在。今回は、ビジネスにおけるフィードバックの意味を見ていきましょう。
ビジネスにおけるフィードバックの意味
ビジネスシーンにおけるフィードバックは、元々の意味合いとは少し異なっています。大まかには「業務などの行動に対して、口頭や文書などで評価結果や改善点などを伝えること」。問題解決や成長促進といった目的を達成するために、相手の行動について評価し軌道修正やモチベーションの向上につなげる役割があります。
フィードバックはいつでもどこでも行うというより、しっかり時間を取って行った方が良いでしょう。フィードバックを行うのに適したタイミングは以下の通りです。
【ビジネスでフィードバックを行うタイミング】
・人事評価
・プロジェクトの振り返り
・1on1のミーティング
人事評価におけるフィードバックの重要性
とくに人事評価のタイミングでのフィードバックは重要です。人事評価制度に基づいて下された評価に対して、不満を抱く社員は少なくありません。人事評価について、基準が不明瞭、フィードバック不足といった声が上がることも。多くの社員は、人事評価の結果についてなぜこのような評価になったのか、この評価を踏まえてどうしてほしいのかといったことを知りたがっています。
そのため、人事評価のタイミングできちんとフィードバックを行えば、社員の納得度や今後の仕事へのモチベーションの向上といった効果も期待できるでしょう。しかし十分なフィードバックが行われない場合、せっかくの評価がただの結果としてしか残りません。内容に納得がいっていない場合は、評価結果を受け入れず仕事へのモチベーションを失ってしまう可能性もあります。これでは社員の成長は見込めませんし、最悪の場合は人事評価が低いことを理由に仕事を辞めてしまうかもしれません。
フィードバックを行う目的と得られる効果
ビジネスシーンにおいてフィードバックが重要視されるのは、会社にとっても社員にとってもメリットがあるからです。ここでは、フィードバックを行う目的と得られる効果について確認していきましょう。
目標達成につながる
適宜フィードバックを行うことで、目標を達成しやすくなります。目標まで問題なく一直線に進んでいけることはほとんどありません。どこかで悩んだり迷ったり、行き詰まったりすることがあるでしょう。フィードバックを行うことで、その時点での状況を確認し必要に応じて軌道修正を試みることができます。
フィードバックのたびに何ができていて何ができていないのか、これからどうすれば良いのかがわかると、モチベーションの維持・向上にもつながるでしょう。スムーズな目標達成に、適切なフィードバックは効果的です。これは個人に限った話ではなく、チームや部署単位で目標に取り組む際にも活用可能。目標の達成という経験は成長につながるのはもちろん、会社の業績に貢献することにもなり一石二鳥です。
人材育成に役立つ
またフィードバックは人材育成にも役立ちます。フィードバックを行うことで、上司と部下の間で情報の共有ができます。部下は抱える悩みや課題を相談する場にできますし、上司も部下の問題を把握し改善点のアドバイスなど細かなフォローをすることができるでしょう。フィードバックを繰り返すことで上司と部下のコミュニケーションも必然的に増えるので、信頼関係が強まりフィードバックの精度が高まる可能性もあります。上司のフィードバックを受けるうちに、部下が自分自身で改善点に気付くようになるなどの成長も見込めるかもしれません。部下が成長すれば組織としてのパワーも上がるので、人材育成は長期的に組織のためにもなります。
モチベーションの維持・向上に役立つ
フィードバックが行われないと、課題や行き詰まっている原因に気付きにくくなります。進捗が芳しくないと、生産性が落ちるばかりでなくモチベーションにも悪影響です。適切なフィードバックを行えば、課題が明確になって軌道修正や改善方法の道筋が見えてくるでしょう。「自分には難しい」「もう無理かもしれない」といったネガティブな気持ちが「こうすればできるかもしれない」と言うポジティブな気持ちに入れ替わります。前向きに取り組むモチベーションも復活するでしょう。またフィードバックを受けて課題に対処するというサイクルを繰り返して成功体験が積み重なれば、モチベーションの維持・向上にも役立ちます。
生産性が向上する
1人で試行錯誤しながら進めるよりも、適切なフィートバックを受ける方が、改善点が明確になります。フィードバックのたびに軌道修正をしながら仕事を進めることで、だんだんと効率的で精度の高い仕事の仕方が見つかっていくでしょう。業務が最適化されていけば、生産性の向上につながります。より少ないコストでより多い利益を生むことができるようになることは、会社にとって大きなメリットです。
企業の永続的な成長に必要不可欠な人事評価制度。これから人事評価制度の構築/見直しする企業が必ず押さえておかなければならないポイントや注意点を解説しています。
フィードバックの種類
フィードバックには、大きく分けて「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」の2種類があります。それぞれがどのようなものなのか説明していきます。
ポジティブフィードバック
ポジティブフィードバックは相手の行動などから良い面を見つけ出し、前向きな言葉で肯定的に伝えるフィードバックの手法です。フィードバックには改善点を見つけるという特徴があるため、課題や問題点の指摘に意識が向きがちかもしれません。しかしポジティブフィードバックは「できたこと」や「良かった点」に注目するのがポイント。良い部分をポジティブに伝えることで相手の承認欲求に働きかけ、その強みをさらに伸ばせるよう自発的な成長を促します。ポジティブな声かけになるので、相手のモチベーションの向上も期待できるでしょう。「褒めて伸ばす」という考え方に近いかもしれません。
ネガティブフィードバック
ネガティブフィードバックは相手の行動の問題点や課題を指摘することで、改善や立て直しにつなげるフィードバックの手法です。「フィードバック」という言葉でこちらをイメージする人も多いかもしれません。問題点などをあえて指摘することで相手に気付きを与え、自ら反省し改善していけるよう促すのが目的です。自ら考え課題を乗り越える力が身につくなど、成長につながりやすいのがメリットといえるでしょう。
ただしネガティブフィードバックは基本的に相手にとっては指摘されたくないネガティブな内容のため、伝え方には注意する必要があります。一方的に厳しい言葉で指摘すると、相手には多少なりともストレスがかかってしまいます。場合によっては「人格を否定された」「パワハラだ」と捉えられ問題に発展しかねません。
ネガティブフィードバックは、ダメ出しとは違います。あくまで相手の成長を支援するための手法です。論理的かつ客観的に、相手ではなく「問題点」自体にフォーカスして具体的に伝えましょう。またネガティブフィードバックの前にポジティブな内容を伝えたり、ネガティブフィードバックの後に寄り添ってフォローしたりすることも有効です。なにより、フィードバックする相手との良好な関係を築いておかないと十分な効果は得られないかもしれません。
フィードバックのやり方・手法
フィードバックのやり方・手法には、「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトンルール型」の3種類があります。状況に応じて使い分けられるよう、それぞれの方法について確認していきましょう。
サンドイッチ型
サンドイッチ型とは、ポジティブな内容のフィードバックの間にネガティブな内容のフィードバックを挟む手法です。最初に相手を褒めた後に改善点などを指摘し、最後にもう一度褒めるという手順になります。ポジティブな内容から入ることでネガティブな話題も切り出しやすくなり、ポジティブな内容で終わるためモチベーションの低下も最小限に抑えることが可能です。ただポジティブで挟むことで、ネガティブの印象が薄れてしまうかもしれません。
サンドイッチ型のフィードバック例文 1.今日の会議に資料はとてもわかりやすくまとまっていたよ。(ポジティブ) 2.ただ質問への回答が少し長くて、要点が伝わりにくかったかな。(ネガティブ) 3.資料の説明は論理的で声も通っていて聞きやすかったよ。(ポジティブ)
SBI型
SBI型はSituation(状況)、Behavior(行動)、Impact(影響)の頭文字からとっており、S→B→Iの順番でフィードバックの内容を伝える手法です。まずフィードバックする対象の状況とそこでどのような行動があったのかを話し、最後にその行動についてどのように考えたかを伝えます。内容はポジティブでもネガティブでも可能。
状況や行動を整理し順序立てて説明することができるため、相手にとっても内容が理解しやすいのが特徴です。評価者と被評価者が同じ順序で状況を理解したうえで改善に臨むことができるため、評価者と被評価者間に信頼関係が生まれやすい面もあります。ただ、信頼関係が構築される前にネガティブな内容で使ってしまうと、相手は論理的に詰められていると圧を感じてしまうかもしれません。
SBI型のフィードバック例文 1.昨日まとめてもらった売り上げのデータのことなんだけど。(S) 2.指示したデータ以外にも、追加で項目をまとめてくれていたね。(B) 3.おかげで、より参考になる資料になったよ。今後も気付いた点を工夫してくれると嬉しいな。(I)
ペンドルトンルール型
ペンドルトンルール型は評価者が一方的にフィードバックを伝えるのではなく、被評価者とコミュニケーションを取りながら改善点などを探っていく手法です。心理学者のペンドルトンによって開発されました。対話を重視し、「何を話すのか」「良かった点」「改善点」「今後どうするのか」「まとめ」の順に進めていきます。デメリットとしては、コミュニケーションを密に取ることが必要になるため時間がかかってしまうこと。ただその分被評価者の主体性を引き出すことができるため、より大きな成長が見込めます。
ペンドルトンルール型のフィードバック例文 部下「本日のミーティングの資料の件でお聞きしたいのですが」 上司「データがよくまとめられていたね。類似データとの比較があったから説得力があったよ」 部下「ありがとうございます。前任者からにアドバイスをいただいたのを活かせました。ただ、メールで何度も資料のまとめ方を確認してしまい、迷惑をかけてしまったかもしれません」 上司「では、今後はどうしたらよいと思う?」 部下「今回のデータの作成方法や資料の書き方について、マニュアルやひな形を作成しておこうと思います」 上司「そうだね。マニュアルなどがあると次の人の手間も減るから、業務の効率化につながるね」
効果的にフィードバックを行うためのポイント
ここまで、フィードバックの種類や手法について見てきました。最後に、効果的にフィードバックを行うために気をつけるべきポイントを簡潔に説明します
・具体的に伝える
フィードバックは次につなげるために行うものです。曖昧なフィードバックだと相手に伝わらなかったり、不信感を持たれたりする可能性もあります。被評価者がきちんと理解して成長できるように、具体的に伝えるようにしましょう。
・実現可能な内容にする
フィードバックを受けても、改善の行動を起こせなければ何の意味もありません。実現不可能な内容は効果的でないだけでなく、相手のモチベーションを削いでしまうことにもつながります。
・客観的に述べる
主観が入ると、自分の人格について評価されているように感じてしまう可能性があります。また、主観的な内容は一貫性に欠けたり偏りがあったりするため、被評価者に納得してもらいにくいでしょう。客観的な事実をベースにして伝えることで受け入れてもらいやすくなります。
・信頼関係を構築する
フィードバックでは、ネガティブなことを指摘しなければならないこともあります。相手がフィードバックで伝えたいメッセージをしっかり受け取って今後の成長につなげてくれるかは、評価者との信頼関係によるところが大きいでしょう。日頃からコミュニケーションを取り合うなど、良好な関係を保つことが必要です。
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まとめ
ビジネスシーンにおいて、人材育成にはフィードバックが必要不可欠です。適切なフィードバックを行うことで社員の成長につながり、ひいては会社の生産性向上にも寄与します。適宜細かいフィードバックを行うのはもちろん、定期的に全体的なフィードバックを行うことも必要でしょう。総合的なフィードバックを行うのに、人事評価は最適な機会です。
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