新入社員の受け入れ準備を円滑に行うために“必要なこと”
多くの会社では、新入社員の受け入れを4月に行っています。入社シーズンが近づいてくると、労務担当者はさまざまな準備に追われます。
新入社員の受け入れの際に、労務担当者はどのようなことに注意をして準備を行うべきか考えてみましょう。
目次
入社するための手続き
新入社員が入社する際には、たくさんの書類のやりとりが必要になります。企業が行政機関に提出する書類や新入社員に送る書類。
また、新入社員に入社まで準備をしてもらう必要がある書類もあります。これらの書類を期日内に準備し提出することは、新入社員にとって責任の第一歩です。
書類のやりとりを間違いなく円滑に行うためには、企業側から新入社員へアナウンスし積極的に働きかける必要があります。
企業が新入社員へ送る書類
企業が新入社員へ渡す書類には、以下のものがあります。
・内定通知書
採用が決定した者に内定の旨を通知するための書類です。
・入社誓約書
内定者の入社の石を確認するのと同時に、内定者の身元を確認する書類です。新入社員が入社に同意したことを示すため署名・捺印して返送してもらいます。
・労働条件通知書
企業はあらたに労働者を雇う際に、書面にて労働条件を通知する義務があります。労働条件通知書には以下の項目を必ず記載しなければなりません。
労働契約期間
就業に関する事項
従事する業務に関する事項
就業場所
従事する業務に関する事項
始業および終業の時刻
残業の有無
休憩時間、休日、休暇に関する項目
賃金に関する事項
退職に関する事項
・雇用契約書
労働条件通知書とよく似た書類で、労働条件通知書が労基法上義務から交付されるのに対し、雇用契約書は民法に則って使用者と労働者の間の合意確認のために取り交わされます。企業側で保管する用と社員用の2部が必要です。
また、これらの新入社員に送る書類の他に、企業から行政機関に対して行う以下の手続きもあります。
・健康保険資格取得手続き
・雇用保険資格取得手続き
・給与・住民税に関する申告
新入社員から企業へ提出する書類
新入社員が企業に提出する書類は会社によって違いますが、多くの会社で提出を求められる書類は以下のようなものです。
【多くの会社で提出が必要な書類】
・年金手帳
厚生年金の加入で必要です。写しでOKな場合もあります。
・給与振り込みに関する書類
給与振り込みの口座を確認するための書類です。
・マイナンバー
雇用保険、厚生年金、健康保険などの手続きに必要です。
【会社によって提出が必要な書類】
・資格免許証、合格証明書
事前に申請していた資格を持っているのか証明するための書類です。
・住民票記載事項証明書
本人確認・住所確認などで必要な場合があります。
・身元保証書
入社後、社員が企業に損害を与え、社員が賠償しきれなかった時に連帯責任を負うことを約束する書類です。身元保証書と一緒に、印鑑証明が必要となる会社もあります。
・健康診断書
労働安全衛生法により、企業には社員に健康診断を受けさせることが義務づけられています。通常は入社後に行いますが、入社前に受けさせて診断書を提出させる会社もあります。
・通勤手当支給申込書
通勤にかかる交通費の手当を申請する書類です。
新入社員の受け入れ準備
これから新しい環境で働く人の胸の内は、期待と不安でいっぱいです。最近まで学生だった新卒者となるとなおさらでしょう。
そんな中、新入社員が早期退職してしまうケースが近年増えていますが、その理由の中には、企業側の受け入れ体制の不備が原因というケースも多く見られます。管理部門であっても知っておき周知をすることで貴重な人材の流出が防げます。
以下で、受け入れ体制について見ていきましょう。
受け入れ体制を整える主旨
受け入れ態勢を整える主旨について、しっかりと理解をし、社内で統一性を図るようにしましょう。
受け入れ体制を整える主旨としては、新入社員がより早く職場に馴染み、社会人としての常識を身につけ、一人前の社員として独り立ちを後押しすることです。受け入れ体制やそのための準備が不十分だと、新入社員は職場の雰囲気に不満を抱きやすくなり、その結果早期退職につながってしまいます。
新入社員が仕事に就くための準備
新入社員が仕事に就くための準備として必要なものは、一人ひとりの居場所の確保です。
居場所の確保とは、存在価値を認めてあげるということにも繋がり、そのために必要なものは職場によって違ってきます。
ほぼ、どの会社でも統一されているものとしては、制服・名札・座る席・ロッカーなど。きちんと準備されていると、「受け入れられている」と安心感を与えることができます。さらに、スムーズに職場に馴染むことができるよう育成計画をしっかりと練り、新人研修や説明会のスケジュールを配置前に立てておく必要もあります。
新入社員が、疑問や質問が出てきたときに「誰に聞いたらよいか分からない」といったことがないよう、前もって指導担当者も決めておかなければなりません。これらのことを踏まえチェックリストを準備しておくと、スムーズに環境を整えることができるでしょう。
新入社員教育を行うための準備
新入社員教育を行うためには、入念な事前準備が必要です。ここでは教育前に確認しておくことと教育を行う際の手順を見ていきましょう。
教育前に確認しておくこと
社員を育成するためには目標と計画が必要です。どの程度まで習熟させるのか、ゴールを明確にしておくと計画を立てやすくなります。
まず、新人教育の専任者を決めておきましょう。担当者は、コミュニケーションのとりやすさという観点なら、新入社員と年齢の近い若手社員が適任ですが、専門的な知識を必要とする職種などは、知識の豊富なベテランが望ましい場合もあります。
そして、教育担当者に新入社員の持っている資格や能力を伝えておくことも重要です。そうすることで、担当者が事前に新入社員のレベルに応じた教育計画を立てやすくなります。新入社員研修の設計方法や主な内容、押さえておきたいポイントについては、下記記事をご参考ください。
新入社員研修の実施方法は?内容の決め方や効果的な進め方、コツを解説【事例あり】
教育を行う際の手順
職場で実務を経験させることで従業員に職業教育を行うことを「OJT(On-The-Job Training)」といい、企業内研修の基本形と言われています。OJTは「やってみせる」「説明をする」「やらせてみる」「確認して追加指導する」の4つのステップがあり、単に説明するだけでなく仕事をしながら経験を積めるので、即戦力を育てることが可能です。身近でコミュニケーションを取りながら指導ができるのも大きなメリットで、新入社員の成熟度に応じたムダの少ない新人教育が行えます。
新入社員が質問しやすい場を設けたり、困ったと感じていることがあれば、ヒアリングしたりするなど、指導が一方的にならないように注意し、積極性を引き出すように工夫すると効果的です。OJTにはあらかじめ、指導計画(OJT計画)と指導ツール(教材、資料、マニュアルなど)の準備が必要です。資料は常に最新のものであるかの確認を行い、内容によっては更新を行うようにしましょう。
また、OJTを行う際には大まかにでもよいので計画を立て、新入社員を含む職場内全員が計画の内容を把握しておくようにしましょう。OJT計画を立てることで、効率よく指導を進めることができるようになるだけでなく、職場内全員の理解と協力を引き出し、新入社員のストレスの軽減にもつなげることができるのです。
対して、社外教育を「Off-JT」といいます。Off-JTは社外で行われるセミナーなどで、新入社員教育のうち社会人マナーの研修などはOff-JTで行うことも可能です。新入社員研修についてはこちらの記事も参考にしてみてください!
歓迎会や入社式など、新入社員を迎える社内イベントを実施するのも大切です。
その際は企業のイベントプロデュースに強みのある「NEO FLAG.」などのイベント会社に運営を依頼するのも良いでしょう。
まとめ
人材の確保は会社の成長にとって重要な課題です。優秀な新入社員が入ってきても、企業側に温かく迎える姿勢がなければ、数カ月で早期退職ということにもなりかねません。
また、新入社員の能力を伸ばしていくには教育が大きく関係してきます。新入社員の受け入れ体制を事前にしっかり整え、綿密な新人教育のプランを立てておくことが、社員に長く働いてもらうための秘訣といえるでしょう。
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