退職者による損失額はどれくらい?対策もご紹介

厚生労働省の「雇用動向調査」によると、平成29年(2017年)のパートタイムを除く一般労働者の離職者数は約438万人でした。前年と比べて約190万人の増加です。また、平成30年に公表した「新規学卒就職者の離職状況」によると、大学卒業後に就職して3年以内に離職する割合は31.8%にもなります。

参考:厚生労働省「入職と離職の推移」[PDF]

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成27年3月卒業者の状況)を公表します」[PDF]

会社にとって、従業員の退職は他人事ではありません。退職者が出ると会社では様々な損失が発生します。これを防ぐには、退職者を出さないように対策しなければいけません。どれくらいの損失が発生して、どのような対策を取ればいいのか紹介します。

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退職者が出ると会社はどれだけ損をする?

退職者が出ると、それまで本人にかけたコストがすべて無駄になってしまいます。本来であれば、売上など会社に貢献してもらうことで回収するものですが、数年で退職すると採算が取れません。

例えば採用にかかったコストや教育にかけたコストです。本人だけでなく、携わった担当者がその時間で得られたはずの利益も上乗せされます。退職時の引き留めや引継ぎでも同じです。さらに新たな人材を採用・教育するためのコストもかかります。

実際にどれくらいの金額に影響するかは、計算方法やコストによって異なりますが、概ね退職時の年収の半分くらいです。それまでに支払った給与も損失に含めるなら、1,000万円以上におよぶ場合もあります。

コスト以外に会社はどのような損失を受けるのか?

退職者が出たときに発生する損失は、コストだけではありません。どのような損失を受けるのでしょうか。

知識の損失

退職されると、それまでに培われたスキルや蓄積されたノウハウが消滅してしまいます。スキルは本人特有のものですから、高度になるほど代わりを探すのは容易ではありません。ノウハウはある程度引き継げますが、100%は難しいでしょう。

特に営業や接客などで顧客がついている場合、新しい担当者のスキルが不足していたり、ノウハウが引き継がれなかったりすると、気分を害して客離れを引き起こしかねません。

また、指導する立場にある従業員がいなくなるのも、人材育成に支障が出て後進が育ちません。

いずれも在籍していれば企業にあるはずだったのですから、損失によるダメージはかなり大きなものといえるでしょう。

社内のモチベーションの損失

誰か1人が退職すると、社内のモチベーションにも少なからず影響します。会社に対する信頼も揺らぎがちです。特に何かしらの不満を抱えていると、誰かの退職が引き金になって、後に続かれるかもしれません。そうなると1人どころの損失では済まなくなります。

また、1人減った分の業務を誰かがカバーするのも、モチベーションが下がる原因です。仕事量が増えて多忙になるのは、周囲が思う以上の負担になります。それで調子を崩してしまったら、一気に退職へ傾いてしまうでしょう。いわゆるキャパシティーオーバーです。

会社イメージの損失

退職者が多い会社は、これといった非が無くても、周囲からは何らかの問題があるとみなされて、評価が下がってしまう可能性があります。明らかな非があれば「ブラック企業」の烙印を押されるかもしれません。

「若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)」の第13条により、離職率を隠すのは不可能です。会社が新卒者を採用するときは、直近3年間における新卒者の離職率を公表する義務があります。

最近ではインターネットの発達によって、誰もが発信できる時代です。過去の退職者が匿名で口コミを投稿すると、一瞬で拡散して対応に追われるでしょう。イメージの低下により、売上にも影響するかもしれません。これでは、人手不足を解消するために新たな人材を集めるのも一苦労です。

退職者を防ぐには?

退職者を出さないようにするには、上司や人事労務担当者だけでなく、全社一丸となって原因を究明し、対策しなければいけません。その流れを説明します。

なぜ退職するのか

退職の理由は様々で、結婚や子育て、介護といった個人の事情もありますが、大半は企業に対する不満が原因です。

リクナビNEXTが転職経験者を対象に調査したところ、退職の理由の1位は上司や経営陣に対する不満でした。同僚や先輩、後輩に対する不満が3位、社長に対する不満が6位と、人間関係が原因で退職する人は多いようです。

他にも労働時間や環境(2位)、給与(4位)など、待遇の悪さで退職する人も一定数います。思ったように評価されなかったり(7位)、キャリアアップできなかったり(10位)して退職する人も少なくありません。

アメリカの心理学者、フレデリック・ハーズバーグによると、人間は仕事に満足しているときと、不満を感じているときで関心を向ける対象が異なります。前者であれば仕事に向いていますが、後者であれば職場の環境や人間関係です。

これを「二要因理論(Two Factor Theory)」といいます。退職を防ぐには、後者の「衛生要因」の改善が重要です。業績を高めるなら前者の「動機付け要因」を満たすよう対策します。

退職の原因を分析しよう

衛生要因の問題点をあぶり出すには、退職者を取り巻くデータの収集が欠かせません。本人のインタビューはもちろん、社内の評価や給与の水準、勤務時間や通勤時間、有給休暇の取得状況などです。こうしたデータを他の退職者にも当てはめていくうちに、問題点が見えてくるでしょう。

データで分析するのは、人の推測が往々にしてあてにならないからです。何に不満を感じているかは個人差があり、例えば目に見えて残業が多かったとしても、退職には何も影響していないかもしれません。人事労務の担当者でも、感覚的に予想する傾向があります。

データであれば、当てはまる退職者が多いほど、優先して対策しなければいけないのが一目瞭然です。もちろん、最終的な判断を下すときは、人事労務担当者の知識や経験が活かされます。

労働実態を把握する重要性

こうしたデータから労働実態を把握し、退職要因をピックアップすることで、従業員の不満足要因(衛生要因)を高めない対策をすることが可能です。従業員の不満足要因(衛生要因)が低ければ、退職者数を減らすことができます。
モチベーションを上げるための、動機付け要因が注目されがちですが、不満足要因を改善せずに、会社が経営理念やビジョンを一方的に押し付けても、従業員はやらされている感を抱くだけで、満足度が下がるだけでなく、逆に退職者も増えてしまうでしょう。

離職率を下げたいときに限らず、常に労働実態は把握しておきたいところです。

ただし、勤怠を手書きや表計算ソフトで管理していると、必要なデータを収集・分析するのに手間や時間がかかります。そんなときに役に立つのが、ミナジンの勤怠管理システム「MINAGINE勤怠管理」です。労働時間や残業、休暇といった勤怠情報を簡単にレポート化できます。

衛生要因を改善するには、実態にあった働くルールの見直しが必須です。ミナジンでは社会保険労務士法人を経営するだけでなく、給与計算アウトソーシングも受託する等、人事労務のプロが多く在籍し、実態にあったルール作りを約400社の事例を交えながら、サポートすることが可能です。

まとめ

退職者が出ると、それまでかけたコストが無駄になり、損失額は1,000万円以上におよぶ場合があります。スキルやノウハウ、社内のモチベーションも失われ、イメージダウンにもなるので、企業が受けるダメージは相当なものでしょう。

退職者を出さないようにするには、データを収集して分析するのが大事です。人が推測するよりも明確に原因を突き止められます。勤怠管理システムや人事評価システムの導入も役に立つでしょう。

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