代休の取得期限はいつまで?リスクを抑える代休の管理方法

従業員が突発的に休日勤務した後は、別の勤務日を「代休」にしなければいけません。仕事が忙しくてすぐに休めないときは、いつまでに取得させればいいでしょうか。また効率よく管理するには、どのような方法があるのでしょうか。

意外と知らない振休と代休の違い 余分な割増賃金を支払っていませんか?

振休と代休では割増賃金の計算が異なっており、時間外労働や深夜労働などの要因にも左右されるため、もしかすると余分な割増賃金を支払ってしまっているかもしれません。

本紙では振休と代休の違い、割増賃金の計算方法、休暇管理ができていなかった際のリスクと対応法について分かりやすく解説をしています。

代休の取得は期限があるのか

代休は振替休日と違い、労働基準法で細かいルールは定められておらず、いつまでに取得しなければいけないという期限もありません。会社で自由に決められるため、そもそも代休の制度を設けないことも可能です。

もし代休を取得させるのであれば、早いうちが望ましいでしょう。例えば休日出勤した日を含む給与計算の期間内です。

あるいは労働基準法の施行規則第19条の2第1項第3号が参考になるでしょう。そこでは、休日勤務をした給与計算期間内の時間外労働が60時間を超えた場合、次の給与計算期間内までに代休を取得させるのが望ましいとされています。

労働基準法施行規則(e-Gov法令検索)

労働基準法の第115条で定められている請求権に従うなら、有給休暇と同様、どんなに遅くても2年以内です。

労働基準法(e-Gov法令検索)

ただし代休を先送りすると、会社は当初の予定よりも多く給与を支払ったままになってしまいます。従業員も休日勤務の分だけ休みが少なくなるので、労働基準法の第35条や会社の就業規則、労使協定などに抵触するかもしれません。制度があるのにいつまでも代休を取得できないのも、労働者に不信感を抱かせます。

体を休ませるためにも、あまりに休日勤務と代休が離れているのは望ましくありません。代休の制度を設ける以上、法律にとらわれず速やかに取得させるのが理想といえます。

代休は取得させた方が良い?

先述のとおり、代休を取得させないと休日の日数が足りなくなり、労働基準法や就業規則、労使協定などに抵触する恐れがあります。また会社としても多く給与を支払ったままになってしまいますから、可能であれば取得させるほうが良いでしょう。すべての従業員が「給料をもらえるなら休みはいらない」という考えでもありません。

注意したいのは有給休暇との兼ね合いです。従業員の立場で考えると、有給休暇は付与されてから2年で時効を迎えますから、期限のない代休よりも先に消化しなければいけません。また、代休は有給休暇と違って給与が発生しないので、給与が減るのを嫌がる従業員は取得を渋るでしょう。

労働基準法では、第39条の5で「有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」となっています。そのため、従業員が先に有給休暇の申請をすると、会社が代休へ切り替えるよう強制できません。

きちんと代休も有休も管理するための対策とは

休日勤務の後に必ず代休を取得させるなら、就業規則をはじめとしたシステム作りが大事です。有効と思われる対策を3つ紹介します。

1. 休日勤務の申請時に代休日を決定する

休日勤務の後に代休を取得させようとすると、先述のように応じない従業員がいるかもしれません。そこで、就業規則で休日勤務の申請と同時に代休日を決めるようにすれば、従業員は休日勤務をするために代休を取得せざるを得なくなります。

代休は近いうちに取得できるよう期限を定めておくと、いつまでも先送りにならず、会社としても従業員としても安心です。

同じ給与計算の期間内であれば、給与計算や勤怠管理が簡単になります。ただし締め日直前に休日勤務されると対応できません。そこで、遅くとも次の給与計算の期間内までにするのがおすすめです。労働基準法の施行規則第19条の2第1項第3号にも則っています。

なお会社の中には代休を取得するまで発生した賃金の割り増し分、あるいは全部を精算しないところがありますが、これは労働基準法の第24条に抵触する恐れがあります。つまり「賃金支払い5原則」のうち、「全額を支払う」というのを満たしていません。同じ給与計算の期間内に代休を取得できなくても、休日勤務の賃金は先に精算すべきでしょう。

2. 代休ではなく「振替休日」で対応できるようにする

振替休日は、前日までに休日を勤務日に変えて別の日を休みに振り替えるものです。前もって代わりの休日を決めるところが代休と異なります。原則として、どこに休日を振り替えるかは会社側で決定します。振替休日を行うには、あらかじめ就業規則で運用ルールを定めておかなければいけません。

同じ週に振替休日があれば、勤務した日は通常の勤務と同じ扱いになるため、代休と違って休日手当などの割増賃金は発生しません。ただし振替休日が翌週以降にずれて、当該週の勤務時間が1週間の法定労働時間を超えた場合は、超えた分について時間外手当を支給する必要があります。

これらのルールは厚生労働省労働基局長の通達(基発)や回答(基収)がベースになっています(昭和63年3月14日基発150号など)。

労働基準法関係通達(昭和63年3月14日基発150号)[PDF]

緊急でない限り休日出勤は振替休日という形にすれば、従業員がいつまでも代休を取得しないという事態を防げますし、割増賃金も支払わなくて済みます。

3. 勤怠管理システムを導入する

休日出勤に代わる休みには代休と振替休日の2種類があり、どちらに該当するか正確に把握するのは難しいものです。月に何度もあれば従業員本人も忘れているでしょう。有給休暇もあると混乱の原因です。

さらに休日も、労働基準法の第35条による週1回の法定休日と、会社で設定する法定外休日(所定休日)の2種類があり、休日勤務における割増賃金の計算方法が異なります。

複数の部署を抱えていたりシフト制を導入していたりすると、手書きやメールのやり取りで報告を受け、エクセルのシートなどで管理するのは限界があります。そこで勤怠管理システムを導入すれば、人為的なミスを防げて正確な給与計算ができるようになるでしょう。

(⇒ 「1分で分かる!勤怠管理システム」はこちら

勤怠管理システムでは、画面上から振替休日や代休、有給休暇を申請できます。あらかじめ就業規則に則ったルールを設定しておけば、誤入力したときにエラーが表示されて通らないようにすることも可能です。

休日勤務がどの休みと紐づいているかも視覚的に確認できますし、割増賃金の計算も自動で行ってくれます。もちろん有給休暇の残日数や取得状況、有効期限も一目瞭然です。締め日に担当者が行うのは、簡単なチェックくらいで済みます。たとえ修正が発生してもデータは連動しているので、全体への反映も一瞬です。

結果として従業員に正確な給与を支給できるだけでなく、担当者も煩雑な業務から解放されて、締め日のたびに残業をしなくても良くなるでしょう。

弊社ミナジンでは、「MINAGINE勤怠管理」という勤怠管理システムを提供しております。もちろん代休や振替休日にも対応しており、就業規則に合わせた設定が可能です。

例えば振替休日なら申請と同時に休日の指定が必要で、代休なら後から申請できるなどです。取得するのは2ヶ月以内など期限も自由に設定できます。さらに何らかの事情で振替休日や代休を取得できなくても、承認だけで手当に変えるのも簡単です。

他にもMINAGINE出勤管理は、出退勤の管理や残業申請、給与ソフトとの連携など豊富な機能を備えております。

まとめ

代休には法律で定められた期限が無く、会社で自由に決められます。あまりに先送りできるようにすると、いつまでも従業員が取得しないなどのデメリットが発生するので、次の給与計算期間内までを目安にすると良いでしょう。代休ではなく振替休日にすれば、前もって休みを決めなければならず、それが同じ週なら割増賃金が発生しません。

休日の取得状況は、勤怠管理システムを導入すると簡単に把握できます。就業規則に基づいて運用することも可能です。締め日には自動的に正確な給与が計算されているでしょう。

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振休と代休では割増賃金の計算が異なっており、時間外労働や深夜労働などの要因にも左右されるため、もしかすると余分な割増賃金を支払ってしまっているかもしれません。

本紙では振休と代休の違い、割増賃金の計算方法、休暇管理ができていなかった際のリスクと対応法について分かりやすく解説をしています。