IPO準備のための第1歩は「勤怠管理」から!

IPO準備のためには、まず何から手を着けたらいいのか 。社内でIPO担当者に選ばれ悩まれている方は多いと思います。上場のためには、多くの時間と費用がかかり、そのプロセスにはかなりの労力が必要です。準備を無駄にしないためにも、監査が開始される前に社内の勤怠管理を見直し、健全で適切な運営にすることが大切。まずは、自社の勤怠管理の状況把握から始めてみることをお勧めします。

IPOにおける勤怠管理の重要性

勤怠管理がなぜそんなに重要か? その大きな理由の一つとして「未払い賃金時効の改正」があります。今まで未払い賃金の支払い義務は、過去2年分でしたが、2020年4月の改正により過去5年分が対象になりました。(経過措置として当面は3年)

もし、ある社員に月20時間の時間外労働の未払いがあった場合、その支払い額は法定労働時間の1.25倍の時給を支払わなければなりません。その時間外労働時給を1,500円とするならば、過去2年間でも(1,500円×20時間×24か月)72万円かかるのに、それが5年となると(1,500円×20時間×60か月)180万円です。また、時間外労働が60時間を超えると、50%の割増賃金を支払わなければなりません。未払いの社員一人でこれだけ大きな損失なのに、社員数が数十名~数百名となると、気づいていない未払い金が、まだまだある可能性が大きいと言えます。会社の経営基盤を壊しかねない大きなリスクを抱えていることがわかります。

勤怠管理の適正化に早々に着手しておかないと、IPO準備はおろか未払い残業代の支払いで経営自体も危うくなる可能性があります。せっかくの上場のチャンスを逃さないためには、自社の勤怠管理状況を把握して、揺るぎない足場固めをすることが大切です。気付いていない弱点をあぶりだすためにも、以下の「IPO準備に向けた貴社の危険度チェック」で、まずは状況を確認の上、しっかりとした勤怠管理をやっていきましょう。

潜在労務リスクをあぶりだす!IPO準備に向けた貴社の危険度チェック

1労働時間の管理に勤怠システム等の客観的な記録媒体を使用していますか?YES
NO
2打刻とPCログのログイン・ログアウト時刻に差異はありませんか?YES
NO
3休憩時間を打刻又は記録をしていますか?YES
NO
41日の労働時間が6時間超8時間以下の労働者に対しては45分以上、8時間超の労働者に対しては1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えていますか?YES
NO
5自社の採用している労働時間制度を理解していますか?(変形、フレックス、みなし等)YES
NO
636協定の内容に基づき、時間外労働等を把握・管理していますか?YES
NO
7賃金台帳に、時間外や休日労働の時間数だけでなく、労働日数や総労働時間を記載していますか?YES
NO
8年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者は、そのうち、少なくとも5日は年次有給休暇を取得していますか? また、年次有給休暇の取得状況などが明らかとなる管理簿を作成し3年間保存していますか?YES
NO
9パート・アルバイトにも有給休暇を与えていますか?YES
NO
10週40時間を超えて働いている時間や休日労働の合計が1か月あたり80時間を超える労働者から、面接指導受診の希望があった場合、医師による面接指導を行う義務があることを理解し、適切に実施していますか?YES
NO

Yes/Noは何個ありましたか?

Noが1個でもある場合は、危険な状態です。取り上げた10項目は、IPO審査における基礎中の基礎項目のため、1個でも当てはまる場合はIPOを目指せる状況ですらないのです。

労務管理にまつわるQ&A

IPOの際、申請しなければならない労務条件は多岐にわたるため、多くの方が「これでいいのだろうか?」と悩まれています。ここでは、ミナジンに寄せられたご質問に対する回答の一部ご紹介します。

Q. 勤務時間外のチャットやメールのやりとりに関して、利⽤ルールでNGと伝えているのに、なかなか守ってくれない。会社としてはどこまで対応すればよいのでしょうか?
勤務時間外のチャットやメールの利⽤ルールは各社各様かと思いますが、遵守しない者に対し、業務命令違反として(軽微な)懲戒処分も可能です。もしくは勤務時間外であっても、業務範囲外での純粋なコミュニケーションツールとしての使用はOKとするといった、より守りやすいルールにすることも考えられます。いずれにせよ、「黙認」という状況は使⽤を認めていることに繋がりますので避けたいところです。(時間外の返信が必須であれば労働時間に当たります)

Q. 上場審査の際に、退職社員や現職社員から内部告発(サービス残業や過重労働など)があって、審査に落ちてしまったという様な話をよく耳にするのですが、本当でしょうか?
最近は審査期間中や承認後の、取引所への投書、内部通報窓⼝への通報が多いのは事実です。その結果、「審査に落ちる」というよりは、通報の内容について再度の確認・検証が必要となり、審査が⼀時的に中断するというケースはよく耳にします。

Q. 勤務終了後に自己学習・自己啓発で社用PCを使用することを許容している場合、PCのログが勤務実態と乖離するため、どのようにしたらいいか困っております。
各社各様ですので、画⼀的な⽅法はございませんが、時間外申請のフォームを転用し「自己学習」という種別を作り、社員が申請する(エビデンスを残す)方法もあると思います。

Q. 在宅勤務における中抜け等に対する現実的な運用・管理はどのようにするのが適切か?
弊社のシステムで運用・管理する場合、⼤きく分けて以下2パターンがあると思います。
・自主性に任せる場合、「休憩開始・終了打刻」を中抜けの度に打刻or休憩時間の内訳を手入力
・申請制にする場合、「中抜け申請」→「承認」というフローを使う(1時間単位のみ)

Q. 上場企業のみなし残業時間としては、どの程度が適正(もしくは平均)なの?
みなし残業時間に特段の制約はありませんが、あまり多い時間数を設定すると公序良俗に反するという判断もあり得ます。IPO審査を考慮すれば、30時間程度(多くても45時間)が妥当であると考えます。理由は、⽉30時間であれば、36協定の年間上限(=360時間)と整合し、従業員に対する説明でも納得を得られやすいためです。

IPO担当者が抱える悩みは本当にさまざま。IPO準備に向けて労務管理をしっかりやろうと思っても、実際には、法令に照らし合わせどう対処すべきかの判断が難しいのが現実です。また、「打刻の上書き(改ざん)」が行われていたり、管理システム自体に「個社ルールへの適用」がされていなかったり、「担当者からの適切な引継ぎ」ができていなかったりといった相談も、ミナジンには多く寄せられています。社内システムや社員を、少ない担当者で完璧に管理・監視するのは困難です。

 社内の勤怠管理を効率よくこなすには、時間のかかる手作業や事務作業はシステムやアウトソーシングにより効率よく終わらせ、担当者は、根本的な問題の解決に力を注ぐほうがおススメです。IPO審査に耐えうる労務管理にするには、システムを上手く活用してみてはいかがでしょう。

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IPO準備に向けた勤怠管理の成功事例

 社内に「MINAGINE勤怠管理」を導入し、勤怠管理の適正化を行った結果、無事上場申請を果たしたケーススタディを3つご紹介致します。

打刻の上書き(改ざん)防止!全社員の打刻状況を可視化。実態として残業時間を軽減できた。

IPO準備に入ると予実管理とコンプライアンスが厳格化し、売上目標に対するプレッシャーから、営業部門の残業時間が増加していました。

そんな状況を見た主幹事証券会社からは厳しい指摘が入り、経営陣から管理職に対して残業抑制の指示が出ました。結果、数か月後には残業時間が減り、月次の予実目標も順調に達成することが出来ていきました。

しかし、実態は営業課長による指示のもと、営業担当者が「実際の打刻時間」を月末に修正、上書き(改ざん)していたことによるものでした。

そこで、対策として「MINAGINE勤怠管理」を導入しました。このシステムにより、「実際の打刻時間」と「修正した時刻」が別レコードとして記録されるため、打刻時間の修正を行ってしまった場合は、実際の打刻時間との差異を一覧で可視化することが出来ました。

結果として、今まで隠されていた残業時間が表面化し、人事部主体で抜本的な改革も並走して行った結果、残業時間も徐々に縮小し、無事に上場を達成することが出来ました。

個社ルールへの適用!自社特有の休暇ルールをシステムに反映できた!

勤怠管理システムを導入し、数年運用していましたが、従業員の利便性を考えて休暇制度を増やしていった結果、システムでは設定できない「個社ルール」が増えてしまっていました。

システムで対応できないルールに関しては、Excelで管理していたため、記載ミスなどが原因で給与計算ミスといった不備が発生することもしばしばありました。また、IPO準備を行うにあたり、就業ルールの見直しや休暇設定のルール変更が相次ぎ、「個社ルール」が増える一方、システム反映できない分は全てExcelでの管理となるため、労務担当者のリソースもかなり逼迫していました。

そういった状況を打破すべく、「MINAGIN就業管理」を導入しました。このシステムはニッチな個社ルールを変更することなく設定出来るため、非常にスムーズな運用が実現しました。

Excel管理も不要になったことから労務担当者のリソース軽減に繋がり、本来行うべき適切な労務管理に向けてのアクションが加速し、上場を達成することが出来ました。また、給与計算安定化により、従業員との信頼関係構築に繋がったことも大きな成果でした。

労務管理の円滑な引継ぎ!勤怠担当者が退職してもスムーズな引継ぎが実現!

ベテラン労務管理担当者の退職により、今まで経理事務をしていた担当者が労務管理も兼任することになりました。それまで使っていた勤怠管理システムは前任の担当者が設定をしており、下手に触るとデータ異常が起こる可能性も否めないため、現行維持を続けていました。

そんなとき、IPO準備に入り、就業管理の見直しや休暇管理のルール変更等がありましたが、システムに反映する方法が分からなかったため、放置。その結果、実際の勤怠管理状況とシステム出力値が合致しなくなり、システムの見直しを行うことに。

再選定に際しては、上記のことが起こらないよう設定及び使用時のサポートが手厚い「MINAGINE勤怠管理」を選択。設定サポートをしているからこそのサービスが受けられ、その後の突然の担当変更時も慌てることなく、運用が移行できました。安定且つ継続した労務管理が行え、上場審査も無事通過しました。

おわりに

IPOに向けて、健全な労務管理を実現するには、自社の状況をまずは棚卸しましょう。そして、時間や手間のかかる作業はシステムで効率化を図り、経営者・担当者は根本的問題解決に注力するべき。また、そのためには各社にあったシステムや方法を構築しないといけないため、法令に詳しいプロの知見も必要です。

ミナジンでは、社内に法令のプロや社労士が常駐し、法令に沿ったシステムを開発しています。また、引継ぎサポート、業務のアウトソーシングなど、労務管理を適切な仕組みへと導くためのトータルなサービスをご用意しています。悩んだら、いつでもすぐにご相談ください。まずは、「1分でわかる! MINAGINE勤怠管理」をダウンロードしてみてください!

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ミナジン勤怠管理システムは、「労務管理をちゃんとする」ことをサービスビジョンに掲げ、開発を行っております。「コンプライアンス体制を確立したい」「IPOを目指している」「2度とシステム導入/運用に失敗したくない」そんな企業様を支援します。