上場(IPO)審査・労務監査に対応できる就業管理のクオリティとは?勤怠労務管理のポイントについて

近年の上場(IPO)審査では、人事労務分野に関してのコンプライアンス審査が大変厳しいものとなっています。これまで会計・財務・税務面が中心であった内部監査の項目には労務監査の項目が加えられ、これから上場(IPO)を目指す企業にとって労務コンプライアンスの徹底は必要不可欠なものとなるでしょう。
そこで今回は、上場(IPO)審査・労務監査に対応した労務管理・勤怠管理のポイントについて紹介していきます。

上場(IPO)審査基準はコンプライアンス重視がトレンド

上場(IPO)審査には、形式要件と実質審査基準の2つがあります。
以前の上場(IPO)審査は、株主数や時価総額や利益の額などの形式要件を重視する傾向にありました。しかし、近年では上場(IPO)を目指す企業が形式要件をクリアして上場(IPO)申請しても審査に通らず、延期または取り下げとなるケースが増えています。
これは、上場(IPO)審査において実質審査基準が重視されていることが要因と考えられており、企業の継続性や健全性、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性などの実質審査基準にクリアしなければ、いくら時価総額や利益基準をクリアしていても、上場することはできないということです。
最近の上場(IPO)審査は、以前にも増してコンプライアンスを重視する傾向にあり、企業におけるコンプライアンスの基本とも言えるのが「労働基準法の遵守」です。労働基準法違反を犯している企業はもちろん、適切な労務管理が行われていない企業の場合、仮に労務訴訟や未払い残業代などの問題が顕在化していなかったとしても、リスクとして存在することになり、将来的に財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
企業の継続性や健全性を重要視する上場(IPO)審査では、このような法令違反や不祥事が起きない体制が構築できているかを重視する傾向にあり、適切な労務管理体制が確立されているか否かは上場(IPO)審査において基本かつ重要な要素となるのです。

上場(IPO)審査に向けた労務管理のポイント

従来の上場(IPO)審査は業績や財政状況に重点が置かれていましたが、近年、働き方への関心が集まっていることもあり、労務コンプライアンスに対する比重が高くなっています。特に従業員の労働時間(残業時間)を正確に把握しているか、課題がある場合は改善に向けた活動に取り組んでいるか、正しく賃金を支払っているかは労務審査の重要なポイントとなっており、問題があれば上場(IPO)審査は先送りされてしまうでしょう。
そこでまずは、上場(IPO)審査に向けた労務管理のポイントについて紹介していきます。

就業規則・規程の整備

上場(IPO)審査における労務監査は、「形だけの就業規則・規程」では通過することができません。上場(IPO)審査に向けて社内の就業規則・規程を整備したベンチャー企業のなかには、その実態が伴わず、就業規則や規程と勤務実態が乖離しているケースが多く見受けられます。
就業規則は労務管理の主軸となる重要な規則ですが、自社の勤務実態と乖離した就業規則では内部管理体制が整備されていないと判定されてしまうため、上場(IPO)審査に通過することは難しくなるでしょう。

労働契約の締結

上場(IPO)審査に向けた労務管理のポイントとして、就業規則と同じく重要なのが労働契約です。労働契約は、労働時間や残業時間を適切に管理するための基本となるものです。
労働契約は雇用契約書を締結して初めて契約が成立すると考えられがちですが、口頭による労働条件であっても、労働者と使用者双方が契約内容に同意していれば、雇用契約を結ぶことができます。
とは言え、使用者と労働者の認識の相違によるトラブルを防ぐためは、やはり労働条件を明記した雇用契約書を交わす必要があるでしょう。

社会保険の適切な加入

上場(IPO)審査における労務監査では、社会保険の適切な加入も重要なポイントとなります。
正社員ではないパートタイマーやアルバイトなどの時短勤務労働者の場合も、一定の条件を満たしている者に対しては社会保険に加入させる義務があります。しかし、企業側の認識不足やちょっとしたミスにより、社会保険に加入させるべき従業員を加入させていないケースも少なくありません。当然、社会保険未加入の労働者がいることは法令違反となることから、コンプライアンスが守られていないと判断され、上場(IPO)審査を通過することはできなくなります。

労働時間の適切な管理

上場(IPO)審査の準備で最も課題となるのが、労働時間の適切な管理です。労働時間の適切な管理は、厚生労働省による「労働時間の適切な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に従って実施しなければいけません。
特に労働時間の把握では、客観的かつ適正な記録が重視されており、労務監査では「タイムカードの記録が実態と合致しているのか」という点を重要視しています。
労働時間の適切な管理を行うためには、打刻修正を行っても打刻時間が上書きされない勤怠管理システムを取り入れるなど、就業規則と勤務実態の差を可視化することが大切です。労務管理の基本は労働時間管理と言っても過言ではありません。そのため、上場(IPO)審査に向けては、労働時間の適切な管理が最も重要なポイントとなります。

36協定の締結・届出

上場(IPO)準備をしている企業は、例外なく過重労働に対する対策を見直す必要があります。さらにその前提として、労使間での残業時間の取り決めをした36協定(時間外・休日労働協定)の締結・届出が不可欠です。
しかし、企業のなかには36協定の更新を行っていないことから有効化されていないケースや36協定の是正勧告を受けるケースが多くあります。36協定の是正勧告を受けた場合は、ただちに労働環境を改善し、是正報告書を提出することで再び上場(IPO)審査を受けることができますが、長時間労働が慢性化している企業の場合、労働環境の改善に時間を要してしまうケースも少なくありません。
上場(IPO)審査に向けては、36協定によって取り決めをした労働時間を超えた勤務が行われていないかしっかりと管理していく必要があります。

未払い残業代の有無

上場(IPO)審査における労務監査では、未払い残業代の問題を指摘されるケースも少なくありません。残業代の未払いがある場合には、労務管理の不十分さを指摘され、問題を解消しない限り上場(IPO)審査に通過することは難しくなります。また、従業員から労務訴訟が起こされた場合は判定が確定して未払い残業代を精算するか、未払い賃金の時効消滅まで上場(IPO)できないと考えたほうが良いでしょう。未払い残業代が多額の場合、財務状況の悪化を招くリスクも存在します。
未払い残業代を防ぐためには、従業員の労働時間を適切に管理することが大切です。そもそも労働時間が管理されていない場合や就業規則や給与規程と給与計算方法に乖離が見られる場合には、ただちに適切な労務管理を行うための仕組みを構築する必要があります。

管理監督者の取扱い

最近の上場(IPO)審査では、所謂「名ばかり管理職」の問題が指摘されるケースもあります。会社組織のなかで部下をもつ管理職という位置付けになっていたとしても、労働基準法上の「管理監督者」でなければ残業代を支払う必要があります。
労働安全衛生法の改正によって、2019年以降、管理監督者の労働時間把握が義務化されています。名ばかり管理職を指摘された場合、本来支払うべき残業代が未払いの状態となるため、上場(IPO)審査を通過することはできなくなります。
労働基準法上の「管理監督者」とは、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者のことをいい、管理監督者であるかどうかは、役職が付いているかどうかではなく、職務内容や権限、勤務の実態などで判断されることになります。

安全衛生管理体制の構築

上場(IPO)審査に向けて健全な組織をつくるためには、安全衛生管理体制の構築も重要なポイントとなります。上場(IPO)審査では、安全衛生管理体制の整備状況や運用状況の確認も、審査項目の一つとなっているからです。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場では「衛生管理者や産業医の選任義務」「月1回の衛生委員会の開催義務」「ストレスチェックの実施」といった企業として取り組まなければいけない健康管理体制が設けられています。特に、従業員のメンタルヘルス不調については過重労働が原因となるケースも見られ、業務上の災害として認定されると、安全配慮義務違反に問われる可能性も考えられます。
上場(IPO)審査に向けては、従業員の安全衛生管理における対策もしっかりと行っていく必要があります。

有給休暇取得状況の管理

2019年4月以降、使用者には年間10日以上の有給休暇がある労働者に対し、5日以上の有給休暇を取得させることが義務付けられました。そのため、今後は有給休暇取得状況の適切な管理についても、上場(IPO)審査に影響を与える可能性が出てくることが予想されます。
上場(IPO)審査における労務監査では、法令に遵守した労務管理体制の強化や整備状況についてさまざまな観点から調査が行われるため、行政指導や訴訟等のリスクが懸念される状況が認められた場合には、審査に通過することは難しくなります。
そのため、上場(IPO)審査に向けては、法改正の動向にも注目しながら労務コンプライアンスの整備を進めていく必要があるでしょう。

上場(IPO)準備に必要な勤怠管理システムの機能

上場(IPO)審査では、企業の継続性および健全性といった観点から労務コンプライアンスの整備が求められます。もちろん、就業規則や規程等が適切に整備されていることは重要な審査項目となりますが、実際の運用状況についても確認されるため、テンプレートを利用して形だけの規則や規程を作ったとしても、実態が伴っていなければ意味がありません。
そのため、上場(IPO)を目指す企業が勤怠管理システムを導入するにあたっては、ただ打刻時間の管理ができるというだけではなく、「就業規則と実態の乖離を可視化する」ことに着目することが大切です。
ここからは、従業員の労働状況の可視化が可能な勤怠管理システム「MINAGINE就業管
理」の機能について紹介します。

労働時間・休憩時間の客観的な記録

厚生労働省のガイドラインによると、従業員の労働時間はタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録など、客観的な記録をもとに把握する必要があります。
MINAGINE就業管理」ではPCやICカードなどの打刻端末を用いた出退勤管理を行うことができ、さらにその記録を「打刻時間」「申請時間」「承認時間」の3つに分けて残す仕組みになっています。
「打刻時間」は本人や上長、人事担当者でも変更することができないため、客観的な記録を残すことができ、不正打刻の防止につながります。また、打刻時間と申請時間が異なる場合はその理由を残したうえで、「申請時間」として上長に申請することができ、上長が承認すると「承認時間」として記録されます。
このように、「MINAGINE就業管理」は打刻修正の客観的な記録を残せる数少ない勤怠管理システムの一つで、労働基準監督署の監査にもスムーズに対応ができる勤怠管理システムとして社会保険労務士法人にも推奨されています。

振休・代休の適切な管理

IPO(上場)審査に向けて未払残業代のリスクをなくすためには、振休・代休について適切な管理を行うことも重要です。従業員が振替休日や代休を取得せず未消化のまま溜まってしまうと、企業としてはそれだけ未払賃金を抱えることと同じことになってしまうため、労務コンプライアンス違反が指摘されてしまいます。
MINAGINE就業管理」では、振休・代休の管理についても勤怠管理システムで行うことができます。振替・代休の申請フローも個社ごとの就業規則やルールに合わせて柔軟に対応することができ、アラート機能を設定することで未消化の休日が溜まってしまうことを防ぐことができます。振休・代休の取得期限を設定することで、期限内に取得することができなかった未消化分については、手当として支給することも可能です。

時間外労働のアラート

従業員の労働時間を適切に管理するためには、使用者が把握していない時間外労働を防ぐ必要があります。
MINAGINE就業管理」には、時間外労働に対するアラート機能が備わっているため、時間外勤務の申請がされていない日に残業が行われた場合には、アラート通知によって使用者に知らせることが可能です。
時間外労働のアラート機能があることで、使用者が把握していない状況下での残業や過重労働を未然に防ぐことができ、残業代の未払いやメンタルヘルス不調の予防につながります。

長時間労働のアラート

上場(IPO)を目指す場合、企業の継続性および健全性といった観点から、残業代の未払い問題以外にメンタルヘルス対策としても、従業員の長時間労働は削減する必要があります。
MINAGINE就業管理」では残業超過チェックとして、月の残業時間数を判定し、既定の残業時間を超過した場合、メールアラートで本人または上司に対して通知し、改善指導を行うことが可能です。また、勤怠管理システムから長時間労働者を抽出することで、産業医との連携も取りやすくなるでしょう。

有給休暇取得状況のアラート

有給休暇の取得義務化によって、使用者は従業員の有給休暇取得状況を適切に管理し、把握する必要があります。
MINAGINE就業管理」には、有給休暇の有効期限が近づいてきたタイミングで本人にアラート通知される機能がついているため、有給取得率の向上に効果的です。また、チェックをかける期間を指定することができるため、有給休暇消化期限の〇日前からアラートすることを設定できます。

労務チェックレポート

上場(IPO)審査に向けては、現状の労務管理の問題点や問題の背景を把握し、改善に努める必要があります。
MINAGINE就業管理」では、時間外労働、代休消化状況、有給消化率のチェックレポートを作成することで、部署ごと、個人ごとの労働時間データを一目で把握することができます。
さらに、勤務実績データをもとに作成する社員マスタ分析(年末時点での在籍社員数の推移、会社の成長スピードや年齢による社員構成比等)、入退社分析(離職率、平均在籍期間等)、休暇取得分析(有休や各種特別休暇の消化率の年次推移)、勤怠分析(月ごとの平均勤務時間、平均残業時間、40時間以上・60時間以上残業者の割合、繁忙期の勤務状況、遅刻回数の変化等)などを活用することで、客観的データをもとに組織の現状を分析し、改善のご提案をさせていただくことも可能です。

上場(IPO)に向けた労務コンプライアンス対応の鍵は勤怠管理!

上場(IPO)審査における労務監査に対応するには、正しい労務管理を行う必要があります。どれだけ経営状況が良くても、労務管理が原因で上場(IPO)を見送らねばならなくなる事態も散見されるため、上場(IPO)を目指すなら、労務コンプライアンスに対応した適切な労務管理は必要不可欠と言えます。
しかし、上場(IPO)審査に向けては、ほかにもやるべきことが山ほどあり、労務管理のみに時間と手間を割くわけにもいかないでしょう。
就業規則と勤怠実態の差を可視化することができ、勤怠実績から労務管理の問題点の分析も可能な「MINAGINE就業管理」なら、上場(IPO)に向けた労務コンプライアンスへの対応もスムーズに進めることが可能です。上場(IPO)準備には、労務コンプライアンスに強い勤怠管理システム「MINAGINE就業管理」の導入をご検討ください。