2024年度IT導入補助金とは?概要と申請方法をわかりやすく解説
中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際の費用を補助する「IT導入補助金」をご存じですか?
毎年2月頃から申請が始まるIT導入補助金ですが、2024年度も「IT導入補助金2024」として補助金の交付が始まっています。
導入するITツールや申請の形態によっては最大3,000万円までの補助を受けられる制度であるため、ITツールの導入を検討している事業者の方におすすめの制度です。
この記事では、IT導入補助金がどのような制度なのか、概要や申請方法についてわかりやすく解説します。「ITツールの導入にIT導入補助金を活用したい」「IT導入補助金を活用できる場面を知りたい」とお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者などのITツール導入を支援する補助金制度です。
本制度は中小企業や小規模事業者などの業務効率化やDXなどが図られ、労働生産性が向上することを目的としています。
補助金の対象となるITツールは、事前に事務局の審査を受けたもので、IT導入補助金のホームページに公開されているものです。
IT導入補助金には目的に合わせて複数の枠が設けられており、枠ごとに募集期間や補助率、補助上限額が異なるため、申請する際は注意が必要です。
IT導入補助金の補助額
IT導入補助金の補助額は、枠ごとに異なります。
IT導入補助金で設けられている枠ごとの補助額や補助率について見ていきましょう。
通常枠
補助率 | 補助額 | |
---|---|---|
1/2以内 | 1プロセス以上 | 5万円以上150万円未満 |
4プロセス以上 | 150万円以上450万円以下 |
通常枠は、ソフトウェアやシステムなどのITツールを導入して、事業の業務効率化や売上向上をサポートする枠です。
1プロセス以上にITツールを導入する場合と、4プロセス以上にITツールを導入する場合では補助額に違いがあります。
インボイス枠(インボイス対応類型)
対象 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト | 中小企業:3/4以内 小規模事業者:4/5以内 | 50万円以下 |
2/3以内 | 50万円超〜350万円以下 | |
PC・タブレット等 | 1/2以内 | 10万円以下 |
レジ・券売機等 | 1/2以内 | 20万円以下 |
インボイス枠(インボイス対応類型)は、インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフトやPC・ハードウェアの導入を支援する枠です。
2023年10月より開始されたインボイス制度への対応に必要なITツールを導入する際に利用できます。
企業の形態や補助率、補助額などが細かく分かれているため、導入するツールの種類などの詳細な確認が必要です。
インボイス枠(電子取引類型)
事業者 | 補助率 | 補助額 |
---|---|---|
中小企業・小規模事業者等 | 2/3以内 | 〜350万円以下 |
その他事業者等 | 1/2以内 |
インボイス枠(電子取引類型)は、企業単位ではなく商流単位でインボイス制度に対応した受発注システムを導入する企業を支援する枠です。
中小企業・小規模事業者等に仕事を発注している企業がインボイス制度に対応したシステムを導入し、中小企業・小規模事業者等に無料で利用できるような環境を整える場合に、システムの導入費用を支援するものです。
インボイス枠(インボイス対応類型)とは異なり、PC・タブレット等やレジ・券売機等には適用されない点に注意が必要です。
セキュリティ対策推進枠
補助率 | 補助額 |
---|---|
1/2以内 | 5万円以上100万円以下 |
セキュリティ対策推進枠は、増加するサイバー攻撃に対処するために行う対策費用の一部を支援する枠です。
独立行政法人情報処理推進機構による「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスの導入にかかる利用料の補助を最大2年分を受けられます。
複数社連携IT導入枠
補助対象経費 | 補助率 | 補助額 | ||
---|---|---|---|---|
基盤導入経費 | ソフトウェア | 3/4以内(小規模事業者は4/5以内) | 50万円以下×グループ構成員数 | 3,000万円以下 |
2/3以内 | 50万円超〜350万円以下×グループ構成員数 | |||
ハードウェア(PC・タブレット等) | 1/2以内 | 10万円×グループ構成員数 | ||
ハードウェア(レジ・券売機等) | 1/2以内 | 20万円×グループ構成員数 | ||
消費動向等分析経費 | 2/3以内 | 50万円以下×グループ構成員数 | ||
その他経費 | 2/3以内 | 200万円以下 |
複数社連携IT導入枠は、サプライチェーンや商業集積地に属する複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入する際に支援する枠です。
多くの事業者が関わるため、補助率や補助額の規定が細かく決められています。そのため、複数社連携IT導入枠を活用する場合には詳細な確認が必要です。
IT導入補助金が使えるITツール
IT導入補助金は、受発注ソフトや労務管理ソフトなどのソフトウェアからパソコンやタブレットなどのハードウェアまで、さまざまなITツール・IT機器の導入にも活用できます。
中でも、ソフトウェアは業務効率化やDX化につながるものであれば、幅広い種類の中から選ぶことができます。
具体的には、受発注ソフトや会計ソフト、決済ソフトだけではなく、労務管理システムなどにも活用が可能です。
顧客との取引で利用する営業管理システムだけでなく、社内業務(バックオフィス)で活用するシステムも選択肢に挙げられるため、幅広く活用することができます。
IT導入補助金の補助対象者
中小企業でIT導入補助金の補助対象者となるのは、原則以下の表に当てはまる企業・団体です。企業であれば、日本国内で法人登記され、国内で事業を営んでいる必要があります。
業種・組織形態 | 資本金(資本金の額または出資の総額) | 従業員(常勤) | |
---|---|---|---|
資本金・従業員規模の一方が右記基準以下の場合(個人事業を含む) | 製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 | |
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 | |
小売業 | 5,000万円 | 50人 | |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 | |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 | |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 | |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 | |
従業員規模が右記以下の場合対象 | 医療法人、社会福祉法人、学校法人 | ー | 300人 |
商工会・都道府県商工会連合会及び商工会議所 | ー | 100人 | |
中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体 | ー | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特別の法律によって設立された組合またはその連合会 | ー | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
財団法人(一般・公益)、社団法人(一般・公益) | ー | 主たる業種に記載の従業員規模 | |
特定非営利法人 | ー | 主たる業種に記載の従業員規模 |
小規模事業者でT導入補助金の補助対象者となるのは、以下の表に当てはまる企業です。
業種・組織形態 | 従業員(常勤) |
---|---|
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) | 5人以下 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
IT導入補助金の対象外となる企業
IT導入補助金の対象外となる企業は、次の6つのいずれかに当てはまる事業者です。
①発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
②発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業・小規模事業者等
③大企業の役員又は職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている中小企業・小規模事業者等
④発行済株式の総数又は出資価格の総額を①~③に該当する中小企業・小規模事業者等が所有している中小企業・小規模事業者等
⑤ ①~③に該当する中小企業・小規模事業者等の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業・小規模事業者等
⑥確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業・小規模事業者等
そのほか、宗教法人やPTAなどの法人格のない任意団体、過去1年以内に労働関係法令違反で送検処分を受けた事業者、指定暴力団なども対象外となります。
IT導入補助金の申請の流れ
IT導入補助金の申請は、次のような流れで進めます。
- 公募要領等の確認・理解
- 導入するITツールの選択・IT導入支援事業者の選定
- 申請準備
- 交付申請
- 採択・交付の決定
- ITツールの契約・購入
- 事業実績報告・補助金交付
公募要領等の確認・理解
まずは、公募要領等の確認・理解を行います。
IT導入補助金には複数の枠があり、枠ごとに交付規程・公募要領が掲載されています。交付対象になるのか、どの程度の補助を受けられるのか、などについて確認するようにしてください。IT導入補助金2024の交付規程・公募要領は以下のページからダウンロードできます。
資料ダウンロード | IT導入補助金2024
導入するITツールの選択・IT導入支援事業者の選定
続いて、導入するITツールの選択とIT導入支援事業者の選定を行います。
IT導入補助金を利用する際に、どのITツールを導入するのかについては、選定したIT導入支援事業者とともに検討します。また、導入したいITツールが決定している場合は、ツールの提供元がベンダー系導入支援事業者かどうかを調べる必要があります。
ITツールやIT導入支援事業者を調べたい場合は、以下のページを参考にしてみてください。
ITツール・IT導入支援事業者検索|IT導入補助金2024
申請準備
導入するITツール・IT導入支援事業者が決まったら、申請準備に入ります。
申請準備では、主に書類の準備を行います。
法人の申請に必要な書類は、以下の2種類です。
- 履歴事項全部証明書
- 法人税の納税証明書(その1またはその2)
一方、個人事業主の申請に必要な書類は、以下の3種類です。
- 運転免許証または運転経歴証明書または住民票
- 所得税の納税証明書(その1またはその2)
- 所得税確定申告書B
法人と個人事業主で必要書類に違いがあるので、準備の際には注意が必要です。なお交付申請前には、下記の手続きが必要です。
- 「gBizIDプライム」アカウントの取得
- 「SECURITY ACTION」宣言の実施
- 「みらデジ経営チェック」の実施(通常枠においては必須)
参考:IT導入補助金2024年
交付申請
書類の準備が完了次第、以下の流れで交付申請を行います。
- IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受ける
- 「申請マイページ」に申請者基本情報など、必要な情報を入力し、必要書類を添付する
- IT導入支援事業者が導入するITツール情報や事業計画値を入力する
- 「申請マイページ」で内容を確認し、申請に対する宣誓を行い、事務局へ提出する
このように、IT導入支援事業者とのやりとりが必要となるため、スムーズに連絡が取れる体制を構築しておくと良いでしょう。
採択・交付の決定
申請内容をもとに補助金の交付を受けられるかの審査が行われ、審査が終わると交付決定、または不採択の通知がなされます。
交付決定を受けた申請者は補助事業者となり、補助事業の開始ができるようになります。
ITツールの契約・購入
交付決定後に、ITツールの契約や購入をします。
交付決定前にITツールの契約や購入をすると、補助金の交付が受けられません。
そのため、必ず交付決定後にITツールの契約や購入を行うようにしてください。
事業実績報告・補助金交付
ITツールの契約や購入をしたら、ITツールの契約や納品、支払いなどが行われたことを示す証憑の提出が必要です。
まず、中小企業・小規模事業者等が「申請マイページ」から必要事項の入力と証憑の添付を行い、事業実績報告を作成します。
続いて、IT導入支援事業者が事業実績報告の内容を確認し、必要事項の入力を行います。
最後に、内容を確認でき次第、中小企業・小規模事業者等が事務局に事業実績報告を提出し、報告は完了です。
報告が完了し、補助金額が決まると「申請マイページ」で補助額を確認できます。内容を確認をした後に、補助金交付が行われます。
まとめ
IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等がITツールを導入する際の費用を補助する制度であり、ハードウェアからソフトウェアまでさまざまな種類のITツールで補助金の交付を受けることができます。
特に、ソフトウェアでは営業管理ソフトをはじめ、バックオフィス業務を効率化するサービスにも活用できます。
ミナジンが提供している勤怠管理システムや人事評価システムもIT導入補助金の補助対象です。
勤怠管理や人事評価等の人事労務の領域でITツールの導入を検討している方は、ぜひミナジンが提供する勤怠管理システムや人事評価システムをご検討ください。