【働き方改革】長時間労働削減に向けた取り組みとは?

働き方改革関連法が成立し、皆さんの会社でも実務対応の検討に入られているかと思います。今回の法律改正の大きなポイントである長時間労働の抑制については、前回もお話しした通り、労働基準法に改正により時間外労働の上限規制が設けられることとなりました。
そこで今回は、休日労働も含めた時間外労働の削減方法について皆様の会社で参考となる長時間労働削減の取り組みをご紹介したいと思います。

労働時間の現状

まずは、我が国の労働時間の現状について確認してみましょう。

一般労働者(正社員)の年間総労時間は、ほぼ横ばいのまま推移してします。特徴的なのはパートタイマー(非正規雇用)の比率が高くなったことです。この非正規雇用者の増加による貧困層の増加が、今回の働き方改革の大きなポイントでもある「同一労働同一賃金」への流れにつながっています。

週労働時間別雇用者等の推移

全体として減少傾向で推移しています。ここでのポイントは30代男性の時間外労働が他の世代と比して多いということです。体力的に充実しているときでもあり、仕事へのやりがいを見つけ、また、家族への責任も発生するという面もあり増加しているのではないかと考えられます。ただし、このデータでは労働時間の把握が義務付けられていない「管理監督者」の労働時間が反映されていないため、一概に30代が多いとはいえない面もあります。

特別条項付き36協定を締結している事業場の割合

特別条項付きの36協定を締結している会社は全体の22.4%と少ない印象を受けます。しかしながら「協定なし事業所」44.8%の内、約半数は締結が必要にも関わらず「知らない」「出し忘れた」等が占めます。このことから「特別条項付き36協定」についても、本来ならば、もっと多くのパーセンテージになると思われます。ちなみに弊社が依頼を受けて作成・届出代行をする36協定の99%が「特別条項付き36協定」です。

36協定における特別延長時間(特別条項)の状況

特別条項付き36協定を締結している会社の占める割合が大企業と中小企業では5倍近く違います。これは前記したように、36協定が必要にもかかわらず「知らない」「出し忘れた」ということが中小企業に多いということが大きな一因と考えられます。残念ながら労務管理のレベル、コンプライアンスへの意識に差があるということでしょうか。
今回の時間外労働の上限規制から考えると、60時間超の「特別条項付き36協定」を締結している会社にとっては、時間外労働の削減はコンプライアンス上喫緊の課題と言えます。80時間超については今日から見直しを始めるレベル(危険水域)です。
また、平成22年に改正された労働基準法の中小企業への猶予措置(月60時間を超える時間外労働の割増率を50%以上とする)も廃止され、賃金の増加やそれに関連した社会保険料の増加も想定されます。