在宅勤務を行う場合の就業規則、導入時に気をつけたい7つのポイント
働き方改革によって、フレックス制など自社での勤務から、在宅勤務、クラウドソーシングなど、外での勤務のあり方も見直されてきています。社員のワークライフバランスや人材確保を考えて在宅勤務に踏み出そうとしている企業もあるでしょう。
しかし、在宅勤務にあたっては不安な要素もあります。在宅勤務をスムーズに取り入れるためのルールである就業規則をどうするかです。在宅勤務者と就業規則について考えていきましょう。
目次
在宅勤務に特化した規則は必要か
在宅勤務という新しい働き方が増えたとき、新しい働き方に特化した規則は必要なのでしょうか。実際の企業での導入を見ながら、必要性について考えていきます。
就業規則を変えている企業は多いのか
厚生労働省によると、在宅勤務のようなテレワークを取り入れる場合、テレワークのための規定をするべきといいます。この場合、変更する可能性が出てくるのが、就業規則の本項と、新たに作成する個別のテレワーク就業規則に関してです。
テレワークを導入している多くの企業では、就業規則が変更されますが、就業規則の本項まで変える企業は稀。ほとんどの企業は、個別のテレワークの就業規則部分のみを変更しようとします。
就業規則変更の目安とは
テレワークを導入する企業の多くは、基本的に就業規則を大きく変更しようとはしません。在宅勤務だけでなく、通常の働き方とのバランスも考えなくてはならないためです。
たとえば、変更の目安は在宅勤務の場合1~2日。1週間のうち3日~5日など半分からほとんどが在宅勤務なら、大幅に、就業規則を見直す必要があります。
就業規則に反映させた方が良い項目
就業規則に反映させた方が良い項目には、就業規則全体にかかわってくる部分と、テレワークのみにかかわってくる部分があると説明しました。多くのテレワーク導入企業で取り入れられている、テレワークの就業規則を追加あるいは変更する場合に反映するべき項目を見ていきましょう。
たとえば、反映させた方が良いテレワークに特化した内容は以下のようなものです。
・在宅勤務の対象者は誰か
・在宅勤務の作業場所はどこか(自宅)
・在宅勤務の申請方法
・在宅勤務時の始業と就業時間の連絡方法
・光熱費など在宅勤務中の費用負担
まず、対象者ですが会社の管理職など、一部のケースにおいては在宅勤務が適していない場合があります。同じく、新入社員の場合も仕事を教えなければならないという点から、入社当初から在宅勤務で振り分けるのは不適切です。そのため、誰でも在宅勤務にならないように就業規則のテレワークの部分で規定しておきます。
また、後々トラブルにならないためにも、在宅勤務の申請方法、時間の連絡についてもしっかり取り決めておきましょう。そして、意外に忘れがちなのが在宅勤務での費用負担です。会社内であれば会社がすべてを負担することになりますが、自宅だと光熱費やインターネット利用料など費用は自己負担です。
会社が負担するのか、あるいは負担するならどのように決めるのか、一律かあるいはかかった分だけ負担するのか、細かく設定しておきたい項目です。
それでは、テレワークに限らず、全体の就業規則で反映させたい項目を確認してみましょう。
・情報セキュリティの規定
・評価制度
・賃金制度
情報セキュリティに関しては、年々社会からは厳しい目が向けられています。情報漏洩が起きたらそれこそ一大事です。テレワークに限らず、ぜひ全体の就業規則で反映させるようにしましょう。具体的には情報の持ち出しのルール、情報の取扱いについて規定しておきたいです。
評価制度、賃金制度に関しては、在宅勤務者が通常の勤務者と比べて不利にならないようにするために見直します。テレワークに限った話ではないので、この2つは全体の項目で規定を変更した方が望ましいです。
自社で考えていくべきことは?
ざっと就業規則に反映させた方が良い項目について紹介しましたが、在宅勤務の規模や導入によって、何が必要かは変わってきます。今後普及が見込まれる勤務形態だからこそ、自社にあった規定、規則を決めるのは、なかなか難しいかもしれません。
在宅勤務導入に最低限必要なルールとは
ここまでそもそも在宅勤務に就業規則は必要かを紹介しました。在宅勤務導入に対して、就業規則の必要性は分かったかと思いますが、それでは少なくとも必要になるルールとはいったい何でしょう。
在宅勤務導入で必要なこと
テレワーク導入にあたって、1番大切なことは、導入の流れを理解することです。これまで取り入れていなかった新しい勤務形態だからこそ、一気に取り入れようとすると失敗してしまいます。まずはできることから、少しずつ取り入れていくことが大切です。
導入にあたって必要最低限なルール
在宅勤務導入にあたっては、すぐに取り入れるのではなく、ルールを設定したうえで取り入れる必要があります。ルールは、トラブルを避けるためにも細かく設定するに越したことはないですが、導入を優先するなら最低限必要なルールだけでも確認しておきたいです。たとえば、以下のようなルールが少なくとも必要になってくるでしょう。
・在宅勤務を命じることの規定
・在宅勤務の労働時間の規定
・通信などの負担にかかわる規定
・研修を実施するかどうか
・実施する範囲はどうするか(単純な処理作業など)
・在宅勤務の適正は実施するか(進捗管理のため)
・在宅勤務時の連絡はどうするか
複雑な就業規則の見直し
後で決めても問題ない程度のルールであれば良いですが、就業規則で定めるようなルールはどれも重要です。たとえば、在宅勤務の労働時間に関する規定、通信費など個人の負担に関する規定など。規定しないと在宅勤務と名ばかりの働き方になってしまいます。
しかし、こうした就業規則の見直しが必要な部分に関しては、複雑でどのように取り決めて良いか迷ってしまう部分も多いです。また、独自に見直そうとすると意図しない抜け道が生まれてしまうこともあります。項目の抜けが気になる場合は、テレワークの就業規則も含んだひな形の利用もおすすめです。
就業規則の見直しが難しい場合
在宅勤務導入にあたって、1番複雑で、かつ迷いやすいのが就業規則の見直しだとお話ししました。社内で見直していくのも良いですが、やはり抜けや自社に合わない内容など心配な部分もあります。
社内で解決に至りそうにないなら、就業規則に詳しい専門家に問い合わせるのもひとつの選択肢です。行き詰ったら、プロの力も借りてみましょう。なお、就業規則の見直しにあたっては、厚生労働省のQ&Aにおいて、疑問に思いやすい部分がまとめられています。専門家への相談の前に、厚生労働省にQ&Aに回答がないか先に確認しておくのも良いでしょう。
まとめ
在宅勤務を導入する場合、企業は就業規則の変更や見直しをする必要があります。場合によっては、大きく変更する可能性もあるでしょう。しかし、在宅勤務などのテレワークは、まだまだ広がっていない働き方です。迷う部分や複雑な部分も出てきます。まずは自社の目的や方針を思い出して、それでも手に負えない場合はプロの力も借りましょう。
また、就業規則と同じように、勤怠管理の方法も在宅勤務導入によって複雑化します。在宅勤務に会社で実施していたようなタイムカードは通用しないので、システムを使った勤怠管理が必須となってくるでしょう。ただでさえ考えることが多い在宅勤務の導入。少しでも手間を省き正しく管理するなら、ミナジンの勤怠管理システム導入を検討してみてください。