有給休暇(有休)申請の期限は?ルールや管理方法を解説

有給休暇の取り方として、申請/承認制をとっている企業は多いでしょう。有給申請について、皆様の会社にはどのようなルールが設定されているでしょうか?

「○日前までに申請する」と期限を定めていても、会社ごとにその日数は異なります。有給休暇の取得が社員の権利である一方で、企業には「時季変更権」が与えられています。そのため、有給申請に期限を設けても違法ではありません。

誰かが休む際に、業務に支障が出ない代替体制を整えるのに必要な日数を期限にあてるのが適切です。その必要日数は各企業の業態や人員体制次第で変わると考えられるため、一律に○日前と決められていないのです。

ここでは、有給休暇の申請期限にまつわるルールや、企業の権利である時季変更権について解説します。取得義務も加わった有給休暇の管理方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

有給休暇の取得義務に違反した際の罰則とそれを防ぐための方法とは?

全ての企業は条件に合致する従業員に対して、年に5日間の有給休暇を取得させることを義務付けられています。義務に違反した際には違反者一人に対して~30万円の罰金を課せられます。違反者が100名いれば罰金は~3,000万円となります。しかし、このリスクはきっちり対策すれば、事前にリスクを回避することが可能です。本紙では有給休暇の取得義務について解説し、そのリスクと対応策をお伝えします。

有給休暇の申請には期限がある!ルールを確認しよう

有給休暇の取得は、条件を満たすすべての労働者に与えられた権利です。企業は従業員の休暇取得の希望を拒否できません。従業員は、会社の許可を得ずとも有給で休むことができます。取得理由も伝える必要はありません。

ただ、休みたい当日に「有給を取ります」といわれても現場に混乱が起きる可能性があります。その社員の休みをカバーする準備ができていないからです。急に他のメンバーの負担が増したり、取引先や顧客に迷惑がかかったりすることもあるでしょう。

企業は誰かが有給を取得する際、業務や事業が滞りなく進むよう代替体制を整えなければなりません。そのため、有給申請については「○日前までに」と期限を定めることも許されているのです。

有給申請は原則前日までに提出としている企業が多いなか、3日前までにとする企業もあります。所定の書面で上司に届け出て、承認を得るというルールを定めるところもあるようです。

各企業の期限やルールが違うのは、代替体制の準備が整うまでの所要日数が異なることも一つの要因と考えられます。また、事前に十分な準備ができれば、混乱や迷惑になる事態も避けられるでしょう。

もちろん、数ヶ月前、数週間前といった有給取得日から遠すぎる期限設定は適切とはいえません。自社の業態や業務の特徴、人員体制などを踏まえた設定が必要です。

また、企業には時季変更権という権利も与えられているので、状況によっては日程変更をお願いすることもあるでしょう。次の項で詳しく解説します。

時季変更権について

「時季変更権」とは、従業員の休暇申請に対し、企業が日程変更をお願いできる権利のことです。ただし、この権利の履行が認められるのは、事業の正常な運営に支障が出る場合に限ります。(労働基準法第39条第5項)

単に忙しいからという理由では行使できません。たとえば、以下のような状況があてはまるでしょう。

  • 多数の従業員が同じ日に休暇申請を出している
  • インフルエンザなどで多数の欠勤が生じている
  • 他の日や他の従業員では代替できない重大な業務がある
  • 異常事態が予測され、とくに繁忙状態となる具体的理由がある
  • あらかじめ本人に対して出張や研修などの特命が伝達されている

有給休暇の管理方法

ここからは、有給休暇について企業が管理すべき項目や管理上の注意点を解説します。

付与日数の把握

有給休暇は、各従業員の労働日数や時間に応じて、法律上の付与日数が決まります。付与対象者の基準は労働日数と労働時間であり、雇用形態を問いません。パートやアルバイトなども含まれます。

【週5日=週40時間働く従業員の場合】

  • 入社6ヶ月後から1年間に10日の付与
  • 初回の有給付与から1年後(入社から1年半後)に年間11日の付与
  • 以降も1年ごとに付与日数を1日ずつプラス

所定労働日数や所定労働時間による付与日数の変動は以下のページを参照ください。
(※)参考:【厚生労働省】年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

年5日の年次有給休暇の取得義務

10日間以上の有給休暇を付与されている従業員については、うち5日間/年の取得が義務付けられています。企業が一斉/部署ごとに取得日を指定(時季指定)、あるいは従業員に年間の取得希望日程を聞くなどして、確実な取得を促さなければなりません(※1)

有給休暇取得日数が年5日に満たない社員がいた場合は、法律違反です。また、10名以上の従業員のいる企業は、有給休暇に関する就業規則の内容も提出しなければなりません。違反があった場合、6ヶ月以下の懲役、また30万円以下の罰金が課されます。

法改正にともなう企業の対応については以下の記事も参考にしてください。

有給休暇管理簿の記録・提出義務

企業は各従業員の有給取得状況を記録し、記録簿を3年間保管(※1)する必要があります。

面倒なのは、社員全員の付与日数、取得日が一律ではないという点です。付与日については、一律化を図っている企業もありますが、そうでない場合は年間の付与日もバラバラでしょう。一人ひとり異なる有給の残存日数や消化状況について、Excelなどで手動管理し、取得不足の状況を目視で把握していくのは容易ではないでしょう。

そこで、申請や消化の時点で自動的に記録してくれる勤怠管理システムの活用がおすすめです。「MINAGINE勤怠管理」は、確実、かつリアルタイムに取得日をはじめ、付与発生と残存日数を自動的に可視化します。管理業務の簡素化や取得状況の把握を実現できるシステムです。

有給休暇に関するMINAGINEの機能については以下のページでご紹介しています。

おわりに:勤怠管理システムで実現する確実な有給休暇取得と管理

有給休暇が取得できていない従業員に対しては、年間の終盤に一気に消化せざるを得ない状況を生まないよう、適切なタイミングで取得を促さなければなりません。

しかし、従業員数が多ければ多いほど管理するのは時間も労力もかかり、個別の状況を把握するのは非常に困難です。有給休暇の取得漏れや記録漏れがないよう、勤怠管理システムを活用して確実に法的義務をクリアし、有給休暇の取得率アップを図りましょう。

勤怠管理システム「MINAGINE勤怠管理」は、有給休暇の申請をシステム上で申請も残日数の確認も行えますし、付与も自動なので、「あと何日だったかな…」などと担当者が頭を悩ませる必要もありません。

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(※1)参考:
年次有給休暇の時季指定 | 働き方改革特設サイト | 厚生労働省

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