テレワークで生産性を上げるためには


ネットワークを利用して会社以外の場所で仕事ができるテレワーク。会社への出勤をともなわずに、従業員はさまざまな場所で仕事ができることから、生産性の向上を期待してテレワークを導入したいと考える企業も少なくないでしょう。

しかし、ただ闇雲に導入しただけで生産性があがるとは限りません。生産性を重視したテレワークの導入ではどのような点に注意すべきなのでしょう。テレワークと生産性の向上について考えていきます。

テレワーク導入と生産性の関係

テレワーク、あるいはリモート、モバイルワークといわれる、在宅など会社以外の場所でパソコンなどを利用した画期的な働き方としてさまざまな国や企業で導入されていますが、そうしたテレワークの利点でもあり、問題点としてもよく取りあげられるのが「生産性の向上」です。

長らく議論されてきたテレワーク導入と生産性の向上に関しては、海外に興味深いデータがあります。CAS ( Centre d’analyse stratégique )、フランス首相付きの戦略分析センタ―における2009年発表のデータです。

テレワークの生産性が向上するのは週1~2日?

フランスで発表されたデータによると、最もテレワークでの生産性が向上したのが週1~2日テレワークを取り入れた場合だといいます。実際に、こうしたデータはフランス国内でよく活用されており、テレワークを導入しているフランス企業の多くが、テレワークは週2日です。

それでは、週1~2日以上であればどうでしょうか。同データでは、テレワークが週2.5日以上だと逆に生産性が下がるといいます。理由は、社員間のコミュニケーションが不足して、社員の孤立が進むためです。つまり、むやみやたらにテレワークを増やすのは生産性の面からみると良くないということになります。

それでは、テレワークが週1日以下、つまり月数えるほどしか実施されないケースではどうでしょうか。実は、テレワークが少なすぎる場合も、生産性はあがらないと結果が出ているどころか、整備などの手間が増えるだけなのです。

あくまで、フランス国内での調査結果ですが、テレワークの生産性が、取り入れる頻度によって変わってくる可能性があることは否めないでしょう。

生産性のあがるテレワークとは

導入によって1.6倍生産性が向上したという調査結果もあるテレワークですが、フランスでの調査結果をみるに、必ずしも生産性に直結するとは限りません。生産性のあがるテレワークとはどういったものなのでしょうか、もう少し踏み込んでテレワークと生産性について考えてみましょう。

本当にテレワークで生産性はあがるのか

テレワークによって生産性があがると期待されるのは、従業員が会社とは離れた場所で作業ができるためです。社内の環境は、必ずしも個々の社員にとって魅力的なものとは限りません。

ときには周りの音で集中が途切れてしまうこともあるでしょう。しかし、テレワークなら在宅や図書館、コワーキングスペースでも仕事ができるので、より静かな環境の中に身を置くこともできます。従業員は落ち着いた環境の中、集中して作業できるために生産性の向上が期待できるというわけです。

また、テレワークでは無駄な移動時間を省くこともできます。会社に出社する必要がないため、通勤ラッシュでストレスを抱えることもありません。時間を有効活用でき、ストレスも場合によっては軽減できるという点で利点があります。

生産性が落ちる結果を招くことも

このように生産性の向上が期待される一方で、テレワークによって生産性が落ちるのではという懸念もあります。社員のコミュニケーション不足などが顕著になる可能性があるためです。導入するテレワークの制度そのもの、あるいは導入する頻度によって、本来の目的に反する結果を招くケースもあります。

テレワーク導入は企業にとっての課題

生産性の観点から見ると、メリットもある中、いくつかの問題が懸念されるテレワーク。本来の目的を達成できないリスクがある以上、なかなか導入に踏み切れないと躊躇する企業も少なくありません。

故に、テレワークは企業の生産性や仕事効率のアップなどの段階だけでなく、一般的な働き方の変化という段階で導入を検討すべき働き方です。育児や介護との仕事の両立がより強く望まれる現代において、会社でしか働けないという柔軟性の低さは将来的に解消されていく方向にあります。

生産性が落ちるのが怖いからテレワークを取り入れないのではなく、いかにうまく取り入れていくかが今後の課題となるでしょう。

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成果が見えるテレワークの導入と国内事例

フランスのような海外の事例をあげましたが、導入が進んでいないとはいえ、国内でも生産性向上支援策の一環としてテレワーク導入を進める企業もあります。

しかし、こうした企業の多くはただ導入するのではなく、導入日数や頻度など細かく規定しているケースが多く、テレワークの運用がうまくいき、成果へとつながっている企業もあります。

それでは、成功している企業にはどのような特徴があるのか、生産性をあげるためのテレワーク導入の工夫を見ていきましょう。

テレワークの上限を定める

フランスの調査結果でも触れましたが、テレワークは必ずしも多ければ多いほど、生産性があがるわけではないと紹介しました。そうしたテレワークでの問題点を補うために、週2日まで、あるいは月10日までとテレワークの上限を定めている企業は少なくありません。

業務報告を行うようにする

テレワークの問題点として指摘されるのが、社員間のコミュニケーション不足です。在宅など働く場所がテレワークにより社内でなければならないと規定されていないため、情報共有がおろそかになるリスクがあります。

そのために、社内規定で翌日に業務報告をするよう義務付ける、あるいはチーム単位で管理して上司に報告する事例も少なくありません。顧客が絡んでくるような業務においては、顧客にも情報を共有するよう規定しているケースもあります。

在宅勤務での残業を禁止

テレワークでは社員間のコミュニケーションが不足する可能性があると紹介しましたが、問題はコミュニケーション不足だけではありません。テレワークでは働く姿が目に見えないために、出社するときよりも無理をして残業するケースもあります。

しかし、残業するということは、本来のテレワークの利点が覆りかねません。時間の有効活用が目的のテレワークの残業によって自由な時間が妨げられ、反対に生産効率を落とすことになるため、在宅勤務などのテレワークでは、あらかじめ残業を禁止している事例もあります。

テレワークと労働時間短縮を併用

一部の企業ではテレワークだけでなく、ほかの制度との併用によって生産性向上へとつなげているケースもあります。例えば、リクルートで実施されているテレワークと労働時間短縮を併用して、どちらか選べるようにするという方法です。

こうした併用によって、リクルートの社員の約8割で生産性に効果が見られたといいます。テレワークというひとつの働き方だけにこだわらず、ほかの制度との併用を考えるのもひとつの方法です。

まとめ

現代の働き方の変化によって、さまざまな企業で導入されているテレワーク。企業から見てもメリットのある方法ですが、課題となるのが生産性です。テレワークは、生産性をあげられるという期待と、失敗すれば生産性が下がるリスクの両面をはらんでいます。

そうしたテレワークの生産性のリスクを抑えるために重要なのが、テレワークの頻度や制度をいかに整備していくか。紹介したようなフランスや日本の成功企業の事例を参考に、生産性を意識したテレワーク導入を考えていきましょう。