2011年6月から「MINAGINE勤怠管理」をご利用いただいている商船三井ドライバルク様。
商船三井グループ企業として、日本近海水域を中心に海上輸送事業として展開されています。時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定されるようになり、各社いかに時間労働を管理・削減するか、対応に追われていますが、同社では特に特別な取り組みは行っていないと言います。なぜ同社ではそのような労働環境が実現できるのでしょうか。取締役の柿嶋由希江様に労務管理の考え方と実践する際のポイントについて伺うと共に、MINAGINE勤怠管理導入の背景などについてもお聞きしました。

徹底した労務管理により、そもそも残業が発生しない環境を整えている

――まずは商船三井ドライバルク様の事業内容と、社員の方の働き方についてご説明をお願いいたします。

当社は海上運送業ということで、船を所有・運航していますが、船員は別会社の方です。ですから、当社では一般的な働き方の9-17時勤務という社員が多いですね。

――勤怠管理の特徴や労務管理方針について教えてください。

勤怠については当然、労働基準法を遵守しています。フレックス制度もありますが、小さいお子さんがいたり用事があったりするときに使うくらいで、普段は9-17時で働く社員が多いですね。業界は特殊かもしれませんが、働き方はごく一般的です。

――働き方改革の広がりなどもあり残業削減が叫ばれる昨今です。御社は残業削減について何か取り組みを行われていますか。

特に新しく何か実施していることはありません。というのも当社は残業がもともと少なく、19時にはもう会社に誰も残っていないような状況なのです。船は24時間走っていますので何かトラブルがあったときは時間外労働で対処することもありますが、それは例外で恒常的な残業は基本的にありません。

――どのようにして残業が発生しない環境を整えておられるのでしょうか。

残業が継続して発生しそうなら、すぐに対処しています。当社ではMINAGINE勤怠管理の「残業チェッカー」などを使うことで残業や有給消化の状況を把握しています。残業が発生するのは適切なリソース配分ができていない可能性があるということ。部署に人は足りているのか、しっかりと社員が能力を発揮できる環境は整っているのか。そういった状況を逐一チェックして毎月資料にまとめ、役員も出席する会議に提出しています。その会議で残業が多くなった原因や改善方法などを報告し、恒常的な残業が発生しないよう対応を検討しています。

――残業の削減を個人の問題、部門やマネジャーの課題としてではなく、会社の問題として役員レベルでコミットする体制が機能しているんですね。

実はMINAGINE勤怠管理導入前は、月の途中での残業時間の把握が難しかったため、月末になってから「あ、規定の時間をすぎていました」ということが起こりがちだったのです。しかし今は月の途中でも残業時間が把握できるので、規定の時間を超える前に仕事を翌月に回すなど、対処できています。

社員本人の申告による信頼ベースの勤怠管理から脱却するためにMINAGINE勤怠管理を導入

――御社はもともと非常にしっかりとした労務管理をされているのですね。MINAGINE勤怠管理の導入と、それによる業務効率化がスムーズに進んだのは、そんな御社だからこそだと思います。

ありがとうございます。たしかに、ここ数年はシステムについての問い合わせもしていませんでしたね。

――ええ。システム以前の問題として、労務管理でやるべきことがしっかり固まっているからこそ、システムを導入しても想定外のトラブルが起きないのだと思います。
さて、ここからはそんなMINAGINE勤怠管理を導入するに至った経緯についてお聞きしていきたいと思います。導入前からすでに労務管理を徹底されていた御社が、なぜMINAGINE勤怠管理を導入されたのでしょうか。

当社は社員70名ほどで、人事総務が5名います。MINAGINE勤怠管理を導入したのは8年前で、それまで当社では勤怠管理をExcelで行っており、社員が自分で勤怠を入力していました。それを1か月分纏めてプリントアウトして上司がハンコを押していたのです。社員の自己申告を信じるしかないので、完全に信頼ベースでの勤怠管理でした。もし実態と違っていた場合、その週の勤怠くらいなら上司も覚えていて指摘することもできるでしょうけど、1か月分のことになるとさすがにわかりません。

そうした状況はやはり問題があります。そこで、PCのログインとログオフで出退勤を確認できるシステムの導入を検討することにしました。また、Excelを印刷する紙ベースのやり方から脱却したかったのもシステム導入の理由の一つです。紙での申告なので人事総務の担当者が割増率に応じた時間外手当を給与システムに手入力していました。本人、上長、人事総務の担当者の手作業を減らすことも目的でした。

他社製品と比較した結果、コストと柔軟性の高さが導入の決め手に

――当社のシステムを選んだ決め手は何だったのでしょう。他社システムと比較はされましたか。

大手メーカーの製品と比較検討した結果、MINAGINE勤怠管理を選びました。最大の理由はコストで、MINAGINE勤怠管理は費用対効果が高かったです。また、柔軟性も高く融通がきくところも良かったですね。たとえばあるシステムですと、時間外勤務の申請をしないと時間外勤務の勤怠が入力できない仕様になっていました。しかし、最初に申し上げたように当社が事業で扱っている船は24時間走っているため、いつトラブルがあるかわかりません。上長がいないときにトラブルがあって社員が時間外勤務をした場合、申請をしないと入力できないというのでは困るのです。そういった部分の柔軟性に優れていたのがMINAGINE勤怠管理だったのです。

――勤怠管理システムの導入という新たな取り組みを行うにあたり、苦労した点などはありましたか。

PCのログインとログオフで出退勤を記録しているのですが、出張や外出ではPCを立ち上げずに仕事をする社員もいますし、LANにつないでいないとPCを立ち上げても記録されません。そういう場合は勤怠が空欄になりますので、社員が自分で入力することになります。また、夜にPCをつけたまま職場を抜けてしまうと退勤にならないため、時間外勤務していないのにしていることになってしまうということがありました。

これらについては今も課題ではありますが、逆にいえば困るのはそれくらいで、それ以外は特に問題もなく導入による混乱は起きませんでした。

機能面での便利さはもちろん、サポートの手厚さに助けられた

――MINAGINE勤怠管理で特に便利だと思った機能はありますか。

やはりPCのログインログオフで打刻できることですね。そして、勤怠状況を見ようと思えばリアルタイムで確認できることです。導入以前は紙ベースだったので、提出されるまでは確認することができませんでしたから。

――その他、MINAGINE勤怠管理で良かった点を教えてください。

サポートが手厚いことです。MINAGINE勤怠管理を導入した当初、いろいろな相談に丁寧に対応していただけました。最初はやはり設定などでわからないこともあったのですが、おかげでスムーズに導入できました。今はもう長く使わせていただいているので、すっかり慣れてしまいましたが(笑)。

――実際の出社時間に合わせて15分の範囲内で所定の退勤時刻をずらす「ミニフレックス制」は御社の業務に合わせて機能開発しました。他にも大企業グループならではの就業ルールもあり、御社のほうでも導入時は大変だっと思います。

実はそのルールはその後廃止しました。他にも残業の時間帯による手当の支給等業務的に複雑なルールがあったのですが、労働組合と話をして、より運用に負荷のかからないルールに変更しています。

――ユーザー企業の担当者さんを見ていると、複雑な業務をまじめになんとかやり遂げられている方が多いですが、就業ルールを目的と当初想定した効果の点から見直すことで、業務の負荷が一気に軽くなることは多いですね。最近は当社もルールの見直しをサポートすることが増えています。
今後、労務管理において実現していきたいことを教えてください。

2019年4月の法改正対応として、有給消化率はしっかりとチェックして消化させたいです。上期が終わる9月までに有給を3日以上取っていない社員には、有給取得の計画を立てて提出してもらうことにしています。

また、世間では在宅勤務などを取り入れている企業も増えているので、そういったことも検討していきたいですね。ただ、営業中心の会社ですので客先や現場に行くことが多く、在宅ではできる仕事が少ないのも事実ですが、この秋にトライアルを実施することにしています。それに合わせてペーパーレス化など在宅勤務するための環境もまだ整えていく予定です。

――今後、労務管理の改善を考えている企業にとって大変参考になるお話でした。ありがとうございました。