『若者よ、アジアのウミガメになれ』加藤順彦 著 を読んで

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若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録
若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録
作者:加藤順彦
出版社/ ゴマブックス
発売日: 2016/12/1
メディア: 単行本(ソフトカバー)

 
 
何を隠そう、私自身が本著の著者加藤さんに「かき集められた」学生の一人であり、著書に出てくるリョーマなる学生企業(カルト集団?笑)の学生スタッフでした。つまり、本著に書かれている「異常な環境」に引きずり込んで頂き、その後の人生のレールを「異常な環境」へと導かれた張本人なのです。また、加藤さんが本著のベースとなる「ウミガメ講義」を神戸大学起業ゼミのゼミ生募集イベントでやって頂く様にご依頼させて頂いたのも私です。また、何をさておき、私を起業家という異常世界に導いてくださった人生の恩人であり心の師匠である加藤さんのご著書という事で、僭越ながら書評なるものを書かせて頂かない訳にはならないと思い、筆を取らせて頂きました!
 
まず、本著第1章に書かれている「環境が人間を創る」について、私の実体験からご紹介させて頂きます。16歳の時に父から「将来何をして飯を食っていくか、そろそろ決めよ」との投げかけに対し、「事業家になる!」と決めた当時高校1年の私は、事業家になる為の勉強が出来そうとの理由で、神戸大学経営学部に入学しました。本著にも書かれている様に、当時は大学に合格すれば先ず運転免許という事で、入学式前の春休みに免許を取ろうと雑誌の広告で見つけた「マイライセンス」に友人と共に申し込みに行ったのです。その時の事は今でも鮮明に覚えています。合宿免許の受付をしている時、「将来、何になりたいの?」と質問され、「事業家になりたい」と言ったところ、「ちょっと待ってなさい」と言われ、奥から出てきたのが加藤さんでした。そこから2時間、怒涛のトークでまくし立てられ、「明日から出社しなさい」となった訳です。まだ入学式にも行っていない中で、「まだ授業とかサークルとかも決めてないので、少し考えさせて」と言ったところ、「お前はだからダメなんだ!人生は、出来るか出来ないかではなく、やるかやらないかだ。お前はやるのかやらないのか、今すぐ決めろ!」と迫られ、「やります!」と答えたのです。自分自身の目標となっていた事業家への道に近づけそうと感じた事もありますが、何よりも著者加藤さんの熱量に圧倒され、カッコよいと感じた事が大きかったですね。そして、たった2時間の加藤さんの怒涛トークにより、私は異常環境への扉を開いてしまったのです。
 
 大学に入学する前、つまり、普通環境を全く知らないままリョーマという異常環境に身を投じた私は、大学1年の授業を一度も受ける事無く、毎日朝から晩までリョーマで泊まり込みで仕事をして、気が付いた時は前期試験が全て終っており、大学入学半年で留年が確定していました。これは、周りの普通の大学生と比較するとかなりの異常ですが、普通を知らずにいきなり異常な環境で大学生活をスタートさせた私にとっては、全くもって普通だったのです。何故なら、リョーマのほぼ全ての先輩たちも授業など受けておらず、留年や中退が普通だったからです。留年をした僕も「これで僕も仲間入り出来た」くらいの感覚しか持たず、笑い事にしか捉えていませんでした。完全に異常環境に洗脳され、世間様の当たり前が僕の当り前では無くなっていたのですね。
 朝から晩まで泊まり込みで働き、貰える固定給が確か2万円。あとは、完全成果報酬だったと記憶しています。しかし、不満に思ったことは一度もありませんでした。生活に困ると、当時一番流行っていたディスコの飲食チケットを貰え、リョーマメンバーはそのディスコは顔パスで入れたので、ただ飯を食えたのです。今から思えば普通ではないと思えますが、当時の僕にはそれが普通、いやむしろ、カッコ良いとさえ思えていたのです。この経験は、その後の私のキャリア形成に大いに役立ちました。つまり、楽しいとさえ感じていれば、仕事や組織そのものに意味があると感じていれば、金銭的報酬が無くてもやりがい報酬だけで一生懸命働けるんだという労働観の非常に大事な基礎を自らの中に築く事が出来た事です。
 
その後、大学2年の終わりに、私の担当するお客様が花の万博に出展される事になり、パビリオンで働く学生スタッフが足らないから集めてくれないかと言われ、リョーマの代表だった真田さんに相談したところ、「うちは広告屋であって派遣屋ではないからダメだ。お前は起業したいんだろ?自分でやれよ!」と言って下さり、翌日に起業しました。19歳の大学2年生での起業です。これも世間一般から見ると、異常かも知れませんが、当時の僕にとっては、ごく普通の事でした。リョーマ時代と同じく朝から深夜まで毎日働き、瞬く間に数億円の商売になりました。リョーマ時代の薄給は一瞬にして回収出来ました。
 
目先の利益に囚われず、楽しみながら朝から晩まで働くという労働観は、後に大企業サラリーマンを経験した際にも圧倒的に役立ちました。自分の会社を起業したものの、一度はまともな会社で勉強したいと思い、大学卒業時に某大手商社に就職しました。異常な環境しか知らなかったので、普通の環境を経験してみようと思ったのです。大企業サラリーマンは仕事を嫌な事と考えている人が大多数で、なるべく楽をしよう、自分の得(出世や給料が上がる事)にならなそうな事は極力やらないのが普通です。しかし、リョーマの異常環境が普通だった私は、給料に関係なく朝から晩まで働くことが普通だったので、自分の普通通りに行動すれば、圧倒的な成果を上げる事が出来ました。能力が高かった訳ではなく、単に人の何倍もの時間を費やしただけなのですが、これを楽しんでやれた事が勝因だったと、つまり、異常環境によって創られた異常思考が生んだ結果だったと思います。
 
 本著でも繰り返し述べられている通り、「環境が人間を創」ります。特に、若い時は自分の常識が周りの環境に大きく影響されます。将来、自分で起業したい・リーダーになりたいと思っている方は、是非とも本著を読まれ、我々の生息する『異常世界』への扉を開いてみてください。若ければ若いほど、つまり、世間の普通が自分の常識になってしまう前に、異常な環境に身を置いて頂きたいです。若いうちであれば、辛いしんどいと感じるのはほんの数か月です。しかし、世間の普通が自分の普通になってしまう年齢から異常世界に入ると、その何倍もの苦しみを潜らないといけなくなります。早ければ早いほうが良いのです。
 そして、異常な環境が普通になったら、本著の第2章に書かれているように「成長の尻馬に乗る」市場で勝負をし、更に高い志を持っているならば、第3章に書かれている「アジアのウミガメ」に自らがなるように、成長著しいアジア市場で勝負をすべきです。本著の第2第3章では、どの様にして勝負に勝つかを著者の経験を通じて、非常に分かり易く書かれており、これから勝負したいと思われている方には目から鱗の内容となっています。
  
 
最後になりましたが、本著発刊のきっかけとなったウミガメ講演について、少し触れさせて頂きます。今から6年前、私の母校神戸大学から起業家を輩出する事を目的に、『起業家ゼミ』なるゼミを神戸大学出身のベンチャー経営者達で発足しました。その際に、ゼミ生の募集イベントを開催するにあたり、真っ先に思い付いたのがリョーマであり、加藤さんでした。そこで、無理をお願いして、加藤さんにご講演を頂いたのが本著のベースとなるウミガメ講演だったのです。200名近い学生が集まり、10名ほどのゼミ1期生を採用しました。それから6年が経過しましたが、ゼミ生の大半が起業しています。ほとんどの学生はいったんは大企業に就職をしますが、学生時代に異常な価値観を身に着けており、普通の環境が物足りなくなり、起業の道を自ら選んでいっています。
 
さあ、あなたも本著『若者よ アジアのウミガメとなれ』を手に取り、こちらの異常にして至福の世界に一歩踏み出してみませんか?
 
 

若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録
若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録
作者:加藤順彦
出版社/ ゴマブックス
発売日: 2016/12/1
メディア: 単行本(ソフトカバー)