
パートから正社員へ!?5年ルールで変わる!労働契約法改正(2013)
※労働者派遣法改正法については「派遣の条件が変わる!労働者派遣法改正法11のポイント(2013年)」をご覧ください。
改正労働契約法が、2012年(平成24年)8月10日に公布、
2013年(平成25年)4月1日より施行されました。
今回の改正では有期労働契約(半年や1年など期限が決まっている労働契約のこと)について、
「3つのルール」というものが規定されました。
職場内それぞれの呼称に関わらず、有期労働契約であればすべての人が対象となります。
(アルバイト・パート・派遣社員・契約社員・嘱託社員など)
そこで、今回は最新の改正ポイントについてまとめてみました!
改正労働契約法で定められた3つのルール
1.無期労働契約への転換
2.『雇い止め法理』の法定化
3.不合理な労働条件の禁止
それでは順番に見ていきましょう!
1.無期労働契約への転換(第18条)
出典:厚生労働省『労働契約法改正のポイント』
1年更新または3年更新などの有期契約の労働者が、通算で5年働いた場合、
労働者の申し入れにより、無期労働契約に変更できるというものです(いわゆる5年ルール)。
ただし、2013年4月以降の有期契約が対象のため、
この転換が可能になるのは最低でも2018年4月からということになります。
有期契約が無期契約になるだけで、無期契約=いわゆる「正社員」と同じではありません。
「別段の定め(労働協約、就業規則、個別の合意など)」がないかぎり、
労働条件(賃金・労働時間・勤務地など)は、直前の有期契約時点のものと同一となります。
通算の契約期間については、以下のように空白期間がある場合、その空白期間が半年未満の場合は前にさかのぼって通算しますが、半年を超える場合は、前の契約期間はカウントに含めないと定められています。
また、無期契約への転換申込をしないことを、有期労働契約の更新の条件にするなど、無期契約転換申込権を放棄させることはできません。
2.『雇い止め法理』の法定化(第19条)
労働者に対する不利益な雇い止めを無効とする過去の判例を法定化したもの。
つまり、ある条件下で雇い止め(有期労働契約の契約期間の満了により、
雇用が終了すること)が行われた場合、その雇い止めが無効になると定められました。
ある条件下とは、下記の1、2のいずれかに該当する有期労働契約が対象になります。
1. 過去に反復更新された有期労働契約で、
その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの
- 東芝柳町工場事件(最高裁第一小法廷昭和49年7月22日判決)より
2. 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと 期待することについて合理的な理由(※)があると認められるもの
- 日立メディコ事件(最高裁第一小法廷昭和61年12月4日判決)より
つまり、
・雇用の常用性が高い ・更新回数が多い ・雇用継続の期待を持たせるような言動がある ・雇用の通算期間が長い ・更新手続きがほぼ自動更新
などがあった上で最終的に企業側の都合で契約を打ち切るなどの対応をした場合、
実質「期間の定めのない雇用(無期雇用契約)での解雇」と同等と判断されます。
3.不合理な労働条件の禁止(第20条)
有期契約の労働者と無期契約労働者との間での
不合理な労働条件の差別を禁止したもの。
「労働条件」とは、
・賃金 ・賞与 ・退職金 ・労働時間 ・災害補償 ・服務規律 ・教育訓練 ・付随義務 ・福利厚生
など労働者に対するすべての待遇のことを言います。
また、「不合理な労働条件」とは、現時点では明確になっていませんが、通勤手当、食堂の利用、安全管理などについて、労働条件に違いを出すことは特段の理由がないかぎり、不合理だと判断されます。
期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
第二十条
有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、
期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、
当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、
当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、
不合理と認められるものであってはならない。
「不合理な労働条件」の判断材料としては以下になります。
1. 職務の内容(業務内容および、業務に伴う責任の程度)
2. 職務の内容および配置の変更の範囲
3 その他の事情
を考慮して、合理的と認めるかどうか個々の労働条件ごとに判断します。